SNSでバズを狙うのもほどほどに
私は度々このnoteで、展覧会を見た後にその感想を発信という形でアウトプットすることのメリットを語ってきました。
美術館の側から言っても、鑑賞した人が自分なりの感想を発信することは大歓迎です。
「シェアを前提とした美術館での写真撮影の普及」で触れた通り、展覧会の感想がSNSを通して、また別の誰かの興味を引き美術館に足を運んでもらうきっかけになる、そんな連鎖反応が期待できるからです。
つまり発信をすることは、見る人にとっても美術館にとってもメリットがある、Win-Winの構図なので、遠慮無くバンバン発信していきましょう!
さて、いざ発信しようと思った時に、あなたは「X(旧ツイッター)がいいんだろうか、それともインスタグラム?やっぱりブログ?」と戸惑うかもしれません。いきなり動画を作ってYouTube配信にチャレンジする人は少数だと思うので(手間と時間をかけて取り組みたい人は是非どうぞ)、迷うとしたらこのあたりですよね。
結論から言いましょう。どれでもいいです。
とりあえずやってみないことには、自分に合っているものが分からないからです。140文字以内の短い感想をポンポン書けるからXが性に合う人がいる一方で、短文に要点をまとめるのがわずらわしいからXは合わないと思う人もいます。
画像メインのインスタグラムの華やかさが好きな人もいれば、逆にその陽キャ文化になじめない人もいるでしょう。
そしてじっくり文章を書きたい人にはブログがしっくり来るかもしれません。私がメインで利用しているこびnoteもブログ形式のプラットフォームですね。
SNSもブログもほとんどは無料で始められるので、あまり難しく考えず直感でこれだと思ったものからやってみましょう。「こんなつまらない内容じゃ恥ずかしいな……」なんて思う必要はありません。どうせ最初のうちは誰も見ていませんから。
自信が無いからといって、非公開の通称「鍵アカ」にするのはおすすめできません。それでは発信ではなく、自分のノートに書いているのと同じだからです。
発信を続けていると、ちらほらイイネやコメントなど何らかのリアクションが返ってくるようになります。これはうれしいものです。こちらからもイイネなどを付けていると、次第に交流が生まれていきます。
ジワジワとフォロワーも増えていくでしょう。
さて、ある程度発信に慣れてくると、憧れるようになるのが「バズる」ことです。
要するに1回の投稿が急激な勢いで拡散されて、多くユーザーの目に触れて、数え切れないほどのリアクションをもらうような状態になることです。
バズはある程度運次第というところはあります。特にインスタグラムなどはプラットフォーム側にリコメンドされると自動的にフォロワー以外のユーザーにも表示されるため、そこからさらにシェアされてバズるという流れがあります。
それに比べるとXの方は、投稿する内容次第でバズる確率が高いSNSだと言えます。現に高頻度でバズる投稿を繰り返しているインフルエンサーは数多くいます。
バズる投稿にはいくつか特徴があります。
1つ目は「役に立つ内容」、2つ目は「あっと驚かせる内容」、3つ目は「深く共感される内容」、このどれかを備えていないとバズることは難しいでしょう。
試しに展覧会に行ったことを発信するとして、この3つに当てはめると、まず「役に立つ内容」ですが、よほど耳寄りの情報でないとバズは起きないのでこれは難しいですね。
「あっと驚かせる内容」だったらどうでしょう。展示されていた作品や作家についてとっておきの豆知識を披露することができたら、ワンチャンスあるかもしれませんね。
一番可能性があるのは「深く共感される内容」でしょう。みんなが潜在的に思っていてもはっきりと認識していなかった作品の素晴らしさ、展覧会の面白さをズバッと言語化することができたら「そうそう!そう思ってたんだよ!」と感じた人がシェアしてくれるはずです。
SNSユーザーの大半は自分から発信することなく、漫然と他人の投稿を読んでいるだけです。では彼らが何のためにそうしているかというと、自分の気持ちが言語化される体験が心地よいから、という側面があるのです。
投稿がバズると、「やった!」とドーパミンが放出されて幸福感を得ると言われています。ですので一度バズる体験をするとまた同じ体験をしたくてたまらなくなります。
ただし、バズるために共感を狙っていくと、気づかぬ内に「こういうのがウケるんだろうな」という考え方になり、そもそもの自分の感情をアウトプットするという目的からかけ離れていきます。
バズを狙うのもほどほどに、ということですね。