霞ヶ浦に潜む異形のアメナマ!? #1
「霞ヶ浦に釣りに行く」といえば、アメリカナマズが熱い。
この魚が霞ヶ浦に棲むようになった経緯はおいておき、今回は過去にSNS界隈で話題になった(今でも時々見かける)第2のアメナマについて書こうと思う。
霞ヶ浦の外来ナマズ
アメリカナマズは名前の通りアメリカから来た外来魚で、特定外来生物にも指定されている。ただし名前はチャネルキャットフィッシュという。日本のナマズとはいろいろ異なるので分かりやすい(と思う)。
ヒゲの数も多く、尾びれも普通の魚と同じような「泳ぎまわる形」をしている。
SNS界隈の噂
数年前、そんなアメリカナマズについて、SNS界隈で話題になっていた謎があった。
「アメナマ、2種類いないか?」
「ブルーキャットフィッシュがいるね!」
ブルーキャットフィッシュというのは、チャネルキャットフィッシュと同属で、より大型化する種類だ。やはりアメリカに棲む。確かに私も2タイプ釣れることに気づいていたから、この噂は気になっていた。
百聞は一見にしかず。次の写真を見て欲しい。2匹とも約70cmの個体なのだが、見て分かる通り頭の大きさ(幅)が随分と違う。ちなみに、左の個体がいわゆる「ブルーキャットフィッシュでは?」と囁かれるタイプだ。普通のアメナマと比べて頭の幅と口が大きいのが特徴だ。
ブルーキャットの調査開始
チャネルキャットなのか。ブルーキャットなのか。調べる方法は簡単で尻びれの軟条という「筋」の本数を数えるだけ良い。調査というにはあまりにも簡単なのだが科学的な検証には数が必要なのだ。
・チャネルキャットフィッシュなら約26本
・ブルーキャットなら約34本
この数字だけを頭にぶち込んで、ナマズ好きの生徒Uを巻き込んでひたすら釣っては数えた。
霞ヶ浦にブルーキャットはいるのか?
調査は数えるだけだ。それを真面目に一年間続けた。数ヶ月たった頃に結論は見え始めたのだが、万が一もある。種類によって釣れる時期が異なることも考えられる。何事も最後までやりきることが必要だ。しかし、数えども数えども26本だった。
つまり、ブルーキャットはいなかったのだ。
調査中も話題の2種類は釣れた。解剖によって頭の大きいのは雄であり、細いのが雌であることが分かった。子供の頃は下の写真のような形をしているので、雌はそのまま大きくなり、雄は成長とともに頭と口が大きく異形化するようだ。
結論としては、何と無く釣り人的には寂しいものだ。しかし、外来生物問題的にはこれで良いのだろう。
それにしても、オスの頭はなぜ紛らわしい変化をするのだろうか。次回 #2ではこの異形化の謎に迫った顛末を報告したい。