鍼灸師が豪華客船で働くために必要な技術力は?
何年も前。確か自分が豪華客船鍼灸師を志すよりも前に、あるSNSで年配の鍼灸師の人が "豪華客船では金持ちを施術するから高い英語力や治療技術が要るのに実際はそれらを備えてない鍼灸師ばかりで日本の鍼灸の評判を落とすのでないかと超不安" 的な投稿をしているのを偶然目にしました。
その人は豪華客船で働いたことはなく、どこの誰か、どのSNSだったかも忘れてしまいましたがきっと高い英語力や技術をお持ちの先生なんだと思います。
では船で働くためには具体的にどれくらいの技術力があった方がいいのか?
私の超個人的見解を書いていこうと思います。
まず第一に若い鍼灸師が船に乗ったり海外に行くのは大賛成です。
そのうえで強いて基準を作るなら個人的には2つあります。
鍼灸師が豪華客船で働くための2つの基準
①一連の流れを1人で行うことができる
初診患者への問診や検査、治療方針の決定、治療、生活指導やアドバイス。
鍼灸整骨院のグループ会社なんかだとこの一連の流れを任されるようになるまで大体半年〜1年程度でしょうか。
(これは船だけでなく開業や業務委託での独立でも同じことが言えると思います)
②人生レベルで誰かに貢献する
これにはただ重度の症状を治すとか、鍼治療だけに限らず様々な形があると思いますし、その相手は友達や家族になるかもしれません。
「肩こりがひどくて毎週先生の施術を受けないとやってけないんですー」これは頼られて嬉しいですし陸でのビジネス的には正解なのかもしれませんが技術的なことでいえば、もう少し改善させたり生活指導をしたり他の専門家を紹介したりできる可能性があり、必ずしも良いことではなく少し違います。
本気で相手と関わる。鍼を通してでなくてもこの感覚を持っておくことはとても大切だと思います。
この感覚を持たないで治療の経験も少ないまま船で働くと、数万円以上の治療費を前払いするのが基本の船での仕事だとゲストから頂いたお金と期待に対して自分が提供しているサービスにギャップを感じて苦しんだり、売上以外にやりがいを感じにくいかもしれません。
国家資格取得後すぐに豪華客船で働くためには
最近は鍼灸学生の時点から、もしくはそれよりも前から豪華客船で働くことを目指している方が増えているように感じます。
資格取得後すぐに豪華客船で働きたい。という相談も割と多くいただきます。
個人的には資格取得後1年間くらいはどこかの院で雇用されて働くことを勧めます。
お給料を貰いながら経験値を積んだり、英語力や貯金を増やすだけでなく、その間に海外に行く際に便利なクレジットカードを作りやすかったりと最低限ですが国内での信用が溜まります。
退職後に失業手当をもらいながら英語の勉強と面接練習に集中することも可能です。
ですが今回は資格取得後ソッコーで船で働くことを前提に鍼灸学生のうちにしておくべきことを考えていきましょう。
鍼灸学生のうちにしておくべきこと
まず授業内で得られることだけを学んだり国試程度に苦戦しているようではハッキリ言って話にならないと思います。
受験1年前。最低でも半年前には合格ラインに乗せるくらいのつもりで早いうちから試験勉強をしておきましょう。
もちろん英語の勉強も国試後に面接を受けられるレベルは必要になります。
上記の国試対策と英会話力は最低限として問題になってくるのは技術力だと思います。
ゲストからすれば技術の低い人からの治療は望んではいないでしょうし、ゲストはあなたの練習台でもありません。
今は学校の授業以外にもアルバイト、インターン、ボランティア、SNS、セミナー、オンラインサロンなど技術を学べる場がいくらでもあります。
家族や同級生を練習台にしたり国試後〜乗船前に期間中に無料や格安で一般人を施術してフィードバックを貰うこともできます。
極論かもしれませんが色んな鍼灸院にボイスレコーダーをカバンに入れて施術を受けに行き、問診や施術中の会話でどんなことを聞いていたか録音して勉強することだってできるはずです。
※倫理的にどうなのかを話しているわけでも推奨しているわけでもありません。私もそうですが鍼灸学生である旨を伝えればアドバイスをくれながら施術をしてくれる先生も多いです。
そうやってしていけば学生のうちから先に話した基準の①一連の流れを1人で行うことができる。も最低限は可能になります。
何が言いたいかというと、豪華客船で働きたい憧れとは裏腹にゲストの大事なお金と時間を貰っている責任を忘れないでください。ということです。
鍼灸師の対応ひとつでハネムーンや一生をかけてお金を貯めて来た人達の、人生の思い出を台無しにする可能性だってあります。
逆に言えば行動力とその責任感さえあれば豪華客船で働くのも開業するのも正直いつだって良いと思っていますし、鍼を受けたことがクルーズ最大の思い出と言ってもらえることもあります。
終わりに
少し厳しい言い方をしてしまったかもしれませんが、もう一度言うと若い鍼灸師が海外に行くのは大賛成です!
私自身も26歳(鍼灸師歴4年の終わり)に乗っています。
あと冒頭に話した年配鍼灸師の批判がもし刺さってしまった人がいたら気にしないでください。
自分より英語力や技術が乏しいのに、若くして海外で活躍したり稼いでることへの一種の嫉みです。
(そもそも豪華客船や海外より国内の業界の方が問題山積みです…笑)
チャレンジする権利は誰にでも平等にあります。
それよりも私達は私達よりさらに若い世代が、将来英語力や技術を身に付けて海外挑戦できるような環境を作れるように頑張りましょう。