私と光栄ゲームパラダイス⑤
1993年に創刊された、ゲームと歴史の読者投稿本『光栄ゲームパラダイス』(隔月刊行)も、vol.10にて一旦終止符が打たれた。
次号からは『歴史パラダイス』と名前を変え、誌面が大幅にリニューアルされる模様。
書籍のサイズは小さくなるものの、ページ数は大幅増量するようで、したがって投稿が採用される可能性も少しアップするはず。
これはチャンスかもしれない。
ここまで採用されたのは、1年と数ヶ月かけて4作品(文章2,絵2)だけ。
これまでの思うように行かない現状を受け、枯渇しかけていたモチベーション。再点火の兆しとなるだろうか。
少し長めの充電期間を経て、1995年3月頃に『歴史パラダイス』1巻が発売された。
タイトルから「光栄」と「ゲーム」が外れた事から予想できたように、歴史に重きを置いた構成で、記念すべき創刊号の特集は「やっぱり三國志が好き」。
『ゲームパラダイス』時代の味わい深い付録企画はカットされ、代わりに読者作品を多めに採用しているように見受けられた。
さて、今回送った10数通のうち、採用されたのはあるかな…。ペラペラ。
…ありました。
点描で描いた曹操のイラスト。
描きたい物を描くだけでは掲載されにくい事が分かって来たので、工夫を凝らす事で、連日投稿の山に埋もれた編集者の皆様に、箸休め的に目に留まるのを狙うという弱者の戦略。
それがなぜ点描だったのかは置いておいて。
もちろん描きたいものを描いてこその創作活動ではあるのだけど、そっち方面の投稿は全て没だったのさ。
しばらくは工夫を凝らしながら、岩にかじりついてでも採用を重ねる事で、モチベーションアップを保ちつつレベルアップを目論む方針で行こうかなと。
創作活動においては、「楽しいから続けられる」と「続ける事が楽しさへの近道」はニワトリと卵の関係、どちらが先でも、回り続ければきっと「楽しい」が巡って来ることは、初心者ながらぼんやり見えていたような気がする。
などと、気持ちを切り替えたところで、やる事は同じ。「書き(描き)たい物」と「選ばれるための工夫」を半々ずつ、毎号10〜15作品ペースで送り続けるのだ。
この頃になると、イラスト作成時に自分なりの使いやすい道具も分かってきて、ペンはピグマのドローイングペン(ミリペン)と、ベタ塗りはマッキー、紙は近所の文具屋で売ってたハガキ用紙(1箱100枚入)をもっぱら使用。
画材屋のコミック作画用コーナーで売られてた『漫画の描き方』的なアンチョコ本を買ったりして、Gペンや雲型定規なども試してみたけど、生来の不器用が祟り使いこなせなかった。
出来上がった原稿は、それぞれの裏に、応募先コーナー名、ペンネーム、住所氏名を書き、封筒に入れて一括郵送。予め重さは測るけど、万が一ミスして切手が足りないといけないので、必ず窓口で郵送手続きをした。
そして2ヶ月が過ぎ、『歴史パラダイス』2巻の発売日。
雑誌ではなく書籍扱いのため、発売日に入荷する販売書店は限られている。予約は必須。
レジで受け取り、帰りの電車の中で読みたくなるも、ぐっとこらえる。この表紙を電車の中で広げるのは、案外勇気がいるのだ。(自意識過剰?)
自宅に帰り、いつものようにドキドキしながらページをめくる。
掲載された時は、確かにめちゃくちゃ嬉しいのだけど、同時に黒歴史誕生を目撃したようなモヤモヤもついてきて、カオスな心持ちになる事が多い。
純粋な意味ではこの時が1番楽しいかもしれないペラペラ。
イラストは見つけやすいけど、文章は中々見落としやすいので、逸る気持ちを押さえてゆっくり読み進めて行く。すると。
あー、イラスト載ってたー!
しかも戦略に基づくやつじゃなく、しっかり描きたいものを描いた作品だった。
なんといっぺんに5枚同時ですよ奥さん。
漫画作品を描く時はいつも、ストーリーや伝えたい事が相手に伝わるかの心配、は勿論するのだけど、ちゃんと漫画的な文法で描けているか、そもそも漫画として成り立っているのかがとても心配になる。
それは鏡の前で髪の毛をセットする時に似てて、いくら頑張っても思い通り決まらず、ようやく完成したと思ったら、写真などで客観視すると全然思ってたのと違ったり。
そのあたり、髪型は自己採点するしかないのだけど、投稿に関しては編集部がチェックしてくれるので、ある意味安心感がある。
作品が面白いかどうかは置いといて、採用という形で、少なくとも漫画として最低限成り立っている事のお墨付きを得たような気がした(希望的観測)。
嬉しいなあ。ありがたいなあ。
前話等で書いた、投稿に関しての小難しい屁理屈はどこかに飛んで行き、さあまた次号に向けてジャンジャンバリバリ描きまくるぞ!という、青臭いモチベーションだけが胸の中でパチパチと弾けていた。
(つづく)
番外編
同時に載った文章投稿↓
当時琉球史の読み物にハマっていたので、源為朝が琉球に渡り王様になったという伝承を紹介。我ながら目の付け所は良いけど、内容はほぼ丸パクリ、よく言えば「引用」なれど、実際の引用先が書かれていないので、ちょっと残念。