「儲かる鉄道」大解剖! 東急とコラボJR北海道の豪華観光列車、シート変形の西武40000系、えちぜん鉄道は車社会に挑む!
"読むがっちりマンデー!!”ということで、番組の‟書き起こし”をすぐにお届け。前日に放送した最新の儲かりアイデアや戦略を、ビジネスに活かしてもらえるとうれしいです!
今回のがっちりマンデーは…「がっちり列車2020」
鉄道業界の売上げは、
ここ数年右肩上がり!
昨年度は15兆9000億円、とかなりのがっちりなんです!
それを支えているのが、
全国に次々と登場する、新型儲かり列車!
あの手この手でお客さんを呼び寄せる!
スゴいのが全国各地に出てきているんです!
赤字で大ピンチ!JR北海道の救世主となるのは、
まさかの裏技でゲットした、豪華観光列車!
西武鉄道では、
2つの顔を持つ謎の列車が、
2つの路線を走って大活躍!?
お客を呼び寄せる「がっちり列車」が続々登場します!
※以下、3/29に放送した内容の書き起こしです。
JR北海道の救世主!超豪華列車が北海道を走る仕組みとは?
まずやってきたのは…
札幌にある、JR北海道の本社。
JR北海道で走るがっちり列車とは何なのでしょうか?
営業部長の林雅子さんに話を伺いました。
林さん:ザ・ロイヤルエクスプレスです。
スタッフ:ロイヤルエクスプレス?ってどういう列車なんですか?
林さん:北海道内を走る観光を目的とした豪華列車です。
スタッフ:豪華ですか?
林さん:かなり豪華です!
その豪華列車が…
こちらの「クルーズトレイン、ザ・ロイヤルエクスプレス」
車体は、高貴な色とされるロイヤルブルー
内装は木材のぬくもりと、高級感があふれる作り。
食事の時間には…
クラシックの生演奏を聞きながら…
ミシュランの星付きレストランの
味が楽しめるという、なんとも贅沢な作り。
ツアーは3泊4日。
札幌を出発し、十勝、釧路、知床、北見、旭川、富良野と、
北海道をぐるっと一周。
寝台列車ではないので、
それぞれの街のホテルに泊まる仕組み。
なので、地元もがっちりというワケ。
この「ザ・ロイヤルエクスプレス」。走り出すのは、今年の8月から。
お値段は、ホテル代やお食事代込みで67万円から!と、
なかなかしますが…申し込みが殺到!
2月の発売直後に定員に達したという。
JR北海道にとっては、これまでにない「がっちり列車」になることが
確実なんです!
せっかく素敵な観光地があるんだから、
もっと早くクルーズトレインを走らせればよかったのでは…!?
林さん:私共の経営体力では、豪華な観光列車を作ることはなかなか難しいということです。
そう、JR北海道は、JR各社の中でも
かなりの赤字をかかえた大ピンチの会社。
昨年度の営業赤字は559億円。
とても新しいクルーズトレインなんて、作れない!
では、どうして豪華なクルーズトレインを走らせることが
できるようになったのでしょうか?
林さん:東急さんにお声をかけて、ご協力頂きました。
スタッフ:ロイヤルエクスプレスは東急の?
林さん:はい、東京の東急さんの持ち物です。
そう、「ザ・ロイヤルエクスプレス」は、
JR北海道が作ったのではなくて、東京の東急の持ち物。
普段は、横浜と下田の間を走っているんですが…
夏のシーズンは走らずお休みしていました。
だったらその間、北海道を走ってもらおう!
ということで、列車を北海道まで運んで、
「JR北海道」と「東急」が、がっちり手を組むことにしたんです!
東急は、車内サービスとチケットの販売などを担当。
JR北海道は、列車の運転を担当、
と役割を分担し、売上げも分け合う事に。
まさにウィンウィンの列車ビジネス。
と思いきや、いろいろ問題が!
東急の交通インフラ事業部統括部長、
松田高広さんによると…
松田さん:ロイヤルエクスプレスは今、電車ということで電気が通って走るんですけど、今回は北海道って非電化区間という電気を使わずに走っている路線があるんですよね。
スタッフ:電車が走れない?
松田さん:そうですね。北海道で走らせるためにクリアしなければならないのが、電源の問題とどうやって引っ張っていくか、という話です。
そう、北海道では線路上に電気が通ってなくて、
ディーゼルエンジンで走る「気動車」の路線が多いんです。
そこは電気で走る「電車」の「ザ・ロイヤルエクスプレス」では、
走る事ができない…。
そこで考えました。
林さん:当社のディーゼル機関車で牽引します。
電車が走れないなら…
2台の機関車をくっつけて…引っ張る!というなんとも大胆な作戦。
ところが!
それだけでは列車の中の照明や空調など、
電気が必要なモノを動かすことができない…。
そこで、またまた考えました!
担当者さん:こちらの電源車を使います。
東急さん、車内に電気を送るための、電源車を購入。
JR北海道の機関車と、東急の電源車を…
「ザ・ロイヤルエクスプレス」にくっつけて…走る事にしたんです。
しかし、こうなるとまたまた新たな問題が発生!
松田さん:狭いホームもあるのであまり長い車両で行きますと、車両が長すぎて、全部が停まれるわけではないので。
ザ・ロイヤルエクスプレスの車両は8両。
これに電源車と機関車2両をくっつけると…
停車するホームから、はみ出てしまう駅も…。
そこで、またまた考えました!
車両を3つ減らし、元々100名だった乗客数を
30名にしぼることに・・・半分以下?
ちょっともったいない気もしますが…
松田さん:たくさんの人数というよりも、我々のスタッフが常に目が行き届いてしっかりと4日間、行ってよかったなと、人生で一番良かった旅だなと思っていただけるようなサービスをしっかりしたいと思っております。
8月14日から始まる「ザ・ロイヤルエクスプレス」のツアー。
今年の予約はすでに終わっていますが、来年も走ってほしいものです!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:1番すごいのは、夏に「ザ・ロイヤルエクスプレス」があまってるっていうのを発見した人なんですよね。伊豆に行く時って、夏は海水浴とかがあっていっぱい移動するんですよ。普通の列車を走らせないといけないから、あまってたんです。しかも北海道の夏って一番いい季節なんですよ。そこを結びつけるアイデアを思いついた人は天才ですよね。
西武40000系の儲かりポイントは「平日と週末の使い分け」
続いて、やってきたのは…
西武鉄道、小手指車両基地。
出迎えてくれたのは、計画管理部の大山早紀さん。
スタッフ:儲かってますか?
大山さん:儲かってます、がっちりいってます。
自信満々です!
西武といえば、その名の通り東京の西側を中心に、
新宿や池袋から所沢や秩父、川越などを繋ぐ鉄道会社。
こちらでも、新型の儲かり列車が大活躍しているという・・・
大山さん:こちらが当社のがっちり列車「40000系」です!
西武鉄道の誇るがっちり列車「40000系」。
早速、中を覗かせてもらうことに。
パッと見、普通の電車に見えますが…。
実はこの車内に、儲かりの仕掛けがあるという。
大山さん:こちらのボタンを押しますと、あることが起きますので座席にご注目ください。
座席にご注目とは…どういうことでしょうか?
すると…
座席が動いた!
そう、この40000系車両は、ボタン1つで、
窓沿いにズラッと並んだ縦座席型ロングシートと、
2人がけの横座席型クロスシートの列車に
切り替えることができるんです!
でも、それがどうして
「儲かり」につながるのでしょうか?
大山さん:一般列車として利用する時はロングシートなんですが、土休日のお出かけのレジャーの時に観光など使っていただけるように、このようなクロスシートにしておりまして。有料料金のエストレインという電車で運行しています。
そう、この4万系車両の儲かりポイントは「使い分け」。
平日は、縦座席型ロングシートの普通列車にして、いたるところを走り、
なるべくたくさんの通勤客を乗せて、がっちり…。
ところが、土日祝日になると、この40000系、横座席型クロスシートの「エストレイン」に、変身!
走る場所も変わります!
観光地である、横浜の元町中華街と
埼玉の西武秩父を繋ぎ、家族連れなどの観光客を運んでいるんです。
この形のエストレインになると、
全席指定になるので、運賃に300円〜1060円の指定席料金がプラス。
「客単価が上がる」から儲かる!というワケ。
エストレインを利用しているお客さんは…
お客さん:混まないし、楽かなと
お客さん:子供が小さいので。安心感もあるし。くつろげます。
子供:いつもより楽しいです。
スタッフ:このエストレインは結構乗られるんですか?
お客さん:乗りますよ結構。横浜までずっと座っていけるじゃないですか。
と、大好評!
さらに、この横座席型クロスシートにした40000系エストレイン。
平日でも、朝と夜の一部だけには、姿を現すらしい。
しかも、練馬まで行くと、ルートを変え、
地下鉄に乗り入れ豊洲まで行ってしまう!!
これは一体、どうしてなのでしょうか?
この電車に乗っているお客さんに聞いてみると…。
スタッフ:なぜこの電車に乗るんですか?
お客さん:楽だから。座って帰れるし仕事をやりながらとかできるし。効率がいいんですよね。
お客さん:帰りぐらいは座って一本で帰れるといいなと思って。一杯飲んで帰るのがちょうどいいんですよ。居酒屋行くより全然安いですから。
プラス500円だけですから。
そう、サラリーマンが多い
飯田橋や有楽町を通る路線を走ることで、
朝夜の通勤で、お金をちょっと払ってでも
リラックスしたい、そんなお客さんたちをゲット、というわけ!
2020年2月現在、40000系エストレインの利用者数は、月に4万人というから、かなりのがっちりっぷり。
西武鉄道は、40000系でがっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:普通車両を作る時って、車両部っていう、鉄道マニアの人が作るんですよ。だから普通の発想しか出てこないんですよ。でも、この40000系エクストレインを作る時は、色んな人の意見を取り入れて、ユーザー目線で設計したんですよね。
南田さん:パートナーゾーンって言って、車両の端っこに座席の無い、ベビーカーや車いす用のスペースがあるんです。
市川さん:もたれられる程度のちょいがけ席を設置してあって、赤ちゃん抱えて、座って立つのは大変なんですけど、これだと、いい感じにずっと半腰になるんです。
加藤さん: 細かいところもこだわってるんですね。
えちぜん鉄道が行った、車通勤から「電車通勤」に乗り換え作戦とは?
続いて向かったのは、福井県・福井市。
なんともローカル感漂う「無人駅」にやってました。
すると…
入ってきたのは、青と白のツートンカラーで、
ほぼほぼ2両編成という「えちぜん鉄道」
この鉄道、日本海に面した福井県・三国港から、
勝山までをつなぐ、全長およそ53キロのローカル路線。
ただ正直なところ、
あまり「がっちり列車」には見えませんが…。
営業開発部の佐々木大二郎さんに伺うと・・・
スタッフ:どれぐらいがっちりなんですか?
佐々木さん:昨年度で利用してくれたお客様が過去最高になりました!
約370万人ですね。がっちりですね!
実はこちらのえちぜん鉄道、
20年前は310万人あった利用客数が
2004年には、およそ240万人まで減少、かなりの大ピンチに。
ところが、「ある作戦」を行うことで、客足がじわじわ回復、昨年度には、過去最高の370万人を突破し、まさに「がっちり列車」へと大変身したのです!
ではその「作戦」とは・・・?
佐々木さん:車通勤のお客様を「電車通勤に振り替える」ような取り組みというのを実施しております。
実は福井県、1世帯あたりの自動車保有台数が
全国1位という、「日本一のクルマ社会」
これまで電車のお客さんが車に取られてしまってました。
だったら、それを取り返すことができれば、なんとかなる!
そこで、えちぜん鉄道は、
いろいろな作戦をスタートしたのです。
例えば…
佐々木さん:田原町駅で、日本初のあることを実施しております。
「日本初のあること」とは・・・?
すると・・・
佐々木さん:来ましたね。来ましたよ。
あれ?さっきと全然形の違う電車が!?
佐々木さん:あれは福井鉄道さんの路面電車ですね。
やってきたのは、街の道路を走る「路面電車」。
実はこのえちぜん鉄道の田原町駅、
もともと、路面電車の福井鉄道の終着駅でもありました。
そこで、「えちぜん鉄道」は線路をつなぎ、
日本で初めて「鉄道」と「路面電車」の乗り入れをすることにしたのです。
すると当然、これまで乗り換えていたお客さんが…
そのままいける!これは楽ちんで早い!ということで…
お客さん:便利ですね
お客さん:車乗りますけど、電車の方が安全だし、楽ですね。
「路面電車」からの利用客が
年間およそ11万人も増えたというからスゴい!
でも、「路面電車」と「普通の電車」を
乗り入れするのは結構、大変だった…
何よりも難しいのが…
佐々木さん:普通の我々の電車と、福井鉄道の路面電車は電車の「高さ」が違います。
そう!「路面電車」の「入口の床の高さ」は
「普通の電車」と比べれると、全然低い!
だから「路面電車」が
「えちぜん鉄道」のホームに入ってきても、
乗り降りできないんです。
そこで「えちぜん鉄道」は考えた!
佐々木さん:駅の中に、我々の電車が乗り入れする高いホームと、相互乗り入れ用の低いホーム、両方作っちゃいました。
1つの駅に、普通の電車の「高いホーム」と
路面電車の「低いホーム」、両方作ったんです!
さらにえちぜん鉄道では、これ以外にも「車通勤」の人を「電車通勤」にするための、こんな工夫が!
佐々木さん:デマンド型のバスの運行っていうのを実施してます。
デマンド型のバス!?
実は、えちぜん鉄道の「西長田ゆりの里」駅の先には、80社以上の工場が集まった「テクノポート福井」という工業団地があるのですが、
これまでは、駅から遠くて、車じゃないと通勤が
できなかったんです。
そこで「えちぜん鉄道」は、
「テクノポート福井」と「西長田ゆりの里」駅を
9人乗りバスで送迎するサービスを開始!
しかも、利用したい時は1時間前に電話をすれば、
駅に到着する時間にバスがお迎えし、
自分の会社まで、送ってくれるんです!
バスの片道運賃は350円。
これまた、年間1万人ほどが利用しているという!
他にも様々な工夫で、
「車通勤」の人を、「電車通勤」に呼び込んだ結果…
「通勤定期の利用客」が、初年度に比べおよそ2倍に!
えちぜん鉄道は、車通勤を電車通勤に変えてがっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:あの発想がすごいですよ。実は今、地方の鉄道って車との戦いなので、すごく良いモデルをつくったんですよね。
加藤さん:すごいですね。
(おわり)
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