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あなたはどうやって展覧会を探します?
主に美術館初心者に向けての話になりますが、美術館を楽しむという意味では展覧会選びが実はとても重要です。
どんな展覧会でも手当たり次第見て楽しめる人というのは、人並み外れて好奇心が旺盛か、これまでに相当な数の展覧会を見てきて経験値が高いかのどちらかでしょう(いま、このnoteを読んでいるのはおそらくこの当たりのレベルの人が多い気がしますが)。
そうでなければ、最初は自分の好みにある程度合致した展覧会を選ぶことが美術館を楽しむ第一歩なのです。慣れてきたら、少しずつ自分の興味がある分野とは異なる内容の展覧会にチャレンジしていきましょう。
さて、いざどの展覧会に行こうか調べてみると、情報が大量に出てきて「一体どれを選べばいいの?」と戸惑うかもしれません。
そもそも展覧会にはいくつか種類があります。大きく分けると、企画展とコレクション展の2つです。企画展は特別展、コレクション展は常設展などと呼ばれることもあります。
巷で話題になる展覧会のほとんどは企画展です。企画展とは、特定の企画テーマに沿って、様々な美術館や所蔵家から作品を集めて行う展覧会のことです。担当学芸員が1年も2年も前から準備をする大がかりな展覧会なのです。
対するコレクション展と言うのは、その美術館自身が収蔵している自前の作品だけを使って行う展覧会です。企画展に比べて予算規模が小さく、従って会場デザインなども地味なものが多いです。わざわざチラシやポスターを作らずひっそり開催していることもあります。
ただ、美術館の本来の事業は話題になる企画展を行うことではなく、収蔵する作品を調査研究し展示することですから、実はコレクション展こそが美術館の基本事業なのです。このコレクション展をじっくり楽しめるようになったら相当な上級者ですが、やはり最初は企画展から挑戦した方がいいでしょう。
現在どんな企画展をやっているのかを調べる方法はいくつもあります。
一番お手軽なのは、スマートフォンなどでパパッと検索することです。読売新聞が日本各地で開催する美術展を紹介する情報サイト「美術展ナビ」(https://artexhibition.jp)、雑誌の『美術手帖』のウェブサイト(https://bijutsutecho.com)、20年以上続くアートメディア「Tokyo Art Beat」(https://www.tokyoartbeat.com)などが、情報の網羅性と検索の簡易性などからおすすめです。
ただ、私の個人的な感想ですがこの手のウェブサイトは、条件を付けて絞り込まないと展覧会情報が表示されすぎて、確認するのが大変ですし(特にスマートフォンで見ると視認性という点で不便を感じる)、初心者だとその中から1つを選ぶのが大変なのではないか、と思います。
他の方法としては、書店に行って美術雑誌で調べるという手もあります。
有名どころでは『芸術新潮』、『美術の窓』、『美術手帖』などですね。他にも「○○年のオススメ展覧会ガイド」「下半期の注目展覧会ガイド」のようなムック本が並んでいることもあります(年始の今もたくさん並んでますね)。
手に取ってパラパラと眺めて好みのものを買って帰りましょう。雑誌は掲載する展覧会を厳選しているので、話題の展覧会、注目の展覧会が分かりやすいというメリットがあります。編集者やライターによる紹介文もついているので、自分に合う展覧会が見つけやすいのではないでしょうか。
もう1つオススメの方法としては、展覧会チラシを見て決めるというものがあります。
チラシ(ポスターもですが)は学芸員とデザイナーのこだわりがつまっています。目玉の作品がメインビジュアルに使われていることがほとんどですから、ジャケ買い(レコードやCDが無くなってきたからもう死後かもしれませんが)するようにチラシでビビッときた展覧会に行くと案外外れがありません。
大抵の美術館には、近隣の他館のチラシが置いてありますし、大型の美術館だと全国規模のチラシが置いてあります。それらを眺めて次に行きたい展覧会を見つける、そしてその展覧会に行った時にまた次の展覧会を探す、という芋づる方式がアナログですが一番良いかもしれません。
あなたはいつもどうやって展覧会を探していますか?よければコメントで教えてくださいね。