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第7回【投球術】②-打ち取るコツは「打者の残像」を活用
今回の記事は前回の続きになります。
前回の記事では、私が大切にしていた考えが下記の4つであることをご紹介しました。
1.ピッチトンネル
2.コントロール
3.配球
4.ブルペンでの意識付け
そのうち1と2は前回説明しましたので、今回は残りの「3. 配球」と「4. ブルペンでの意識付け」に関してお話していきます。
前回の記事をまだ読まれていない方はこちらから読めますので、是非ご覧ください。
3.配球-打者の残像を利用する
まずは、配球に関してですが、
基本的に自分は『打者の残像を利用する』ことを意識していました。
今回は「良いバッターを打ち取るときに意識していたこと」をお話しします。
ここでも初めに述べたピッチトンネルを意識します。
大きく分けると、以下の二つです。
・インコースの速い球を意識させる(4シーム、食い込むカットボール・シュート)
・アウトコース1つ分外のストレートを使う
→長打になるリスクが少ない。軌道を活かしやすくなる。
この2つをどのように使うのかということを、簡単に具体例を紹介して説明します。
以下、実際の試合での打者ひとりに対する投球例です。(動画あり)
ピッチトンネル例
・1球目 外シュート(124km/h) ボール
積極的にくる打者かどうかわからないため、1球目はボール球のシュートで打ち損じを狙い、見逃されます。
・2球目 外ストレート(127km/h) ストライク(見逃し)
シュートの軌道が頭にあるため、外いっぱいのストレートで見逃しがとれます。
・3球目 内カットボール(117km/h) ボール
1・2球目で外・外といき、目つけが外になっているところで内にくい込むカットボールを投げます。手を出してくれればゴロになるところですが、バッターは反応をするものの、バットが止まりました。
そして、ここでインコースへの意識が完全にバッターの頭に刷り込まれました。
・4球目 外カットボール(116km/h) ストライク(空振り)
外のボールゾーンからストライクゾーンへ入ってくるカットボールでストライクを取ります。バッターはインコースに意識があるため遠く感じ、腰が引けたような空振りになります。
・5球目 外シュート(126km/h) ストライク(見逃し)、三振
内にくい込む球への意識が抜けない中、外へ逃げていくストライクゾーンギリギリのシュートに手が出ず見逃し三振です。おそらくバッターの頭の中には3・4球目のカットボールの残像が残っていたはずです。
今回の配球には入っていませんが、ここに
・ピッチトンネルの軌道から外して目線をずらすカーブ
・ストレートと同じ軌道だが球が遅くタイミングをずらすチェンジアップ
の2つを織り交ぜて配球していくことになります。
4. ブルペン(練習での投球練習)での意識づけ
次に、「ブルペンでの意識」です。行うこと、意識していたことは主に以下の2つです。
①それぞれの球をどういう意図で投げるのかをはっきりさせて投げる
例えば、決め球なのか、残像の意識付けなのか、ストライクゾーンでカウントを取りに行く球なのかなど、1球の意図を想定して練習します。
その際に、苦手意識があり練習したい軌道の球を多めに投げるなどの練習は有効的で意味のある練習だと思います。
②ブルペン投球の最後の方に打者のタイプ・右左や状況を想定してシミュレーション対戦をする
この時、打席にだれか立ってもらうとなおイメージが膨らみ良い練習になります。チームメイトを打者想定するとわかりやすくイメージしやすいです。
試合前であれば対戦チームの打者など、データや映像からイメージして対戦するのがいいと思います。
これをすると、
〇実際の試合とブルペンの差が少なくなる
〇試合で配球の意図が読みやすくなる
〇いろんな配球をブルペンで試すことでバリエーションが増える
〇キャッチャーによるリードの違いに気づけ、考えを共有できる
〇キャッチャーが変わっても試合の中で対応しやすい(リードへの考えのずれが減る)
〇どこまで自分が試合を組み立てられるのか(コントロールなど)の目安になる
〇打者をたたせることでイメージと実際にどう見えているかのギャップにも気付ける
など、いいこと尽くしです。
ただ球数を投げて練習をした気になっていませんか?
いくらいい球を投げようと、それが試合で抑えることにつながらなければ何の意味もありません。
工夫次第でブルペンと試合を近づけることはできるので、ぜひ参考にしてみてください。
次回は最終回となります。
私が最も伝えたいメッセージを込めましたので、是非ご一読ください。