主治医の先生向け~復職診断書の書き方~
自己紹介
私は、産業医科大学を卒業して、産業医学・産業保健を専門として活動しているガチ産業医と申します。普段は、産業医学・産業保健の実務や研究、教育活動に従事しているとともに、noteやTwitter(X)では、産業医活動の落とし穴(ピットフォール)の切り口を中心に情報発信をしております。
この記事の背景
近年、少子高齢化や労働力減少、治療成績の向上を背景に、がんや難病、脳卒中などの疾病を抱える労働者に対して、職場での配慮を行い、治療と仕事を両立できるようにする『治療と仕事の両立(両立支援)』の動きが広がってきています。労働者4割が55歳以上になるというデータもあり(*)、病気を持ちやすい高齢の労働者はさらに増加することも確定的であることから、これからは労働者はなんらかの病気を抱えながら働いているという状況が予測されます。
病気を抱える労働者に働いてもらうためには、職場側と主治医側との連携が非常に重要になります。特に、働くことを中断せざるをえないとき(=休職時)と、再度働こうとするとき(=復職時)には、その ”連携” の重要性がグッと増します。"連携" とはいっても、実際には「診断書」という書類を介したコミュニケーションが行われることになります。しかし、そのやりとりにおいて、診断書に書かれた内容を巡って多くのミス・コミュニケーションが生じているのが現状です。そのミス・コミュニケーションは患者(労働者)側・職場側の双方にとって不利益をもたらしています。
ミスコミュニケーションの事例
このようなミス・コミュニケーションの事例はよく起きています。当該従業員(患者)、企業・職場・主治医にもそれぞれの事情があります。これは誰かが良い・悪いということではありません。もう少し前に情報を伝えていればよかった、企業側のルールがちゃんとできてなかったとか、ちょっとしたボタンの掛け違いの連鎖が続いただけです。しかし、「たかが診断書、されど診断書」で、書類でのコミュニケーション・エラーによって、結果的には、当該従業員(患者さん)は企業側とトラブルになってしまい、職場での不利益な扱いを受けたり、再休職・退職になったりすることがあります。企業にとっても貴重な人材を失うことになります。
そこで、少しでもこうしたミス・コミュニケーションを減らしたいと考え、この記事を作成することにしました。ご診療されている患者さんにとって、働くということは患者さんの人生の一部であるからこそ、それを取り巻く関係者間が「診断書」を介して、よりよい連携ができるように、少しでもこの記事がお役にたてれば幸甚に存じます。
なお、ほとんどの事業所に産業保健職はいませんので、この記事は、産業保健職(産業医・看護職等)がいない企業のことを想定して作成しております。
復職時の診断書に書いてほしい事項
復職の診断書に書いていただきたいのは、以下の5つの事項です
☆事項1:診断名
記入の目的「業務に従事できなかった医学的事由が消滅したことを証明するため」
職場に提出する診断書は、
休職の診断書は
「従業員が働けない医学的な事情の証明」
であり
復職の診断書は
「従業員が働けなかった医学的な事情がなくなったことの証明」
です。
そのため、働けなくなっている医学的な事情を示すことができれば、職場に提出する診断書としての目的は達成します。診断名はいうなればそのためのお飾りのようなものです。なお、この記事の資料①で示している厚生労働省のフォーマットには、診断名を記入する欄はありません。
<Q. 診断書にどこまで正確な診断名を書けばいいのか>
どこまで診断名は正確じゃなければいけないのか、疑い病名ではいけないのか、といった質問はとても多くいただきます。まだ精密検査を行っている途中であったり(例:瘍性病変、自己免疫性疾患疑い)、スティグマや誤解を招きやすい病名であったり(例:AIDS、統合失調症)、本人に病名を告知をしていないような場合、診断名を出さないことに治療的意義がある場合もあるかと思います。そのため、診断名を書く際には、「働けなくなっている医学的な事情を示す」という目的に立ち返っていただき、その目的を達成できる程度の診断名の表記であれば基本的には十分です(例えば睡眠障害や抑うつ状態など、解像度低めで構いません)。ただし、後述する事項3、事項4について記入する場合には、診断名が曖昧では職場側の納得感が得られにくいことがありますので、もう少し説明を加えたり、解像度高めの診断名を書いていただいた方が職場側の理解は得やすいと思います。
☆事項2:復職の可否
記入の目的「復職可否の判断を示すため」
この記事は診断書のうち、「復職診断書」を扱っていますので、復職の可否の記載が診断書には必要になります。ここは
「復職できる(=復職可)」
「復職できるが条件が必要(=条件付き可)」
「復職できない(=現時点では不可)」
の3つのいずれかになります。
<復職できるかどうかの考え方>
厚生労働省の資料①が示すとおり、復職の判断基準の目安は概ねこの5つが重要になります。①~④については社会生活を送る上では基本的なことだと思います。一方で、⑤については、人によっていろいろな仕事に就いていますので評価はとても難しいものになります。職場側としても、究極的には業務が遂行できるかどうかは「復職してやってみなければ分からない」のです。産業医がいても同じです。とはいえ、業務がほとんど遂行できない体調の状態で復職すれば、また体調を崩してしまう懸念がありますので、不完全であってもなんらかの形で外来でも⑤を評価しなければなりません。そこでおすすめするのは以下のような聞き方です。
『元気だったときの仕事のパフォーマンスを100%とした場合、復職したらなん%くらいのパフォーマンスが発揮できますか?』
『同僚と比較して、同じくらいの仕事ができそうですか?』
『一人分の仕事量をこなせそうですか?』
『100点満点でいえば、今復職した場合の仕事の出来はどのくらいだと思いますか?』
このような質問をして90%(0.9人分・90点)以上であれば、概ね⑤業務が遂行できる項目を満たしていると考えられると思います(甘く見積もっても、80%以上は欲しいところです)。日本人は謙遜しがちですし、いやぁ私なんて・・・という方もいるかもしれませんが、職場というのは働く場所であり、リハビリの場所ではありませんので、本人が復職して仕事がおおむねできそう、という自信がない限りは、仕事に復帰することも難しいと判断せざるをえません。
主治医として、外来の短い時間で仕事の詳細を把握するのは難しいため、問診する時間にも限りがあります。そのため、まずは本人が仕事ができそうかどうかに基づいて判断すれば問題ないと思います。症状が残存していて、かつ日常生活上の制限が必要な場合には、追加で仕事の具体的なことについて聞いていただくとよいと思います。
☆事項3:安全上、制限が必要な作業
記入の目的「安全の確保のため」
事項2で「復職できるが条件が必要(=条件付き可)」という患者さんについては、事項3,4の記入もお願いいたします。こちらは、復職時に症状や病態から日常生活上のなんらか制限(塩分制限、運動制限、食事制限、運転制限、飲酒制限など)が必要な方が主に該当します。
つまり、復職はできるけど、この作業はさせたら危ない!という条件があれば、それを書いていただきたいです。「安全上、制限が必要な作業」「業務の内容について望ましい就業上の措置」「安全上、要する就業制限」などのような表現もありますが、いずれにせよ、簡単に言えば
『1. その作業をさせたら病状がすごく悪化する!』
か
『2. その症状で作業させたらすごく危ない!』
の2点で考えてください。
この2点についてこれから説明していきます。
『1. その作業をさせたら病状がすごく悪化する!』
仕事によって労働者の病状・経過にすごく悪い影響を与えることが医学的に想定される場合には、主治医としては安全上絶対に許可できないことを記入してください。つまりは絶対的なドクターストップ事項です。
例えば、以下のようなものです。
・心不全のある労働者に対して過度な重筋作業を禁止する
・肝不全のある労働者に対して肝毒性物質取扱い作業を禁止する
・腎不全のある労働者に対して腎毒性物質取扱い作業や脱水の恐れのある暑熱作業を禁止する
ここで難しいポイントは、"すごく" 悪化する(= "著しく" 悪化する)かどうかです。仕事をすることは、多少なりとも健康状態を悪化させる可能性があります。例えば、夜勤業務で血圧が上がったり、重量物で腰を痛めたり、上肢挙上作業で手術創が痛んだり、人間関係でメンタルヘルス不調に影響が出ることは当然にありえます。とはいえ、「ちょっと」悪化することまでドクターストップをかけてしまうと、その患者さんができる仕事の幅が大きく狭まってしまいます。そのため、ドクターストップをかけたとしても、その患者さんが与えられた仕事がおおむね8割以上遂行できることが復職の一つの考え方です(もしくは、その人が中核的な業務をこなせること)。逆に言えば、ドクターストップをかけたら仕事がほとんどできなくなるのであれば、その人は復職するほど回復していない、任せられる仕事がない、ということになります。
周辺的な業務は難しいが、中核的な業務ができれば復職できる例を挙げます。遂行できる業務が十分であるかどうかを判断するのは企業側ですので、企業として、その患者さん(従業員)に期待する業務が十分に遂行されるのであれば、復職は認められるとも言えます。8割という線引きはあくまで目安ということになります。
なお、医療機関のように患者さんの身体・生命を扱うような職場では、なにか業務上のミスがあっては困るため8割ではなく10割じゃないとダメということもあるでしょう。また、警察官や消防隊員のように危険が伴う業務の場合には、体調に不安があれば、同僚にも危険が及ぶため、100%体調が回復しないと業務に就かせないという判断もありえます。
『2. その症状で作業させたら本人も周りの人もすごく危ない!』
ある疾患を抱えながら仕事をすることで、本人や同僚、市民、地域住民を脅かすような事故のリスクが増大することが想定される際には、それを予防する目的で就業制限が必要になりますので記入していただきたいです。特に突然死や失神などの意識障害が併発するような疾患に適応されます。これは企業リスク管理としての観点が含まれますが、重要なことは本人の命や安全を守ることです。ただし、就業制限をかけることは、患者さんの働く幅を狭めてしまうため、慎重な判断が必要です。リスクがあっても働きたいと考える方もいますし、その業務で働くことは本人にとって尊厳とセットであることもあります。
例えば、以下のようなものです。
・意識消失リスクのある労働者の高所・一人作業を禁止する
・不随意運動のある労働者の大型設備の操作作業を禁止する
・てんかんのある労働者の運転作業を禁止する*
(てんかんのある方でも条件によって運転は可能です)
事項3の書き方の例
この事項は医師としての意見(医師の判断)です。なぜその制限が必要なのかを企業側にも理解してもらうために、症状や病態を最低限でも書いておくとよいと思います。また、断定的な表現で書いていただくことで医師の意見であると伝わりやすくなります。「判断する」「させないでください」「必要である」「要する」が用いられます。
☆事項4:その他の配慮事項
記入の目的「業務を行いやすくするために職場でできることを検討してもらうため」
事項2で「復職できるが条件が必要(=条件付き可)」という方は、事項3,4の記入をお願いいたします。事項4は、前提として業務が十分に遂行できることを前提として、絶対に許可ができない程度ではないが、できれば配慮されることが望ましい事項になります。こちらは、広義の合理的配慮であったり、"Reasonable Accommodation"と表現することもあります(狭義の合理的配慮は障害者に限定される)。
業務は遂行可能であることを前提として、職場内でなんらかの配慮を行うことで、
・業務のパフォーマンスがあがるであろうこと
・業務の継続がしやすいこと
・再発・再燃・悪化のリスクを下げること
・より安全に業務が遂行できるであろうこと、
などが期待されるようなことが含まれます。
例えば、以下のようものです。
事項4の書き方の例
この事項は医師としての意見(医師の判断)ではなく、本人の希望も反映されるものです。申し出に基づき企業が実施を検討し、企業として可能な範囲で実施されるという位置付けになります(実施義務はない)。主治医として、患者さんの症状から職場で配慮した方が良さそうなことを、本人から仕事の内容を問診した上で、記入していただければ幸いです。事項4についても、なぜそれが必要なのかを理解してもらうために、症状や病態を最低限でも書いておくとよいと思います。また、断定的な表現ではなく、「検討してください」「協議してください」「話し合ってください」「助けになります」「おすすめです」といった表現を使うことで、事項3と明確に区別することができます。
以下のサイトから症状ごとの職場の配慮の方策について資料が公開されていますので、どういった事項が職場で配慮されると患者さんにとって働きやすいかを患者さんとともに話し合っていただければと存じます。
☆事項5:日付
記入の目的「復職が可能になる日付と、制限や配慮が必要になる期間を示すため」
フォーマット上は、「上記措置期間」という欄名になっています。
開始日は、復職可能日を記入します(☆事項2)。患者さんと相談していただき、この日以降であれば復職できそうという日付を決めてください。指定されたフォーマットを用いない場合には、「~月~日以降復職可」「~月~日に上記診断とする」と書いてください。診断書発行日から、あまりに先すぎる復職可能日を書きますと、先のことで不確定な要素が入るため、復職面談や復職日の調整に困難をきたしすぎますのでお避けいただければ幸いです。長くても2週間程度が妥当なラインだと思います(復職できると思って職場側も調整したが蓋を開けてみたら復職できなかった、ということが繰り返されると患者さんが職場での信頼を失うことに繋がりかねません)。
終了日は、制限事項や配慮事項の期間を記入します(☆事項3,☆事項4)。ただし、終了日が特定できない場合には空欄とする場合もあります。また、”次回通院日まで”、”当該症状が軽快するまで”、といった記入方法もあります。
注意点
①虚偽の内容
当たり前ですが、診断書ですので、虚偽の内容は書かないでいただきたいです。例えば、虚偽の病名や、症状、制限事項を隠すことがありえます。主には、運転業務を行う患者さんが該当しやすいと思います。運転ができない病態と診断しながら、患者さんの免許取消しを回避するために診断書に記載しなかったところ、患者が自動車事故を起こした場合、診断書に虚偽の記載をしたことになるので虚偽診断書作成(刑法160条)、虚偽公文書作成(刑法156条)に該当することもありえるそうです。
②事項3と事項4の整理
一部の方は、ご自身の希望を診断書に盛り込むことで、診断書を盾にして企業側に自らの希望を主張することでトラブルに発展するケースがあります。そのため、☆事項3と☆事項4は明確に分けていただきたいです。
『☆事項3「安全上、制限が必要な作業」』については、医師の意見として記入する事項になります。これは、医学的な見地から作成するものであり、「患者さんの意見・意向」を汲み取って作成するものではありません。患者さんから職場の情報を聞き、なんらかのバイアスが含まれることはあり得るとは思いますが、基本的に「患者さんの意向」に沿って書かない、ということに注意していただければと存じます。
『☆事項4「その他の配慮事項」』は、広義の合理的配慮といえますが、企業側には配慮の実施義務はありません。主治医の意見や本人の申し出に基づいて企業が実施を検討する→検討した上で実施可能であれば実施される、というものになります(合理的配慮は、企業の過重な負担にならない範囲で実施されます)。また、業務軽減は合理的配慮ではありません。患者さんから仕事内容を聴取し、話し合った上で書いていただくことで、職場の状況に即した内容になると思います。
よくあるトラブル例 ~夜勤(交代制勤務)~
夜勤業務(交代制業務)は、不規則な生活となり、体調悪化につながりやすい勤務形態のため、復職時に制限事項としてあげられやすい事項です(労働者の2割にあたる1200万人程度が従事しており労働者数が非常に多いこともあります)。一方で、夜勤業務前提で採用されている労働者も多いため、夜勤業務が復職時に制限されてしまうとトラブルになりやすいとも言えます。
夜勤業務制限について、前述の流れで考えますと、『1. 夜勤業務をさせたら病状がすごく悪化する!』か『2. その症状で夜勤業務をさせたらすごく危ない!』に該当するのであれば事項3として診断書に記入し、該当しないのであれば、事項4として記入することになります。
病態によっても異なりますが、復職して働けるほど体調が回復している場合には事項3に該当することは非常に少なくなります。夜勤業務に従事することで病状が少し悪化することはありえますが、すごく悪化する医学的知見はほぼなく、ドクターストップをかけるほどではないことが多いでしょう。例えば、脳・心血管発症後に復職する方の夜勤業務制限が限定的な例として挙げられますが、これですら絶対的な制限事項ではなく、脳・心血管疾患発症後でも夜勤業務は可能です。そのため、夜勤業務制限は、ほとんどの場合において、事項4として書いていただくことになります。例えば「不眠症状が残存しているため、夜勤業務を復帰直後(1か月程度)は控えることが実施可能か職場で話し合ってください」という書き方になります。
よくあるトラブル例 ~配置転換~
体調を崩した原因が元の業務や職場の人間関係などにあると患者さんが考えている場合には、復職時に配置転換を求める方は非常に多いです。一方で、企業側は人員配置や組織的な事情から配置転換することは容易ではありませんので、配置転換を要すると診断書に記載されているとトラブルに発展しやすくなります。
配置転換について、前述の流れで考えますと、『1. 元の部署で業務をさせたら病状がすごく悪化する!』か『2. その症状で元の部署で業務をさせたらすごく危ない!』に該当するのであれば事項3として診断書に記入し、該当しないのであれば、事項4として記入することになります。
病態によっても異なりますが、復職して働けるほど体調が回復している場合には事項3に該当することは非常に少なくなります。アレルギーや呼吸器系の疾患を抱えている患者さんが元の職場に悲惨している化学物質を吸うと著しく悪化する、上司の顔を見るだけで著しく体調が悪化する、といった状況が考えられます。そのため、配置転換についても、ほとんどの場合において、事項4として書いていただくことになります。例えば「人間関係が原因で体調を崩したと本人がおっしゃっており、配置転換することも実施可能か職場で話し合ってください」という書き方になります。
③患者さんからの依頼
患者さんが診断書への記入を依頼してきた場合にも注意が必要です。例えば「夜勤業務はできないと診断書に書いてください」と依頼される状況です。主治医の立場や患者さんとの関係性上、無下には断れないという事情もあろうかと思います。しかし、患者さんからの依頼をそのまま書いてしまうとトラブルに発展しかねませんし、結果的に患者さんのためにもなりません。そのため、次のような対応がよいと思います。
対応1 事項4として記入する
「不眠症状が残存しているため、夜勤業務を復帰直後(1か月程度)は控えることが実施可能か職場で話し合ってください」
対応2 患者さんの希望であることを明確にして記入する
「患者さんは、夜勤業務に従事することで体調が悪化してしまうことを懸念されており、夜勤業務の免除を希望しています。」
対応3 診断書には書かない
夜勤業務がしたくないのであれば、自身の口で職場側に話すように、患者さんに伝える。本来、職場での配慮を希望する場合には、本人から申し出を行うことが原則であり、医学的に必要な事項ではない限りは、それを診断書が代弁する必要はありません。
④配慮前提の復職
職場というのは働く場所であり、リハビリの場所ではありませんので、本人が復職後に、仕事がおおむねできそう(業務遂行可能)、という状態が復職の条件となります。そのため、同僚からのヘルプを前提としたり、業務の軽減を前提とした復職は基本的には避けていただければと存じます。
職場側としては、結果として復職直後になんらかの配慮を短期間限定で行うことが多く、残業にならないようにしたり、出張業務を減らしたり、業務を調整することはありますが、それを前提として復職すると職場内でトラブルが起きてしまい、患者さんにとってもデメリットが生じうることをご理解ください。復職がゴールなのではなく、復職後も長期に元気に働いていただきたいからこそ、配慮がなくても働くことが、本人の自立を高めるために必要です。
⑤個人情報
診断書は提出された後に社内の誰が見るか分かりません。そのため、情報は最低限とし、必要な情報以外は書かないということも重要になります。診断名ですら、ときに誤解をうむような、例えば、出生歴や、家族背景、遺伝情報、初診時からの詳細な経過、詳細な治療内容は特にご注意ください。ただし、☆事項3や☆事項4を記入する場合には、全く情報がないままに制限や配慮はできませんので、最低限必要な情報を書いた方が企業側の対応も円滑になると思います。
参考資料
資料①治療と仕事の両立について
資料②新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント
資料③心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き~メンタルヘルス対策における職場復帰支援~
資料④中小企業における治療と仕事の両立支援のススメ
参考記事
本記事はpho先生の記事にインスパイアされて作成しました。
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