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名刺を交換しよう!📇

はじめに

産業保健領域で、 「名刺を交換することにどんな意味があるんですか?」とか「名刺を交換しても全然ネットワークが広がりません」といった意見が聞かれました。そこで、産業保健職向けに名刺を交換することの意義・メリットについて説明していきたいと思います。

名刺を交換する場面

産業保健職にとって名刺を交換する場面はたくさんあります。代表的な場面としては、学会会場、懇親会会場、セミナーや勉強会があり、他にも飲み会、ランチ会、会議などといったものが挙げられます。

それでは「名刺交換の意義・メリット」について一つ一つ説明していきたいと思います。

挨拶のきっかけ

名刺を交換することの意義の1つ目としては、まずは「挨拶のきっかけ」が挙げられると思います。前述したような場面でも、話をするかどうか、声をかけるかどうか、なかなか喋るタイミングがつかめない。といったことで悩まれている方は多いのではないかと思います(自分も意外に人見知りだったりしますので笑)。 名刺はそんな時にとても便利に話しかけるきっかけを与えてくれます。名刺を持っていき、「名刺を交換させてください」、とか、「ちょっとご挨拶させてください」、とか、なんなら名刺を持って近くで待ち構えているだけで話そうとしている姿勢が伝わるのじゃないかなと思います。名刺は、未だあえてアナログな「紙」であり、ともすれば不便なものではありますが、結構意外に便利なツールじゃないかと私は考えています(Eightなどの名刺アプリも入れてますが、個人的には紙派です)。

セミナーの感想を伝えられる

これは相手が講演会の講師をしている時のように状況が限られますが、 名刺を交換することで、セミナーや講演会の感想を伝えられるといったことも非常に大きな意義だと思います。もちろん名刺がなければできないわけでは無いのですが、やはり名刺があった方がきっかけは作りやすいでしょう。

お互いの名前を認識し合える

名前を認識できると言うのも名刺の重要な意義だと思います。まさに言葉通り「名刺」と言うのは名前が書いてあるツールです。そのため自分の名前を相手に示すこともできますし、相手の名前を認識することもできます。学会会場や研修会などによっては名札があったりもしますが、名刺を交換することで、より、お互いの名前を認識し合えるのではないかと思います。個人的には、相手のことを顔だけではなく、字面(じづら)で認識する、記憶することも多いので、名刺を交換することで、より相手のことを強く認識できると感じています。
なお、自分は顔とか名前を覚えるのがかなり苦手な方なので、名刺を交換することは名前を覚えるためにも必須なんですよね。顔はおぼろげに覚えていても、名前は字面で覚えているということはしばしばあります。論文とかで名前だけ知っているということもありますし、「名前の字面」は大事です笑!

お互いの立場を認識し合える

産業保健職にとって、どのような組織にいるのか、どのような部署にいるのか、そしてどのような職位にいるのかといった事は非常に重要です。自己紹介する時も、自分が所属している企業や部署を紹介することも多いです そのため、名刺を出し合うことによって、お互いの組織、部署、職員を認識しあえると言うことも名刺の意義として非常に重要だと思います。産業保健職は 所属する部署も様々で、例えば、総務部門や人事部門、はたまた、健康管理部門と色々です。職位としても管理職の方もいればそうじゃない方もいます。 後述するように、その後の話のとっかかりにも関係してきますので、このように、相手の立場などを認識する事はとても重要な名刺交換のメリットかなと思います。

収集癖としての名刺

これはかなり私だけが感じている意義・メリットになってくるかもしれませんが、名刺を集めること自体が楽しかったりします。なんとなく、いろんな人の名刺を眺めていると、楽しいというか、少しずつ業界がわかってくるような気もしますし、大企業や有名企業の名刺のデザインを眺めたり、そこに企業の特徴が出てくるのも面白いですよね。変な話ですが、偉い人の名刺をゲットするとちょっと嬉しくなります笑。企業によっては、かなりメッセージ性の強い名刺もあったりします。 独立開業、個人事業主の方の場合には、企業に様々な思いを込めていたり、営業的な要素を盛り込んでいたりするので、それも勉強になる気がします。名刺を集めていくと、企業ごとのグルーピングができるため、名刺交換をした人たちを、名刺によっても整理することで関係図が分かったりもします。

出会いの歴史がわかる

例えば、学会後の飲み会やランチ会のような場で、違う人の名刺入れをちょっと覗いてみると、その人が学会でどのような人に出会ったのかといったことがわかるのも、個人的には面白いかなと思っています。学会会場とかには有名な方もいたりしますので、そういう方と会って話したんだなってことも名刺を見れば分かりまますので、「どんな話をしたの?」「どういう方でした?」といったことで盛り上がったりもします。他の人の名刺入れを覗かせてもらうのもおすすめですよ笑

会社に報告できる

企業によっては、学会や研修会に行った後に参加報告を上司に提出する必要があります。その際に名刺を交換しておくと、どのような人に出会ったかと言うことが一目瞭然になりますので、会社に参加報告かしやすくなるといったメリットもあります。サボっていないことの証とも・・・笑。もちろん、名前だけを記憶しておくことでもいいのでしょうが、相手の企業名や所属部署、職位などもわかっておくと、実際にどのようなレベルの方とお会いしたかも説明しやすいのではないでしょうか。次のセミナーはこの人に依頼する、みたいな話もできるかもしれませんよね。

情報収集に活用する

産業保健上の共通項を見つけよう

名刺を交換した際に、相手と自分との産業保健上の共通項を見つけると言うこともメリットの一つだと思います。わかりやすい例で言うと、企業の業種や地域、プロダクト・サービスなどで共通している部分があるかもしれません。大企業であれば、さまざまなプロダクト・サービスを提供していますので、どこかで自分が担当している企業と重なりが出てくることもあるでしょう。

相手の産業保健活動を聞いてみよう

名刺を交換した際に、相手の企業やの産業保健活動についてガンガン聞いてみると言うのもありなんじゃないかと思います。理想的には、「雑誌でお見かけしたのですが」、「学術誌で読みました」といったことがあると、より話かけやすいですよね。業界的に先進的な取り組みをしている企業や、良好事例(健康経営や化学物質管理など)として注目されている企業がありますので、そういった情報を持っていると話を振りやすくなる気がします。仮にそういった情報がなくても、回答に困る変な質問や、回答が長くなるようなものでなければ、色々と聞いちゃっても全然いいのではないかと思います。

自社の困りごとを相談してみよう

名刺を交換した際に、自社の産業保健上の困り事をちょっと相談してみると言うのもありだと思います。ただし、特殊な困り事とかではなく、比較的ポピュラーな・同じように困りやすい内容であれば、相手も話しやすいのではないかと思います。 例えば、「御社は業界的に従業員の女性の比率が高いようですが、女性従業員の支援はどうされていますか?」とか、「弊社では少しずつ高齢労働者も増えているのですが、御社の取り組みを教えていただけますか?」とか話を出してみることもよいと思います。

ネットワークが形成できる

名刺を交換することで、ネットワークが形成できると言う話はよく聞くと思いますが、実際には 名刺をたくさん交換したところで、ネットワークの形成には生かせなかったという話もあります。例えば、地域の産業保健総合支援センターの研修会に参加して、近くの席の人と名刺を交換したものの、その後連絡をやり取りするほどの関係には至らず、ただ名刺を交換しただけで終わってしまったという話もよくあるようです。 そこで、この記事では、実際に名刺交換することでネットワークを形成するためのヒントについて説明していきます。

共通の知り合いが探そう

名刺を交換した際に、相手と自分との共通の知り合いがいると言う事は、ネットワーク構築の足掛かりをつくるための定石となるやり方です。 やはり、お互いの共通の知り合いがいることで、相手が何者なのか・自分が何者なのかが想像しやすくなりますよね。 例えば、Facebookでも、共通の知り合いが何人いるかということがわかると、相手との共通項、相手とのコミュニティ上の重なり感が分かったりします。なるほど、そういう感じの人ね、って理解されることもあるんですよね。

仕事や研究の話を具体的にしよう

よくも悪くもネットワークを作ると言う事は、お互いが今後つながりを持つことにメリットがあるかどうかといったことも現実的にはあるのではないかと思います。そこで、仕事の話や研究の話をすることで、今後具体的にどのようなところで連携する余地があるのか、連携したいのか、 仕事等の依頼ができるのかどうかという突っ込んだ関係になることもあります。例えば、「健康診断の**という事について調査をしているので、もし知見があれば、今度具体的に相談をさせてください」、といったことや、「現在、地域の**大学と学生の受け入れについて連携をしているので、もしご協力いただけるようであれば連絡をさせてください」と言ったことです。何かしら、名刺交換以降に、「その後に具体的な連絡をするとっかかりを作っておく」、ということでしょうか。

自己紹介をする

名刺交換をする際には、ほんの数分程度の会話になってきます。その短い時間で、いかに自分のことをうまく紹介できるか、そのことで、相手が自分に興味を持ってくれるかどうかといった事も、ネットワーク構築に役立ちますよね(自分はあまり得意な方ではないのですが)。つまるところ自分が何者なのか、相手にとって役に立つ人間なのか、どこに活用可能性がある人間なのか、ということなのだと思います。あえてすごい冷たいことを言えば、ただのテイカー(もしくは利己的な人間)とは誰も繋がろうとしませんよね。恐らくあなたもそうでしょう。つまり、あなたがギバー(もしくは利他的な人間)として振る舞えば、自然とネットワークを構築されていくのではないでしょうか。情報もネットワークもギバーのもとに集まってくるものだと思います。

名刺を工夫しよう

他人が興味を持ってくれるような、話のとっかかりになるような工夫された名刺を作ることもネットワーク構築に役立つと思います。 例えば、自分の専門分野、自分の持っている資格(例:公認心理師、産業カウンセラー、健康経営アドバイザー、博士(医学)など)、自分がどのような研究をしているのか、自分の趣味(例:ヨガ、ゴルフ、ランニング、登山など)、家族(例:子供が何人)、地元、興味関心事、SNSアカウントといったことです。 企業によっては、自分の名刺をあまり加工できないところも多いかと思いますが、可能な範囲で自分の名刺を工夫してみるのもありかもしれません。 場合によっては、仕事の名刺とはまた別に、二枚目のプライベートの名刺を持ってみるのもありでしょう。 プライベートの名刺の方が自由度が利き、自分の個性を出しやすくなりますので、前述のような情報を盛り込むことも容易です。オンラインで発注すれば数千円もあれば作ることができますので検討してみてください。

共通の趣味でつながろう

ネットワークとして繋がりを持つためには、 共通の趣味を持ってつながることもありなんじゃないかと思います。これは、自分自身がゴルフをしていることもあるのですが、それもある意味ではネットワークスキルですよね。繋がりのとっかかりとなる趣味を自己開示してみてはどうでしょうか。他にも、以下のような産業保健Run Run部があったり、登山部があったりするようですよ。仕事だけでは疲れてしまいますしね、名刺交換の際に、さりげなく自分の趣味をアピールしてみてはどうでしょうか?

https://twitter.com/korokoro_nurse/status/1686714179032395776?s=20

後日メールをしてみよう

定番中の定番ですが、名刺交換をして、後日にお礼のメールや挨拶メールを送るのもネットワーク形成のためには有効ですよね。個人的な印象ですが、実際に名刺交換をすると100人中5人程度からメールがくる印象です。他の人がほとんどしないからこそ、あえてメールをすることでインパクトを残すというのも重要ですよね。少なくともしないよりはした方が、その後つながりを作るためには有効だと思います。とは言え、メールをしたところでネットワークに繋がらないという感想も多いようです。メールをするだけではなく、いかにプラスアルファの繋がりのとっかかり(仕事・研究・趣味・SNSなど)をつくれるかどうかだと思います。

SNSでつながろう

名刺交換をするだけではなく、FacebookやX(旧・Twitter)、Instagram、LINEなどのSNSでつながりをつくることはとても有効だと思います。個人的にはこの手法を強く勧めます。やはり、日常的なSNS活動で、その人がどのような人となりで、どういう生活をしているか分かるだけでも、その後やりとりがしやすいですし、ビジネスメールよりも、messengerやLINE、DMなどの方がメールしやすいですよね。また、そのためにも、名刺にSNSアカウントを載せるのも有効だと思います。知り合い感を醸成するためには、頻度が重要なので、SNSでよく見かけたりすると、久しぶりなのに久しぶりな感じが減りますよね。「いつも投稿を楽しく拝見してます!」と話しかけやすいですからね。

ご飯に行こう

勇気をもって、お茶やご飯、飲みに誘っちゃいましょう。別に勇気をもたなくてもいいかもしれませんが笑。学会の場合には何日間か滞在することも多いですし、「知り合いと飲むので一緒にどうですか?」とか「明日のランチとかどうですか?」といった誘いが気軽にしやすいですよね。もちろん、後日に誘うのもありです。産業保健のネットワーク形成は「積極性」こそがキーだと思います。

産業保健職のネットワーキングのコツ(音声)


おわりに

名刺交換の意義やメリットについて説明してきましたが、いかがだったでしょうか?名刺交換する機会は多くありますが、実際のその機会をどう活かすか、ネットワーク形成に繋げられるかどうかは、ちょっとしたアクションをするかどうかなのかなと思います(書きながら自分でも言語化していてそう思いました)。名刺交換するだけでは、ただのカード集めです。個人的には収集するだけでも楽しいので、最初はそれでよかったのですが、そこから、さらにメリットを享受するためには、それだけではダメだったんでしょうね。本を読んだり、論文を読んだり、ある程度業界のことを知るようになってくると、共通の知り合いも増えてきますし、自分自身の名前も知ってもらえたりしてきますので、そういうことでまた名刺交換するメリットがあがってくるという好循環もあったように思います。

次回の産業衛生学会@広島も初日から行きますので、ぜひ名刺交換しましょう!お声がけくださいませー📇

おまけ

名刺は箱で!

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