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紹介~「今とは違う学校が求められている 生き方の多様化と学びの多様化」(前半)

今回は、講演録からのご紹介です

今回は、講演録をご紹介したいと思います。
私がGAJYUMARUで目指しているものに非常に近く、再度読み直し、影響を受けていたと思われる部分を紹介します。

以下、「今とは違う学校が求められている 生き方の多様化と学びの多様化」(おるたネット発行)より抜粋します。

今とは違う学校が求められている


※私は大学時代、講演者の汐見稔幸先生の授業を受けていました。
人間的にも本当に素晴らしい方で、「『天才』は学校で育たない」「教えから学びへ; 教育にとって一番大切なこと」など、非常に学びとなる本が出ています。

以下、引用します(重要だと思った点を太字にします)

社会の進化とは選択肢が増えること

社会の進化とは選択肢が増えること
私はこういう時代には、新しい哲学が必要だと思っています。文明が進歩するとか、社会が進歩するっていうのは、いろんなやり方が増えていくっていうことです。
子どもを育てるのに、「あのランプが赤だから、そろそろおっぱいよ」とか(笑)。「赤ちゃんが泣いているのは、ランプが緑だからおしっこよね」とかっていうのもいいけども、 自分で「あっ、ごめんね」って言って、子どもとコミュニケーションしながら子育てするほうも選べる。つまり、選択肢が増えていくっていうことが、その文明が進んでいるっていうことの言い換えた姿ですよね。
だから、どこかに行くのに歩いて行ってもいいし、自転車で行ってもいいし、走って行ってもいい。車で行ってもいいし、電車で行ってもいいし、バスで行ってもいい。遠かったら、飛行機で行ってもいいし、船で行ってもいい。自分の目的に応じて、「今日は季節がいいから、やっぱり歩いて行きたいよね」って歩くことを選んだり、「今日は急いでいるから、自転車で行ったほうがいいね」って自転車を選んだりする。そうやって選択肢が増えていくことが、私たちにとって、ある種の可能性を高めていくことにつながるんです。けれども、選択肢が増えたときに、一番不便なやり方、歩いて行くことを選べなくなったとしたら、人間は自由をなくしていくと思います。

選択肢が増えるんだけども、それぞれの選択肢が持つメリット·デメリットを知っていて、どの選択肢もそのときの状況に応じて選べるっていうときに、初めて自由だと言えると思うんです。

(中略)

社会が進化するっていうのは、選択肢が増えること、要求実現の方法が多様化することなんだけども、そういう選択肢の多様化っていうのは、「私はこういうのが好きだわ」とか、「私は男女逆転のほうがいいわ」とか 「結婚しても名前は変えないほうがいいわ」とか、「私は自分の名字は嫌だから、彼の名字に変えたいわ」とかって、いろいろあっていいわけじゃないですか。どれがいいとか悪いとかじゃなくて、根拠を持って選択できるっていうこと、その選択肢が増えるっていうことが大事なんです。それは裏を返せば、さまざまな価値観がどちらがいいとか悪いとか決め切らずに並行していくっていうことで、そういう社会ができてくる。

例えば私の知り合いで、お箸を使わないで食べるっていう人がいるんですよね。手で食べている。なぜかっていったら「私たちは生き物を殺して食べているのに肉にしても魚にしても、その命をいただいているのにもかかわらず、それを例えばナイフで切りフォークで突き刺して食べるっていうようなことは私にはできない」って言うわけ。 お箸はまだいいんだけども、一番いいのは食べ物に直に触れて、「ありがとうね」って言って食べるのが、一番感謝していること表しているんじゃないかって言うんです。

インドではそうやって昔からやっていたんですけどね。そこで生活してみたら、やっばり手で食べるのが一番いいっていうことになっていったということなんです。アメリカなどでは「フォークとナイフの使い方を教えました」なんて保育者が言うと、怒鳴り込んでくる親がいるそうです。「私は手で食べることを教えているのに、なぜそんなことをしたんだ」と言って。

価値観が多様化するっていうことは、どれがいいとか悪いとかではなくて、「こういう考えでこうしている」っていう一つの考え方があって、それを「なるほどね」って思う人がいると、どんどん広がっていくわけですよ ね。そういう意味で、どれがいいとか悪いとかを決めるんじゃなくて、いろいろな見方がある中で、興味を持ったものを選択すれば 「それも一つの見方だよね」って認められる。そういう社会のことを、価値観が多様化したというわけですよね。

そうやって仕事も多様化していく。「十三歳のハローワーク」っていう本がしばらく前に出ましたけども、十三歳の子どもが、どんな仕事があるのか勉強しようとするときに、その本には五百何十種類の仕事が載っているんです。五百何十種類もある中から一つの仕事を選ぶっていうのは大変ですよね。だから今の時代は本当に、一生一つの仕事しかしないなんていうのはもう絶対損だという気がするんですよね。これもやってみたい、あれもやってみたい。30歳でも40歳でも新しいことができるんだよ。 そういうのもいいかもしれないなって。

昔は「転石、昔むさず」って言って、仕事を変えるやつはだめなやつだって言われていたんだけども、今の時代はたった一回の人生に一つの仕事しかしないのは、よっぽどいい仕事を選んだか、よっぽど選ぶ時間がなかったか、どちらかだって思われる。

だから、途中で仕事を変えるっていうのも一つの生き方だよね、それもいいよねっていうことにもなるわけです。そういう意味で生き方が多様化していく。

「どんな教育が望ましいのか?」の前に、「どんな社会が望ましいのか?」

私たちGAJYUMARUは、「どんな教育が望ましいのか?」の議論の前に、「どんな社会が望ましいのか?」が重要だと思っています。

その意味で、今回の講演録は私が大事にしたい社会の1要素です。

なかでも、

選択肢が増えるんだけども、それぞれの選択肢が持つメリット·デメリットを知っていて、どの選択肢もそのときの状況に応じて選べるっていうときに、初めて自由だと言える
どれがいいとか悪いとかを決めるんじゃなくて、いろいろな見方がある中で、興味を持ったものを選択すれば 「それも一つの見方だよね」って認められる。そういう社会のことを、価値観が多様化したというわけ
途中で仕事を変えるっていうのも一つの生き方だよね、それもいいよねっていうことにもなるわけです。そういう意味で生き方が多様化していく。

沖縄がそういう社会になることは、そのまま私たちの「沖縄に生まれた子ども1人ひとりが、自分の生きたい人生を描くことをサポートする」に繋がっています。
仕事に関しても、社会や価値観の変化スピードが速い中でずっと1つのことをしていることそのものがリスクになりかねません。何度でも新たなことにチャレンジできる社会であって欲しいと思いますし、これを実現する学びのあり方がリカレント教育です。
※リカレントに関してもまた別で書きたいと思っています。

明日の後半では、上記目指す社会のあり方に対応する、学びのあり方に関しても汐見先生の講演録からご紹介したいと思います。お楽しみに!

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