この男、再び台湾にて
いつもは堪能しているこの景色も、ひどいもんで今日はひとつも覚えちゃいないんだ
アクセルばっかり吹かしてるんだけど、この古びたバイクだけが前に進みやがる
真新しいアスファルトの香りでふと我に返るが、不思議と俺を抜かすバイクの音なんか気になりゃしないんだ
あれだけ一人が好きだったじゃないかって、
今はそんなこと聞かないでくれよ
この国の太陽は今日も心地良いけど、やっぱり何か意味を持っている気がして仕方がないんだ
その真っ青な快晴をもって、俺を説き伏せようっていったって、そうはいかないぜ
強がってばかりだから、
「人生は思うようにいかないもんだぜ」とか言って分かったふりしてみて、
それでも、それでも、どうにもこうにもいかないときに、思わず他人に期待しちゃうんだけど
別に誰でもいいってわけじゃないんだぜ
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