下腿義足:前方の不安定感2(膝折感)<練習問題解説>
※この記事は下記ふたつの記事を読んでいることを前提としています.読んでいない方はぜひ!
🔥義足の適合調整の最大のポイントは🔥
原因を特定するために,質問を重ねて状況証拠を増やすことです!!!
TT-FittingGAMEでも,適切な作業と同時に
適切な質問📝
がハイスコアのカギです!
以下の2つの評価指数から,最終スコアが決まります.
作業指数:行った調整の適格度を表す指数.義足ユーザーが訴える不適合現象を改善する調整を行うと上昇する.
質問指数:行った質問の適格度を表す指数.義足ユーザーが訴える不適合現象の原因と結びつきの強い内容を質問すると上昇する.
※質問は1ターンにつき3回できるので,この3回はできるだけ使い切るようにしましょう.質問回数が少ないと質問指数が下がります↘️
さあ!練習問題をスタートです!
TT-FittingGAMEを起動して「練習モード」→9番,前方の不安定感2を選んでスタートしてください.
⚠️ランダムに問題が生成されるため,ここから先はみなさんと同じとは限りません⚠️
義足ユーザーはソケットの不適合や膝折感や膝が曲げられる感じを訴えるはずです.
<主訴(現象)>:前面遠位に圧迫を感じる(脛骨遠位端)
ひとつの現象に対して,それを生じさせている原因の候補は複数であることが多いです.はじめのうちはなかなか覚えられないと思います💦
下記リンクから不適合現象と原因の対照表を入手して取り組みましょう!
対照表から前面遠位に圧迫を感じる原因として候補となるのは
屈曲角の過大
足部が過度に後方
ソケットの不適合
後壁が低い(主にダイナミックアライメント:歩行時)
これら4つが考えられます.原因の候補についてひとつずつチェックしていきたいと思いますが,矢状面の調整については立ち方のパターンが2つあることに注意しましょう.
<断端優位>
義足ソケットの角度に従わずユーザーの持っている断端の角度を優先した立ち方です.ソケットの角度不適合が足底の接地状況等に現れます.
<義足優位>
義足ソケットの角度に合わせてユーザーがが膝の屈曲角を調整する立ち方です.ソケットの角度不適合が足底の接地状況には現れません.
→多くの場合,義足ユーザーは不快感の少ない「義足優位」で立ちます.
ポイント!
義足優位の立ち方は足底の接地状況等によってソケットの角度の不適合を判断できないので,断端優位の立ち方に誘導することが重要!
対照表から断端優位時の膝折れ関連の原因と現象の関係をまとめました.後壁が低い,という原因候補もあるのですが,ここでは屈曲角と足部の位置,ソケットの不適合の鑑別方法について説明します.
まずは主訴が「ソケット不適合」ですので,ソケットの原因を探ります.
質問①②として,ソケット近位,遠位のきつさを確認しましょう.
すると,両方とも問題なさそうです.よって今回の主訴である「前面遠位の圧迫」はソケット不適合によるものではないと判断できます.
そうなると,残るは屈曲角と足部の位置のどちらか?ということになります.
断端優位で立つと
パイプの傾斜
足底の接地状況
足部の位置
義足長の短い感
について,屈曲角過大と足部が過度に後方では違いがあるので,鑑別しやすいと思います.
しかし上で書いたとおり,義足ユーザーは不快感の少ない「義足優位」で立ちます.
そこで対照表では書かれていませんが,義足優位時の膝折れ関連の原因と現象の関係をまとめました.
ポイントは
ソケット不適合の有無
義足長が短い感
といった違いはあるものの,目視やユーザーの感覚としてわかりやすい
パイプの傾斜
足底接地
足部の前後位置
による違いが無いということです.
実際にTT-Fitting Gameでも多くの場合は義足優位で立つはずです.
質問③として,前後の不安定性を聞くと「前方に不安定(膝折感)」と答えるはずです.
この質問まででは前方不安定の原因が,屈曲角過大によるものか,足部が過度に後方によるものか,判断がつきません💦
そこで
同じ膝折れ感を生じさせる屈曲角の過大と足部が過度に後方において,現象の違いが多く出る断端優位の立ち方に誘導することで良い判断ができそうです!
原因が屈曲角過大だと仮定して,断端優位で立つ場合,つま先が浮いてくることに着目しましょう♪
そこで「矢状面の仮調整,立ち方指定」の「前足部底面に挿入」でウェッジを挿入してみましょう!
すると,断端優位の立ち方になると同時に「膝が伸ばされる感じが強くなった」とのコメントが得られました!
膝折れがあるにもかかわらず,前足部底面にウェッジを挿入した場合に「膝過伸展感」が出てしまうことから
屈曲角過大が前面遠位の圧迫の原因ではない!
と特定できます.
よって今回の主訴(現象)
前面遠位の圧迫
の原因は消去法的に考えて
🔥足部が過度に後方🔥
であると特定できました!
では,調整してみましょう!
筆者はこの程度の義足足部と健足足部のズレであれば,義足足部を10mmほど前方に移動する調整で良いと考えました.
実際の義足の調整において,このような感覚は重要です.
「このパイプの傾きならこれくらいの調整」
「この程度の不安定感なら,これくらい足部を移動させる」
といった感覚です.これらを養っていくことで調整量の精度が上がっていき,作業効率がアップします♪