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思い出の展覧会5連発 [こうして私は学芸員になりました?]

オトナの美術研究会「月イチお題企画」の記事です。2月のお題は「#思い出の展覧会」。参加メンバーの記事はこのハッシュタグで探せます。

思い出の展覧会、思い出の展覧会かぁ。うーん。
自分でお題を出しておきながら、あらためて考えてみると迷うもんですね。

で、とりあえず下書きを書き始めてみて、迷う理由がわかりました。
思い出の展覧会があり過ぎるからです。
それぞれの思い出が干渉しあって、ひとつになかなか絞れない…。

というわけで、無理にひとつに絞らず、パラパラと思いつくままに書いてみることにします。

【生まれて初めて行った展覧会】東京都美術館の生卵の絵が出てた展覧会

たしか小学校の高学年だったと思うんですけど、学校の夏休みの宿題で「展覧会をひとつ見てきましょう」みたいな課題が出たんですよね。

美術館なんて行ったことがなかったので、どこに行けばいいか分からず、友達とどーするどーすると相談して、結局2人で上野に行きました。

たしか東京都美術館だったと思います。なんでそこにしたんだろう。全然覚えていない(笑)。
東京の郊外に住んでいたのですが、子供2人で電車に揺られていったんだろうか。うん、2人だよな。どちらかの親がいた記憶がないから、たぶん2人だけで行ったんでしょう。

覚えているのは、スーパーリアリズムの生卵の絵(たぶん上田薫)を見た記憶だけ。「おー写真みたい」という単純な感想でした(笑)。特にそれ以上でもそれ以下でもなかった私の初体験。

【修学旅行で行った展覧会】大原美術館の展覧会

恐ろしいことに、たったいま思い出しました。

あれ、そういえば私、大原美術館いったことあったよね?と。

私、中学の修学旅行は広島だったんですけど、たぶんこの時、岡山の倉敷にも立ち寄って大原美術館に行ってるんですよね。

倉敷の町並みの記憶とかはあるんですよ。
でも、名画揃いの天下の大原美術館に行ったはずなのに、何かを見た記憶がまったく残っていない…。ボーッと生きてんじゃねーよ、ですね。

行ったと思うんだけどなぁ…

将来学芸員になる人間だったら「私はその時、エル・グレコの《受胎告知》をみて体中に電流が走った」とかそんな熱いエピソードが欲しいところですが、本当に何もないんですよ。とほほ。
ただ「行った」というおぼろげ記憶があるだけ。お恥ずかしい。
自分の意志で行かないとそんなものですかね。

【自分の意志で初めて行った展覧会】新宿のデパートの「ルネ・マグリット展」

中学生の時、新聞の下の方に小さく出ていた広告を見て、どうしても見たいと思い、電車にゆられて新宿まで行ったのが「ルネ・マグリット展」です。

これは強烈に覚えているので、こちら(↓)で詳しく書きました。

ちなみに、どーでもいいことですが、私のアイコンもマグリットオマージュです。

なら青リンゴにしろという感じですが、実際に青リンゴに変えてみたら(↓)顔色が悪い人みたいになったので、やっぱり赤で。メンバーの方ご心配ありがとうございます。

【学芸員の道に進むきっかけになった展覧会】根津美術館の「燕子花図屏風展」

時は流れて、大学生の頃です。

文学部に入って、なんの勉強しようかなーとあれこれつまみ食いしていた私。
たしかデザイン史のような授業を受講していて(内容も先生もまったく覚えていない、ごめんなさい!)、たぶんその教科書に指定されていた日本のデザインの歴史みたいな本を読んでいた時に、図版でみたのが尾形光琳《燕子花図屛風》でした。

ザ・クールジャパン

日本美術のイメージは浮世絵ぐらいしかなかったのですが、これを見てすごい衝撃をうけました。

なんだこれは?
かっこいい…!かっこよすぎる!

調べると、根津美術館というところでちょうどその作品が展示されているらしいと分かり、意を決して行ってみました。根津美術館では基本的に毎年5月に《燕子花図屏風》が展示されるので、定番の展覧会なんですけどね。その時は運命のように感じました。

照明をおさえた薄暗い展示室の中、本で見たのと同じ屏風が飾られていました。

一面に金箔を貼ったメタリックな背景に、型で抜いたかのように鋭利なフォルムがリズムをつけて繰り返されるという、徹底的に無駄をそぎ落としたデザイン性。
やっぱりかっこい…!とふるえて、たしか2、3時間ぐらいその一点だけをながめていたと思います。

なつかしいな。
本を読んでビビッときた時に、すぐに実物を見ることができたのが良かったのかもしれませんね。少し時間が経っていたら、気持ちも冷めていたでしょうから。そういう意味では、たしかに運命だったのかもしれません。

【初めて行った海外の展覧会】上海博物館の「故宮博物院展」

海外の展覧会は、大学院生の時と学芸員になってからも何度か行ったのですが、初めて行ったのはたしか大学院入りたての時に、他大の先生や院生と合同で行った上海博物館です。

画像はウィキメディア・コモンズからの拾いもの

大学の授業ではなく、授業を受けていた先生が「上海博物館に行くけど、一緒に行きたい人いるかぁ」みたいに希望者を募っていて、じゃあせっかくだから、と参加してみました。

ただ、展覧会自体はうろ覚えなんですよね。

お前、そればっかりだなとつっこまれそうですが(自分でも書いていて情けない)、言い訳すると夜のつきあいが大変だったんですよ。
その見学旅行は、もともと大学のちがう研究仲間の先生たち3、4人が「上海いこーぜ」と話をしたところから始まった企画で、せっかくならそれぞれの指導学生も連れてってあげるか、みたいな流れでした。

仲良しおじさんたちのプライベート旅行に近かったので、先生達の楽しみは夜の飲み会。毎晩、ホテルの誰かの一室にあつまって宴会をするのです。
しかも蓋をあけてみれば、参加した学生のうち男は私1人。他は全員女の子。
女性陣は適当なところで「それじゃおやすみなさーい」と自分たちの部屋に帰っていくのですが、男の私は先生の1人と相部屋だったため、先生が切り上げるまで部屋に帰れない…。

結果、ほぼ徹夜状態でふらふらしながら展覧会を見るという、なんのために行ったんだ状態でした。しかし先生たちは、日中も生き生きしていて「このおっさんたち、すげぇ…」と変なところに感心した思い出だけが残っています。

なんだこのエピソード。あ、路上で買った肉まんがとても美味しかったです。

まとめ

うーん、これぞという話があまりありませんでしたが、書いていると色々思い出すものですね。上海のことなんて、今の今までほとんど思い出すこともなかったのに。

たまには過去の自分と再会するのも楽しいものですね。ぜひ皆さんの「思い出の展覧会」も教えてください。

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