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『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ(中央公論社)

こんにちは。
今回は柄にもなく書評というほどでもないですが、今年の本屋大賞を読了した感想を思いのままに綴らせていただこうと思います。

読んだきっかけは『佐久間宣之のオールナイトニッポン0』にて佐久間さんが紹介したのがきっかけでした。

この後はややいわゆるネタバレも多少なりとも含まれるかと思います。
ご了承ください。(書き上げたがネタバレは少ないかと思います。)
以下のURLにて購入して読んで頂けるとより共感していただけるのかなと思います。

52ヘルツのクジラとは――
箱のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く、
世界で一頭だけのクジラ。
たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。
そのため、世界で一番孤独だと言われている。

帯にはこんな文言がつづられている。
52ヘルツの鯨とは何だろうか。

このように鯨の中でおそらく1頭しかいない鳴き声を発する鯨のことを指すようだ。
リンク先では人間にも聞こえるようにされた声が聴けるが、どこか仲間を探すような声である。

この鯨に代表されるようにこの「孤独」について取り上げられているように感じた。

「孤独」と「愛」は両極端に在ってきっと不可分な関係にあるんだろうとこの本は教えてくれる。

世相を反映するような問題を包含しながらこの小説は進行するが、一人一が孤独を抱えながら、52ヘルツの声をあげ仲間を求める姿が描かれているところに、現代の社会を投影しているように感じた。

多くの人が声を出しながら、即時的な充足を求め、手に近い愛に手を出す
そして、距離を置いて不安になる。そんなことの繰り返しなのかもしれない。

これはすごく身に沁みて感じたことだが、近くにいるようで遠い存在が実は存在して、その人の真意に気づいたときにひどく後悔することである。

いろんな人がいろんな人に思い入れがあって、その思い入れが交錯する中に社会が存在している。
この思い入れは「真の愛情」「友情」「下心」「世話心」といったかたちで種々存在している。

真の愛情はきっと後から気づいて後悔する物の最たる例だろう。

もちろん、この愛情というのは恋心とはまたちがって、その人を愛し心を尽くすという意味であるから、一人の人に限って向けられるものではないだろう。

この意味での「真の愛情」を一人でも多くの人に向けられる人になりたいと
そう思った。

読了の折にだらだらと書いたが、意外とネタバレを含まずかけたのではないかと思っている。

きっと後々映画になったら、見に行くだろう。

それくらい良い小説だったが、それにしても内容が重く読む間の精神的なしんどさは例を見なかった。

最後に今出会っている人の声を聴き受け止められるそんな存在になりたい。

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