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【外苑前野球ジム】動作解析プランから紐解く投球動作~軸脚による体重移動~

この度、外苑前野球ジムはマーカーレスのモーションキャプチャーを導入し、ピッチングの動作解析プランを開始致しました。

担当のバイオメカニストがお客様のお悩みを聞いた上で解析を行い、フィードバックさせて頂くプランとなります。

ただ、"動作解析"と言ってもイメージしづらい面もあると思いますので、こちらのnoteにて実際にどのようなことを行っているか、実例を踏まえて皆さんに発信していければと思います。

ご興味ある方はぜひnoteのフォローお願いします!
それでは早速フィードバックの詳細です。

お客様カルテ

対象: 20代前半 硬式
お悩み: 球速アップ
特筆事項: 特になし

この動作解析プランでは、まず初めに3球ほど投じていただきます。
その結果の一部が以下になります。

ビフォー


アセスメント前のステップ脚着地時
アセスメント前のラプソードデータ

アセスメント内容

この選手の悩みは、軸脚の使い方でした。

軸脚は、いわゆる「体重移動」を生み出す重要な役割を担っています。¹⁾
この「体重移動」は、軸脚の股関節の外転、膝関節の伸展による力発揮によって行われていると考えられます。²⁾³⁾
そのため、今回はこの軸脚の股関節の外転、膝関節の伸展に着目しました!



軸脚股関節内転/外転角度
軸脚膝関節屈曲/伸展角度

これは、ステップ脚(右投手なので左足)が着地するまでの股関節外転角度、膝関節屈曲角度です。

グラフの右端は、ステップ脚着地時点であり、軸脚(右投手なので右足)の最大角度を算出しています。
この結果を見ると、この選手のステップ脚着地時の軸脚股関節外転角度は15.1°で、膝関節屈曲角度は57°です。

股関節の外転角度は45°、膝関節の屈曲角度は135°、伸展角度は0°が正常な参考可動域とされています。⁴⁾

参照:公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト 第5巻 検査・測定と評価

今回計測した選手は、股関節外転角度が約30°、膝関節の屈曲角度が約120°、伸展角度が約0°でした。

つまり、この選手はそもそもの可動域が足りておらず、投球動作でも軸脚の可動域を十分に出せないと考えられます。

そこでこの選手に対しては、以下2つのトレーニングを実施しました。

・股関節外転可動域の獲得を目指したトレーニング
・股関節外転による「体重移動」の動作獲得のトレーニング

アフター

以下がトレーニング後の投球の結果の一部です


アセスメント後のステップ脚接地時

アセスメント後のラプソードデータ


アセスメント後の軸脚股関節内転/外転角度
アセスメント後の軸脚膝関節角度

軸脚股関節の外転角度は16.7°、膝関節屈曲角度は46.8°でした。

アセスメントの前後で比較すると以下のように変化していました。

・軸脚股関節外転角度 15.1° → 16.7°
膝関節屈曲角度 57° → 46.8°

上記結果から、股関節外転と膝関節伸展の活動が増加していることが推察されます。

このような身体活動の変化により、

120 ㎞/h → 124 km/h

と球速も ㎞/h 上昇しました。

この選手のようにそもそもの身体の可動域が不十分な選手は沢山います。
しかし、このようにちょっとした可動域の向上とそこに対する意識で投球パフォーマンスを向上させることにつながります。

皆さんもぜひ自分の可動域をチェックしてみてください!

参考文献

1)高橋佳三. (2006). 投動作を助ける脚のはたらき (特集 「巧みな動き」 の脚と腕). 体育の科学 , 56(3), 174-180
2)蔭山雅洋, 鈴木智晴, 杉山敬, 和田智仁, & 前田明. (2015). 大学野球投手における下肢関節の力学的仕事量と投球速度との関係. 体育学研究 , 60(1), 87-102.
3)Kageyama, M., Sugiyama, T., Takai, Y., Kanehisa, H., & Maeda, A. (2014). Kinematic and kinetic profiles of trunk and lower limbs during baseball pitching in collegiate pitchers. Journal of sports science & medicine, 13(4), 742.
4)財団法人日本体育協会, 公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト 第5巻 検査・測定と評価

自分も1度このような動作解析を受けてみたいという方はぜひ上記よりお申し込みください!お問い合わせもお気軽にご連絡ください。

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