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人はなぜギリギリまで動かないのか?
「人間は締切がないと動かない生き物だ」
そう言われることがあるが、これは本当なのだろうか?
夏休みの宿題
社内アンケート
経費精算
Eラーニングの視聴
自己評価シート
「いつでもできる」ものほど、なぜか締切ギリギリで駆け込むことになる。
学生時代から大人になった今まで、何も変わっていない気がする。
私は先日、経費申請のリマインドメールを自動化した。
「締切が近づけば、みんな早めに動いてくれるだろう」
と期待していたが、結果はまったくの逆だった。
詳細はこちらの記事にまとめたが、もはや社内で
「リマインドメールが連続ドラマ化する」
という珍現象が起きている。
では、なぜ人間は「ギリギリまで動かない」のか? そして、この行動をどうすれば改善できるのか? 今日はこの疑問について考えてみたい。
会社員がギリギリまで動かない「あるある」
① Eラーニングの視聴締切
「今月中に受講すればOK」と言われたEラーニング。だが、気づけば月末。
最終日にアクセスが集中し、サーバーが重すぎて動画が再生されず、結局受講できずに「未受講者リスト」に名前が載るという、もはや定番の流れ。
「もっと早くやっておけばよかった…」 と思うのも定番。
② 社内アンケート
社内アンケートの締切も、提出ギリギリが基本。
リマインドメールが来るたびに「あ、あとでやろう」と考えるが、その「あとで」は永遠に来ない。
そして、締切前日。
「◯◯部の提出率が低いので、まだの方は早めにお願いします」という社長名義のメールが飛んできて、ようやく慌てて入力。
「結局、全員が最終日にならないと動かないから意味ないのでは…?」 という気持ちになる。
③ 経費精算
経理部にとっては「毎月の地獄」。
「経費精算は月末締めです!」と毎月リマインドされているのに、
なぜか29日〜31日に大量の申請が殺到。
しかもギリギリ勢ほどミスが多く、
「領収書の添付がない」
「金額が合ってない」
「科目が違う」
という地獄絵図。
経理部:「もっと余裕をもって申請してくれ……!」
ギリギリ勢:「いや、だってギリギリにならないとやる気出ないし…」
④ 自己評価シート
「自己評価シートは来週までに提出してください!」
と言われているのに、実際に入力するのは締切前日。
そして、こうなる。
「え、今年何やったっけ?」
1年間の仕事を振り返る余裕がなく、
「とりあえずそれっぽいことを書く」 という謎作業に。
上司:「この評価コメント、具体性がないね」
「そりゃそうだよ、締切前日に1年分振り返ってるんだから!」
このパターン、会社員なら何度も経験しているはず。
では、なぜ人はギリギリまで動かないのか?
① 締切効果(デッドライン効果)
人は締切がないと行動しないという習性がある。
「締切効果」とは、期限が近づくと集中力が爆発的に上がる現象。
試験前日、夏休みの宿題最終日、提出期限の前日。
この「極限状態」にならないと、本気で取り組めない。
② 先延ばしの心理(プロクラスティネーション)
「今やる必要はないし、あとでやろう」 という気持ち。
これは脳の「快楽優先モード」が発動している状態で、
✅ やりたくないこと → 未来の自分に押し付ける
✅ 今すぐ楽しいことを優先する
という思考パターンになりがち。
未来の自分:「は?なんでこんなギリギリに全部やる羽目になってるの?」
過去の自分:「それはね、やりたくなかったから!」
未来の自分:「いや、お前のせいだろ!!!」
…と毎回同じことを繰り返している。
③ プレッシャーによる集中力UP
締切前になると「ヤバい、やらなきゃ!」というプレッシャーがかかり、
集中力が急激に上がる。
この「極限モード」になることで、普段の何倍ものスピードで作業が進む。
「本気出せば1日で終わるじゃん!」
と学習するも、結局またギリギリでやる羽目になる。
ギリギリを回避する方法はあるのか?
結論:「偽の締切」を作る しかない。
✅ 締切の1週間前を本当の締切だと思い込む
✅ 「この日までにできなかったら、ヤバい」と自分を騙す
✅ プレッシャーを先にかけて、強制的に動かす
…だが、結局、
「まぁ、まだ大丈夫か」
となる。
結局、人はギリギリでしか動かない
リマインドメールを自動化しても、
「最終回だけチェックすればいい」 という知恵をつけるのが人間。
会社のルールを厳しくしても、
「ギリギリで間に合えばいい」 と思うのが人間。
…つまり、人類は永遠にギリギリで生き続ける。
締切前日にこの文章を書いている私が言うのだから、間違いない。