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短三度下降転調と短三度下降のコンスタントストラクチャーについて

短三度(m3rd)はオクターブを四等分した、五度圏の図ではm3rd離れた音同士を結ぶと四角になりますが、(Augmented ChordすなわちM3rdなら三角)調号3つ分離れた場所への瞬間移動は、個人的にかなりモダンで、浮遊感のあるフィーリングだと思います。今回紹介するものは短3度下のキーへの転調と、いわばコンスタントストラクチャーの短いヴァージョン、Tell me a bedtime storyの例のB△7 G△7 E△7 C△7の箇所が全部短3度ずつ下降していた世界線のようなハーモニー進行も紹介できたらと思います。
また、調号3個分の距離というと、いわゆるRelative Keyなので、ルートを固定して長短の入れ替えとも捉えることができるかもしれません。

調号が四つ離れる、すなわちMajor3rd離れたところに瞬間移動すると、オーギュメント転調で、とてもGiant Steps感が出ると思います。それだけあの曲は印象的ということなのでしょう…

『短3度下降の例』

Aguas De Marco - Elis Regina Tom Jobim

この1:48から連続して、E/D C#/B B♭/A♭ と下がって行きます
元々浮遊感のある x7/♭7 (Dominant 7th chordの♭7thがベース、芸大和声だと属7の第三転回形)のハーモニーを短3度ずつ連続的にいわゆるSequence的にしていくの、痺れますね。

この曲では他にも、ベースラインを半音または全音で進行させたり、IV-△7の使用など、ハーモニーで好きな部分が多過ぎて語り尽くせないですが、聴いている限り、メロディーとコード共に完全に同じように繰り返されるセクションは存在しないのではないでしょうか…?


『短3度下降転調の例』

I.G.Y. - Donald Fagen

イントロの最後の歌い出しの直前の箇所で
G#-7   |   C#-7   |  E△7   | C#-7/F#(F#9sus) | D♭△7/E♭  | F-9

短三度下降転調の箇所

それまでのG# minor keyからF minorキーへと短3度下降の転調をしています。

これは短3度下降した転調の例で、
C#-7/F#のコードはKeyをG# minorのパラレルキーのB majorとして捉えた時のV7susとして機能して、
それがスムーズなVoice leadingにより、次のD♭△7/E♭ (E♭7sus)へと、
Sus系のコードが完全4度堆積のハーモニーを彷彿とさせることから、元々Keyの感覚が薄くなるような浮遊感があり、浮遊したまま最後にGb△7/Ebを挟むことによって、スムーズにF-のTonalityへと移っている例だと思います。
このG♭△7/E♭もF-のパラレルキーのA♭ majorキーにおけるE♭7sus、V7susのような働きを持っているので、転調が新鮮でクールなサウンドでありながら破綻しない、素晴らしいバランスを保っているのだと思います!

全体のキーが半音下のVersionも発見しました


『ループの例』

Skate U - Snarky Puppy
この曲ではソロの部分が|  D♭△7  |  A△7  |となっています。

Cory Henryが鬼のようにカッコいいソロを弾いてる動画もオススメです。
トライアドでメロディーラインをハーモナイズしながら、ゴスペル特有のパッシングディミニッシュを入れていくところが最高ですね。


『長短入れ替えの例」

Change of tone R+R=NOW

これはF#-7 G♭△7となっているので、長短の入れ替えの例で、僕は2個目のハーモニーがF#△7というよりはG♭△7に聴こえるからかもしれませんが、そのシャープとフラット系を行き来する感じがさらに空気感を作り出していると思います。

『終わりに』
今回いくつか短3度下降の例を紹介させていただきました。どれもかなり好きな例ばかりなのですが、今度は上行の例も引き続き探して参ります。


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