カラダの記録・子宮卵巣全摘出 10
いよいよ手術当日。
朝は6時半起床。
体温や血圧を測定する。
さすがに朝食は抜きだけど、7時までは水を飲んでもいい。
8:45に手術室に向かうので、その前に弾性ストッキングを履くように指示される。看護師さんの指導のもと、装着完了。
病院着(パジャマ)の下はパンツだけ履き、上半身は下着を外して階下の手術室へ。
夫は私をエレベーターまで見送り、病室のあるフロアの待合室で手術が終わるのをひたすら待つ。
手術室の前に着くと入口で名前を確認し、看護師さんにメガネを預ける。
このとき、看護師さんは小さなバケツを持っていた。
たぶん切除したものはこのバケツに入るのだなと思った。
入口のドアが開くと、長い廊下があり、両サイドにいくつも手術室が並んでいた。ここからは手術室担当のスタッフに案内される。
「こんなにあるんですね」と案内の人に聞くと、「9室あるんですよ」と教えてくれた。
そして、私が手術を受ける部屋に入るとすぐにベッドに座るように言われ、タオルをかけた状態で、上の病院着を脱ぐよう指示をされる。
ベッドには厚いムートンが敷かれていた。
背中が痛くならないようにだったと思う。
そして、ベッドに横たわり、マスクをつけられ、いろんなことを話しかけられる。
が、ほどなくして記憶を失った。
「数を数えてください」と言われると思っていたのに、それもなかった。
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
次に聞こえてきたのは
「手術終わりましたよ、わかりますか~?」だった。
え?
そのあとゴトゴトとベッドで運び出され、
「ご主人ですよ~」という声で目を開けると
夫の顔が見えた。
私の第一声は「おなか、、、痛い」だった。
病室に戻ってから、意識がはっきりしてきたが、やっぱり出てくる言葉は「おなかが痛い」だった。
術中に神経ブロック注射で術後の痛みを軽減させますと言っていたのだが、ずーっと痛みが続いていた。
おなかの中をかき回し、切り取ってるんだから痛いのは当然なのだが、やはり痛い・・・
手術は4時間と言われていたが、癒着していた部分が思ったより簡単に剥がれたらしく、3時間半で終了したとのこと。
夫は摘出した私の部品を全て見せられたとのこと。(私はいまだに写真すら見ていない)
時間を見ながらいろいろな鎮痛剤を出してもらったが痛みは引かず、眠ることもできない。
足には血栓防止のためにひざ下を空気で加圧するエアマッサージャーがつけられているし、身動きが取れない。
ずっと上を向いたまま寝かされていたが、さすがに苦しくなり、看護師さんに動いてもいいのかと尋ねると、動くのはかまいませんと言われた。
しかし、横を向くにも傷が痛いし、腕には点滴、おなかの傷口にはドレーン、そして排尿管、足にはエアーの管とたくさんのものがつながれているので動くのもひと苦労だった。
あとで分かったのだが、4箇所の傷のうち、左の傷が一番大きく(といっても2cm以下なのだが)これが痛いので、左を下にしてしまうと元に戻るのがかなり大変だった。
基本的に右肩を下に寝るのが普通なので、右下、仰向け、右下というのをくり返した。
寝返りをうって、少し会話もできるようになった夕方、夫は帰宅した。
術後はしばらく水を飲むのも禁止だったが、夜8時くらいになってやっと水を飲むことが許された。
といっても水を飲むのもひと苦労だった。
また、術後の微熱が続いて暑いので、氷枕をもらい、痛みがひどくなると鎮痛剤を飲む、の繰り返しで術後の夜は過ぎ、ラクになって寝たのは朝4時くらいだった。