ゲームを面白くする方法 【ゲームクリエイター挑戦記録#5】

がくちょうです。

ゲームを面白くする方法、知りたいですよね。

正直、私がクリエイターとして活動しようと思ったのは、

面白いゲームを創りたい

という欲求よりも

面白いとは何かを分解し、再現性高く理解したい

という欲求が強いからです。

つまり、私は「面白さを科学」したいのです。


なので、ゲームを創りながら、むしろ「ゲームを面白くする方法」について本気で考え、理論化していこうとしています。

今の段階で、3つの段階的ナレッジになっています。

1:企画を強くする

これについて、私はまず

企画段階で、ブレない強い企画を創る

というナレッジを創りました。

そして、企画内容として

  1. BMAを明確化する

  2. 病みつき行為を明確化する

  3. AHA体験を明確化する

  4. ユースケースを明記する

という風に、一定以上の強さを持ち、制作段階に入ってもブレないような企画を創る方法として設計しました。

実際、この企画書の設計方法のおかげで、これまで制作に入ってから迷走したことがありませんので、工数削減の視点では既に一定の成果が出ています。

2:制作フローはS⇒F⇒I⇒MVPの順で

次に、制作フローに関するナレッジを考えました。

制作フローを最小化し、打率ではなく打席に入る回数を増やすことが、成長サイクルに入るために根本的に重要だと考えたからです。

Sはストラクチャで、構造物の設計です。基本的にほぼグレーボクシングと既存のモジュールだけで制作するイメージです。

Fはファンクションで、これも理想はモジュールだけで構築します。

Iはインプレッションで、最後に必要最低限の印象の設計と実装をします。

そして、この初期制作段階ではMVPまでを制作のゴールにする、というのがこのナレッジの基本姿勢です。

(MVPというのはアルファ版みたいなものですね。データを集め、フィードバックを回すための、ベータ版のさらに手前のバージョンを私はビジネス用語から引用してMVPと呼んでいます。)

このナレッジも、現段階で非常に機能しており、私は副業でゲームを創っている(しかも5人の子供を育てている!)にも関わらず、1か月に3本の新作ゲームを制作することができています。

3:質的KPIに対してWPDCAを回す

次に、リリース後のゲームに対して、どのように改善するべきか?という事を考え、このナレッジを創りました。

まず、根本的な姿勢として「質的KPI」に評価基準を絞る、という風に決定しました。

量的KPIは、投入した広告予算によって単純に因数が変化する事や、逆にカオス的に爆発する可能性があることなどを考えて、そもそもPDCAサイクルを回すのに適さないという判断です。

つまり簡単に言えば、量的KPIでは

  • なぜ500本売れたのか?⇒500本売れるくらいに広告を売ったりPRできたから

  • なぜ50万本売れたのか?⇒誰もわからない

という風に、振り返りが不毛になりがちだと思ったわけです。

そして、この質的KPI(プレイ時間、リピート率、クリア率、レビュー等)に対して、PDCAではなく「WPDCA」を回す、という風に振り返りの方法を設計しました。

Wは「why」で、これはつまり「自分がゲームを通じてどんな体験を広めたいと思っているのか」という、なぜゲームを創りたいかの部分を指します。

今月、初めてこのWPDCAのサイクルで自分の制作したゲームをチェックしてみましたが、無限の方向性で迷子になりそうな「ゲームの改善、アップデート」という議題において、明らかに前進しやすくなるのを感じました。

Wを定義することは、「私はそもそも何を面白いと呼んでいて、それはどんな設計によってゲームに実装が可能なのか」を明確にすることだからです。

これが決まると、ゲームをどっちに変えていくべきか?の基本方針がブレなくなり、改善案の骨子がスムーズに作成できます。

どうやってプレイ時間を延ばすか

さて、ここまでが現段階での私の制作ナレッジです。

そして、次の議題として私は

どうやってプレイ時間を延ばすか

についてナレッジを創っていきたいと思っています。

ここについて、そもそも私の企画書というのは

  • 「病みつき行為」がすごく気持ちよくて、特に理由が無くても続けてしまうくらいに行為として病みつきになるものである

  • 病みつき行為を繰り返しているうちに、構造としての面白さである「AHA体験」に到達し、非日常的で強い快楽を得たことでプレイ時間が延長される

という風に設計されています。

そのため、プレイ時間を延ばすためには

  1. 病みつき行為の品質改善

  2. AHA体験の品質改善

の2つが必要だと結論付けました。

病みつき行為を深める要素

病みつき行為について品質改善する方法は、下記に整理しました。

0:病みつき行為とは何かを複数可能で定義する(最大3つまで)

  1. 感覚的フィードバックの質をチェックする(感覚的フィードバックが強くて気持ち良いものになっていると、病みつきになるから)
    1-1>視覚的要素: 行為に対してどのようなエフェクト(光、爆発、色の変化)が付与されているか。
    1-2>聴覚的要素: 効果音やBGMが行為を強化しているか。たとえば、効果音のタイミングや音の質感がプレイヤーの期待と合っているか。
    1-3>触覚的要素: コントローラーの振動や物理的なフィードバックが行為を支えているか(可能であれば)。

  2. 行為の難易度をチェックする(行為自体のアクションコストは低いが、難易度の奥行があると病みつきになりやすいから)
    2-1>直感性: 行為が簡単に理解でき、実行可能か。プレイヤーが迷わず実行できる操作性があるか。
    2-2>適度なチャレンジ性: 何らかのスキルやタイミングが必要で、成功したときに達成感を感じられるか。

  3. 繰り返しの持続性をチェックする(繰り返す行為だからこそ、難易度の奥行以外の反復を楽しめる要素が含まれているべきだから)
    3-1>行為の多様性: 同じ行為が繰り返されても飽きないように、ランダム要素や変化を取り入れているか。
    3-2>成長感: 同じ行為を繰り返す中で、スキルアップや習熟を実感できる要素があるか。

  4. ゲーム全体との調和(病みつき行為が適切な頻度で発生し、かつ自然にAHA体験に接続されている必要があるから)
    4-1>頻度と重み付け: 病みつき行為が他の行為と比べて過剰になりすぎていないか、逆に目立たなくなりすぎていないか。
    4-2>ゲーム進行への影響: 病みつき行為がプレイヤーのモチベーションやゲームの進行を自然に支えているか。

この、0~4-2まである、全部で10段階のチェック表に従って、自分がリリースしたゲームのMVPに実装してある「病みつき行為」について振り返り、改善点を書き出していきます。

これで、病みつき行為の品質を改善できるはずです。(まだこれから証明していく段階です)

AHA体験を深める要素

次に、AHA体験の品質を改善するための方法論も設計しました。

0:定義を明確にする
0-1>:AHA体験の成功とは何かを明確に定義する
0-2>:計測可能にする
0-3>:AHA体験の失敗とは何かを明確に定義する

1:適切な負荷の失敗を与えているか、をチェックする(これによってAHA体験が強化される。失敗した後に成功することで、強烈な体験となるから。)
1-1>成功と失敗のバランスをチェックする:プレイヤーが「達成可能だが努力が必要」と感じる適切な難易度か?
1-2>成功後のフィードバックをチェックする:挑戦を乗り越えた後の成功体験が、視覚・聴覚・報酬の面で十分か。
1-3>失敗の種類の多様性をチェックする:プレイヤーが直面する失敗が単調にならないように、異なる種類の挑戦(タイミング、戦略、反射など)が設けられているか。

2:適切な量の運要素を感じさせているか、をチェックする(これによってAHA体験までのリトライ性が高まる。運要素を感じることで、次は結果が変わるかもしれないと思えるから。)
2-1>プレイヤーが制御可能な運かをチェックする:ランダム性が完全な運ではなく、プレイヤーが部分的に制御できる仕組み(選択肢、確率アップアイテムなど)があるか。
2-2>再挑戦への期待感が強いかをチェックする:プレイヤーが「次は成功するかもしれない」と感じる適切なランダム要素があるか。
2-3>運要素のバリエーション:ランダム要素がプレイヤーに新しい発見や驚きを提供し、繰り返しプレイの動機付けになっているか。

3:適切な量の失敗への対策を与えているか(これによってAHA体験までのリトライ性が高まる。成功確率の向上を感じることで、次は結果が変わるかもしれないと思えるから。)
3-1>フィードバックの質:プレイヤーが失敗後に得られるフィードバック(ヒント、メッセージ)が明確かつ有用か。
3-2>成功確率の可視化:プレイヤーが対策を講じた場合、成功確率がどの程度上昇するかを視覚的に示しているか。
3-3>対策の多様性:プレイヤーに提供される対策が単一ではなく、選択肢の幅があるか。

この、0-1~3-3まである、全部で12段階のチェック表に従って、自分がリリースしたゲームのMVPに実装してある「AHA体験」について振り返り、改善点を書き出していきます。

これで、AHA体験の品質も改善できるはずです。(こちらも、まだこれから証明していく段階です)


今後は、この「プレイ時間を延ばすために病みつき行為とAHA体験の品質を改善する」という4段階目の新しいナレッジ開発に向けて、実践と理論化に取り組みます。


面白さを科学する、に向けて頑張ります。

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