人間×エネルギー論
昔大学で受けた授業で先生が恋愛エネルギー論というものを語っていて,これがなかなかおもしろかった.
簡単に言えば,アイデンティティの確立とそれから生まれるエネルギーの授受で恋愛関係が説明できるという話.
ちなみに,ここで言うエネルギーは人が活動するために消費する物=心の燃料のことを指すと理解している.
例えば,幼少期は自身の内面的なアイデンティティが確立できていないので,多くの男女は自らエネルギーを生産できず,常に枯渇しているような状況にある.
そうすると,少しでもエネルギーを得られる人間に近づきたくなるので,とりあえず外見的なアイデンティティ例えば「足が速い」とか「かわいい」といったものを持っている相手をパートナーに選びたがる.
これが,中学校・高校となってくるとある程度,自我の成長を経て内面的なアイデンティティが確立されるし,その価値も理解できるようになる.
しかし,まだまだ生産できるエネルギーは少ない.自分の維持や恋愛以外での活動にエネルギーを割いたら余剰はあまり多くない.
だから,この頃の出会いは少しでもエネルギーが有る側からない側がエネルギーを奪い取って,それを外に消費することで二人の系はエネルギー総量がどんどん枯渇していく.
そしてこの二人の恋愛は熱的な死を迎える.
ちなみに,大学に入ってすぐのときに高校時代の安定したカップルが別れるのもだいたいこれで説明できる.
高校時代に安定しているカップルというのは双方にアイデンティティは確立しているものの,お互いが必ずしも潤沢なエネルギーを生産できていない状態になっている.
その状態で新しい環境に移ることで,自分の価値が高まったと勘違いして一時的にアイデンティティが高まる.
そんなときに相手が環境移行で躓いたりすれば,一時的にお互いのエネルギーの均衡が崩れてしまう.あとはあっという間.相手を下に見て「こんなのにエネルギーを割けない」となってあっけなく相手を切り捨ててしまう.
新しいサークルに入って先輩にころっと行くのもだいたいこれ.一時的なアイデンティティの高まったとき,自分と釣り合う(orそれ以上)のエネルギーの持ち主に目が行ってしまう
...ということらしい.
これがお互いしっかりとアイデンティティを確立すると奪い合う必要がなくなり,安定した関係が築けるようになる.
当時の先生の話を自分なりに聞いて,私が理解したのはそんなところだった.
私としてはこの,エネルギーの考え方をかなり気に入っていて,これを恋愛だけではなく対人関係と距離感に拡張できないかと考えた.
例えば,エネルギーは相手によって与奪できるし,距離感によってそれも選べるはず.
仲良くなったら温かいけど,近づくまでは冷たくされるとか.逆に外面は良くて,身内に冷たいとか.
で,この人間を周方向に並べればポテンシャル場のようなものが貼れる...のではないだろうか.
そういう風に考えれば,うまく使えば相手の特性を図示して,嫌な思いをしないでよい関係を構築できる...かもしれない.
悪用するならば,瞬間的にアイデンティティを喪失している人間に漬け込んで心の隙間に入ったりするということだろうか.
と,いうのはどうだろうか?
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