「元素」で儲かる?最新情報を分かりやすくお届け!原子番号40「ジルコニウム」他の元素の能力を引き出して300億円!原子番号19「カリウム」カリウムイオン電池が、あのリチウムを超える!?最新技術の研究現場に潜入!
今回のがっちりマンデーは…
「儲かる元素」
元素…って、水素とかナトリウムとか
記号や数字がズラッと並んでる、あの表のこと?
ん〜何だか難しそうだから、関係ないか…
と、思ってるあなた!
実は今、元素は私たちの身近なところで、
がっちり儲かっちゃってるんです!
例えばDVDやブルーレイに使われているのは、
原子番号52の「テルル」だし、
信号機の赤青黄色に欠かせないのは、
原子番号31の「ガリウム」だったり、
あらゆるところで元素は大活躍しているんです!
そこで今回は、最新の「儲かる元素」を徹底取材!
誰もがお世話になってるアノ元素の
儲かるヒミツに迫ります!
※以下、6月26日放送の書き起こしです。
空気の8割を占める「窒素」!実は火を消して大活躍?
儲かる元素!1つ目は…
原子番号7「窒素」
さすがに窒素くらいは聞いたことあるけど、どんな元素なのか?そもそもどんなビジネスでがっちり!なのか、全然分からない…
そこでやってきたのは大阪市内にある…
国内大手の窒素メーカー「エアウォーター」
窒素の売上げは、どれくらいあるのでしょうか?
辻工場長に話を伺いました。
辻工場長:大体300億円くらいです。
これは結構デカイ!
では、どうやって「窒素」を作ってるんでしょうか?
辻工場長:窒素は空気中に78%含まれてる豊富な元素です。
そう、「窒素」は、空気中にダントツで多く存在する元素!ということは、この空気の中から、「窒素」だけを取り出せばいい…のですが、それが結構、大変らしい。どうやっているのかというと…
辻工場長:こちらです!これが「窒素」を作る分離塔です。
スタッフ:高い!!
高さ60m近くあるタワーの中で、ある方法を使って「窒素」と「酸素」を分けているんですが…
辻工場長:「酸素」の沸点が−183℃、「窒素」の沸点が−196℃。冷たいものから上に溜まるという性質を利用して分離してます。
空気は、マイナス183℃まで冷やすと、「酸素」だけが液体になります。つまり、タワーの中は「窒素」だけに。そして、液体の「酸素」を抜いたら、さらに冷やして、マイナス196℃以下に!
すると今度は、「窒素」が液体になり始めるので、これを集めれば、「窒素」だけゲットに成功!というわけ。
こうして空気中から取り出された「窒素」は、隣の巨大タンクに貯蔵。今回特別に、とれたてホヤホヤの「窒素」を見せてもらえることに!
スタッフ:おお!
液体状の窒素が勢いよく出てくる出てくる!そして…
辻工場長:こんな感じですね!液体窒素です。
マイナス196℃の液体窒素に、木工用のボンドを入れると…
ブクブク泡立って…
瞬時にカッチコチに凍っちゃった!
(パキパキパキ)
と、急速に冷やせるとあって…
魚や野菜の冷凍保存に使われる液体窒素!
そして、「窒素」にはもう一つ、私たちの身の回りでよくみかけるアレを支える、大事な使い道があるという。それが…
辻工場長:ポテトチップスの袋の中に入れたりもします。
そう、ポテトチップスの袋は、「窒素」入り!これは、どういう事かというと…。
実は、空気中の「酸素」は、食べ物の油にくっつきやすく、くっつくと酸化して傷んでしまう。ところが「窒素」は、何ともくっつきにくい、何もしない、まさに、沈黙の元素。
そこで袋の中に、あえて「窒素」だけを入れ、「酸素」を追い出すことで、酸化を防ぎ、長持ちさせるというわけ。
さらに、この「酸素」を追い出し、何もしない、という「窒素」の特徴を生かした、がっちりビジネスがあるという…
やってきたのは兵庫県にある…
エアウォーターの子会社。
エアウォーター防災 党務取締役の四方厚さんに話を伺いました。
四方さん:発売から、24年で累計1000億円を計上。がっちり!
いったい窒素を、どう利用してがっちり!かというと…
部屋の中で火災が発生!すると!
「火事です!火事です!消火剤を放出します!」
天井に取り付けてあった消火器具から窒素を噴射。すると…
部屋の中の酸素がどんどん減っていきます!そして酸素が13%にまで減ったところで…
火が消えた!
開発部長の後藤秀晃さんに案内され、消火直後の部屋へ入ってみることに…
後藤さん:大丈夫です。
「酸素」が残っているから、呼吸できます!
後藤さん:酸素濃度が14〜13%くらいまで下がると火が消えますので。
こちら「エアウォーター防災」は、「窒素」で火災現場の「酸素」を減らして消火する設備を製造販売している会社!
現在、水や泡などで消火ができない、データセンターなどで大活躍!ということは…
がっちり!ですね!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:もともとは、「ハロン」というガスで消化をしてたんですけど、地球環境を壊すというので、使用禁止になっちゃったんですね。その後、二酸化炭素が出てきたんですけど、二酸化炭素だと人間が息できなくなっちゃうんで。そういう意味では画期的な進歩ですよね。
スマート農業に高窒素肥料が登場!キーワードはドローン?!
さらにさらに、儲かり元素「窒素」で、
新たなビジネスを開拓している人物がいるというので、やってきたのは、北海道は旭川市にある…
「神楽農機」という会社。
早速、社長の市川範之さんに伺うと…
市川社長:これなんですけど、肥料でがっちりです!
スタッフ:これ?
市川社長:はい!
実は、「窒素」は動植物が成長するのに欠かせないタンパク質やアミノ酸の元となっている、とっても重要な元素。だから肥料には絶対に、「窒素」が欠かせないんです!そんな窒素肥料を、市川社長、さらにパワーアップさせちゃった!
市川社長:通常の肥料の3倍の高窒素肥料です!
市川社長が、協力会社と一緒に開発したのが…
窒素の濃度を従来の3倍に高めた高窒素肥料!
1袋6000円を500個限定で販売したところ…
市川社長:売上げは約300万円!がっちり!ですね!
なんと、完売状態!この窒素濃度3倍肥料、実はある状況で、とっても役に立つのだという…それが?
スタッフ:おおっ!
田んぼにドローンが現れました!
そして、空中からパラパラまいています!そう!市川社長が作った高窒素肥料はドローン用!
市川社長:ドローンの場合、積載量が10〜20kgしか積めない。窒素の濃度を3倍にしてドローンでまけるように省力化しました。
市川社長:まずメリットは的確な量をまける。もうひとつはスピーディ。もうひとつは空中から散布できるので、つまり稲を傷めないでまけます!追肥が空中からできるのがメリットです。
冷夏や天候不良で苗が育ちにくい時でも、安く簡単に追加で肥料をまければ、平年並みの収穫が見込めるとあって今注目されているんです!
高窒素肥料でがっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:ドローンでまく場合は、積載量に限りがあるんで、濃度を高めないといけないんですけど、この濃度高めるっていうのが、諸刃の剣みたいな所があって、集中してまいちゃうと肥料焼けして、農作物がダメになっちゃうんです。
加藤さん:なるほど。多ければいいということじゃないんですね。
森永さん:ただ、ドローンで正確に飛行すると、均等にまけるので、その高濃度のをまいても、大丈夫なんです。
加藤さん:そうか。これをプログラミングしたら、自動運転でも、できるってことですよね
歯にも電池にもなる「ジルコニウム」!他の元素の能力を引き出して300億円!
儲かる元素!2つ目は…
原子番号40「ジルコニウム」
こちらが、すな状の「ジルコニウム」。主な産出国は、オーストラリア。1グラム、およそ0.2円。あまり聞いたことない元素ですが、どこでどうがっちり!なのでしょうか?そして、そもそもどんな元素なのか…
そこで、やってきたのが大阪市内にある…
「第一稀元素化学工業」
と、社名に「元素」の文字が!
1956年の創業以来、第一稀元素は、「ジルコニウム」一筋!その年間売上げは…?國部洋社長に話を伺いました。
國部洋社長:大体300億円弱になります!
「ジルコニウム」だけで、かなり稼いでる第一稀元素。その使い道は…
國部洋社長:自動車、スマホ、パソコン、キッチンナイフ、最近で言うと、歯、義歯にも使われております!
なんだか意外と、私たちの暮らしに欠かせないものに、結構、使われている儲かり元素のよう。技術本部長の岡本博さんに、「ジルコニウム」はどんな元素なのかお聞きしました。
岡本さん:最大の特徴は、「ジルコニウム」と他の元素がくっつくと、その元素の特性をさらにバージョンアップさせたり、これまでになかった特性を生み出したりする、非常に魅力的でミステリアスな元素です!
他の元素とくっついて、新たな能力を引き出す!?そんな魔法使いみたいな「ジルコニウム」は、例えば…
周期表で、「ジルコニウム」の1つ前、原子番号39「イットリウム」という元素とくっつくと…
岡本さん:高靱性、高強度、要はセラミックとして、硬さとしなやかさを備える材料に早変わりします。包丁とか義歯に使われます。
スタッフ:「イットリウム」には、しなりとかない?
岡本さん:ないです。「ジルコニウム」にもない。「イットリウム」と組み合わせることで、生まれます!
セラミックの材料に変わっちゃう!
さらに原子番号58の「セリウム」と組み合わせると…
岡本さん:自動車の排ガスの触媒に使われています。
排ガス抑制に欠かせない「セリウム」の能力を、パワーアップさせちゃう「ジルコニウム」!
自動車の排ガス用触媒の材料として大活躍!しかも…
岡本さん:当社は世界シェア40%。世界1位です!がっちり!です。
そして、今もっともアツいと思われる「ジルコニウム」の魔法が…
岡本さん:燃料電池のような固体電解質の材料として使われます。酸素イオンを動かすことで電力を生み出す。イオンが通りやすくなります!
強くてしなやかなセラミックになる「イットリウム」との組合せで、「イットリウム」の量を増やすと…
うまくスキマが生まれて…
なんと、金属なのに酸素を通すという、まことに不思議な性質がうまれるんです!
この性質を利用すると、酸素と水素を反応させる燃料電池が、うまくつくれる、というので、かなりの注目を集めているんです!
「ジルコニウム」で、がっちり!
カリウムイオン電池であのリチウムを超える!?最新技術の研究現場に潜入!
儲かる元素!3つ目は…
原子番号19「カリウム」
こちらがカリウム鉱石。主な産出国はカナダ。
バナナやほうれん草など多くの食品に含まれている、我々の体に欠かせない必須ミネラル!なんですが、今、ある分野で大注目を浴びているのだという…
そこでやってきたのは、都内にある理系の名門!
「東京理科大学」
一体、原子番号19「カリウム」で何を作っちゃったのでしょうか?駒場慎一教授に話を伺いしました。
早速、駒場教授の研究室へ。
奥の部屋で凄いものを作ってるという…
スタッフ:ここで何してるんですか?
駒場教授:メインの研究と実験をしています。
スタッフ:これ何ですか?
駒場教授:カリウムです。
理学研究科、化学専攻の五十嵐大輔さんにも、話を聞ききました。
五十嵐さん:これはカリウムだけでできています。
純度100%のカリウム金属は、外気に触れると燃えてしまうため…
完全に密閉された中で作業しないといけないのです!
スタッフ:カリウム金属の重さは?
五十嵐さん:すごく、軽いですね。
さらに!
スタッフ:え!?カッターですか?
五十嵐さん:そうです!カリウム金属は、簡単にカッターで切ることができます。
軽くてとっても柔らかいカリウム金属。
最後にローラーで平らにして…
コイン状のものでフタをして完成。
そして用意したのは小型のLEDランプ…すると!
五十嵐さん:いきます!
スタッフ:おお!光った!
ということは…
駒場教授:私たちが研究しているのは、カリウムイオン電池です!
そう!駒場教授が研究開発を進めているのは、カリウムを使ったイオン電池!でも、何で、カリウムで電気が作れるのでしょうか?実は元素周期表にその謎を解くカギが!
駒場教授:カリウムは周期表の中で言うと、タテの列ですね。これがアルカリ金属という仲間で、電池にするには、都合の良い性質を持っています。
実は、周期表の一番左のタテ列にある元素は、とっても電池にしやすい性質を持っています。
原子番号1の「水素」は、燃料電池として注目を浴びているし…
原子番号3の「リチウム」に至っては、スマホやパソコン、電気自動車など、軽くて長持ちするということで、「リチウムイオン電池」として、今、あちこちで儲かっています!
だったらカリウムでも電池が作れるのでは!と、10年前から研究開始した駒場教授。そして2015年、世界で初めてカリウムイオン電池の開発に成功しちゃったんです!
しかも、この「カリウムイオン電池」、あの「リチウムイオン電池」を超える可能性を秘めているのだという!
駒場教授:「リチウム」に対してのメリットは、「カリウム」は資源が豊富で、地政学的な問題がないんです。
レアメタルで高価な「リチウム」と比べて、「カリウム」の埋蔵量は500倍!たくさんあるから安く作れちゃう!さらに!
駒場教授:急速充電ができて、例えば電気自動車だと1時間充電する必要があったとすると、それを10分で充電終わらせることができます。
駒場教授によると、電気を運ぶ役割のイオンが速く動くほど充電も短時間で済む!
「カリウムイオン」は、「リチウムイオン」に比べ大きいため、電気を貯めるスピードも速いんだとか!と、メリットだらけの「カリウムイオン電池」かと思いきや、ひとつだけ難点が…
駒場教授:デメリットは唯一、重いということです。元素周期表みるとわかると思いますけど…
駒場教授:「リチウム」は、「水素」と「ヘリウム」の次、3番なんですよ。「カリウム」は19番目に軽いんです。少しずつ重くなっていきますから、3番目に軽い元素の「リチウム」と、19番目に軽い元素「カリウム」、これを電池にすると、どうしても「リチウム」よりも「カリウム」は重いので、電池が重くなります。
スタッフ:どれくらい重さ違う?
駒場教授:5〜6倍、「カリウム」が重いです。
なので現在、期待されているのは、ソーラーパネルや風力発電など、作った電気を貯めておく大型電池。しかし駒場教授があくまでも目指すのは…
駒場教授:夢としては、「リチウムイオン電池」より軽くする。「リチウム」と「カリウム」1個あたりの重さではかなわないですけど、電池に使う他の部分を軽くできれば、究極的には、「リチウムイオン電池」と同等か、それより軽くできる可能性はあると思います。
現在、大手の企業と連携して研究開発中の駒場教授!これはホントに儲かりそうだ!!
「カリウムイオン電池」で…がっちり!
▼スタジオでお話を伺いました。
森永さん:一番問題なのは、地政学のリスクなんですね。「リチウム」っていうのは、中国とかチリとか、政治的に不安定な所から輸入してるので、なんかあると、まったく入ってこなくなっちゃうわけですよ。それと比べると、例えばカナダっていうのはすごく安定しているので、産業にとっては、すごくいいんですよね。
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