2月の花の俳句(季節を味わう#0047)
「季節を味わう」では、毎月第4水曜日にその月の花を詠んだ俳句をご紹介します。あくまでも素人の好みで選んでおります。
【梅】
春の季語である梅は、中国が原産で、8世紀ごろ日本に渡ってきたと考えれています。約4500首が収められている『万葉集』には、梅の花を詠んだものが119もあるそうで、かつては花といえば、桜よりも梅だったことが伺えます。
単に梅といった場合は白梅を指します。まだ寒さが残る中に咲く様子が愛されてきました。紅梅は白梅に比べて開花がやや遅く、同じ梅といっても句を詠む人にとってはわずかに季節感が違うと捉えられているようです。
梅が香にのつと日の出る山路かな 松尾芭蕉
立春もすぎ、季節は春だというものの、まだ肌寒さがまだ残る時期。山道を歩いていると梅の香りが漂ってきた。その香りに誘われるかのように、朝日が昇ってきた様子を読んだものです。
「のっと」という擬態語は、早春の朝日がじんわりとではなく、不意に現れた様子を表現しており、急な夜明けに軽い驚きを感じた様子も伝わってきます。
松尾芭蕉は晩年、平易な言葉で日常のさりげないことを表現する「軽み(かろみ)」を提唱しました。この句もその一つ。大仰に格式張ったものではなく、日常身近にあるものに美を見出し、それを平易な言葉で表した松尾芭蕉の「軽み」は、現代人である私にもわかりやすく、身近に感じられます。
(2024年2月28日)
「季節を味わう」は大阪府箕面市のラジオ局 みのおエフエムの毎週水曜日午前11:30と午後8:40から放送しています。
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