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【短編】川越さんぽpart2

 御手洗 六助はやさぐれていた。
特殊能力選手権で敗戦してからは、何をやってもつまらない。
 今日は少し遠出をして、川越まで肉汁うどんを食べにきた。

 うどん屋の暖簾をくぐる。
「邪魔するでぃ!」

 ここ、埼玉では「邪魔するなら帰ってー」という者はいない。

「お邪魔します」おや?続いて、もう一人お客さんが来たようだ。

「相席、よろしいでしょうか?」と、六助の前に立ち、綺麗なご婦人が声を掛けた。
どこかしらパリジェンヌのような気品がある。どのような気品なのか、詳しいことはわからない。

「あら?突然失礼ですが、あなた、六助さんではないですか?」

「え?どうして僕のことが......」

「だって、見た目がアイコンのまんま。頭に鉢巻をしてるじゃない!」
その女性はケラケラと笑う。

「私は美月 経子(ミヅキ ケイコ)」

「あ、SNSの『セーヌ川散歩』でお馴染みの経子さん。こんなところで会うとは奇遇ですね」

「SNSで、今日あなたがここに来る事は分かっていたから、ひょっとしたらと思って......」
 経子はそういうと、フランスからここまでの道のり、入国時の行動制限が退屈で、酒ばかり飲んでいた事なんかを、ケラケラと笑いながら、次々と話し出す。

 六助はテーブルの上の割り箸を取り出すと、まるで鉛筆回しのように、指でクルクルと回しだす。どこかで聞いたような光景だ。

 六助は割り箸を回しながら、そっと経子の容姿を確認する。

 真紅の口紅に、真紅のマニュキュア、サンダルから覗くペディキュアまでもが真紅で色っぽい。うーん、足の指を一本づつ丁寧にしゃぶってみたい。

 身体の中のリトル六助が呟いた。
 身体の中のリトル六助が暴れ出した。
 六助は少しポジションを直そうと、リトル六助に軽く触れた。

 その刹那、ビリビリビリー!と、強電流が己の身体に流れ、六助はその場に倒れた。

 向かいに座っていた経子が駆け寄り、問いかける。
「六助さん、大丈夫?」

 息も絶え絶えに六助が呟いた。
「チンカスの 粉に良く似た ちんすこう」

うん、大丈夫そうだ!


(ぱひゅん)


BGM



こちらの素敵な出会いの記事を読み、妄想機関車が暴走してしまいました💦


パリジェンヌはこちらのイメージ


また今度!





えっ!ホントに😲 ありがとうございます!🤗