実写版「ジョーカー・ゲーム」を見たよ

 アニメから入って原作とドラマCDにも手を出したほどには好みだった作品、「ジョーカー・ゲーム」の実写版映画をアマプラで観ました。

 ジョーカー・ゲームについて簡単な説明をば。

 時は昭和初期。大日本帝国陸軍内に、秘密諜報機関である「D機関」が結城中佐により設立されました。作中ではこのD機関のメンバーが世界各国で暗躍していきますという話。

 「ジョーカー・ゲーム」という言葉について作中でも説明されていますが、周囲の情報を利用しての騙し合い、的なニュアンスで良いかと。諜報戦だから自分も相手も尻尾は見せてはならないが、水面下で利用する、といった感じですね。この辺の描写はアニメがわかりやすいと思います。


 と、いう話を経た上で映画の冒頭を説明含めて感想など。

 冒頭で上官に反発した主人公は死刑を言い渡されます。銃殺刑とか極刑とかではなく、死刑。この辺詳しくないんですけど、文面としてどうなのかなと不安になりました。銃殺刑に処されることになった主人公は「覚悟はできてるから目隠しをとってくれ」と言いながらも、発砲の瞬間に強く目を瞑っています。めちゃくちゃ怯えてんじゃん。しかし結城中佐がギリギリのところでゆったりと出てきて、スパイにならないかと勧誘をかけます。撃てって言った後に出てきても遅いだろとか、牢の描写あるんだからその時に言えとかツッコミどころが込み上げてきます。ここまでがアバンになります。

 ここまで10分。早くもなんかダメそうという気持ちが湧いてきます。恐ろしいですね。そして試験やジョーカー・ゲームの説明の後、ようやく任務が始まるわけですが…。一応学生上がりが試験を受けるって話のはずなんですが、みんなおっさんくさい。みんな顔が異様に老けてるので、諜報機関と言うよりもゴロツキの溜まり場の方が的確です。さらに情報漏洩の危険性を無視した処置などが続きます。

 これ以上書き始めると物語の説明で終わりそうなので感想に。

 先ず映画として。亀梨和也が大暴れする顔の良い映画でした。少し前に見た同氏主演の「事故物件 怖い間取り」よりかははるかに筋の通った展開で、ちゃんとした映画でした。

・良い点

 画の作りが良かったです。不自然に伏線を見せたりすることのない、わかりやすい見せ方でした。ワンカットでグルグルするところなど、派手ではないもののしっかりとした映像で概ね満足しました。

 スパイ物として見るなら、脚本の練り直し方は良かったと思います。細かい粗はものすごく多かったですが、大まかな筋としては原作をうまい具合に使っているなと思いました。原作はオムニバス形式ですが、上手く1人の話にまとめ上げたなと思いました。

 あと、陸軍参謀本部の描写はすごく「らしい」なと思いました。

・残念な点

 細かい粗が非常に多かったです。先述した情報管理ガバガバとかから始まり、ジョーカー・ゲームの説明直後に協力者紹介したり、如何にも怪しい人たちが怪しそうな集まり方していたりとあげ始めたらキリがありません。諜報機関の人間が諜報機関だとバレるような立ち振る舞いをしてはダメでしょう。ジェームズボンドだって街中のカフェで変な動きをして情報交換しないと思います。

 「ジョーカー・ゲーム」という作品を脚本家が理解できていないように見える。これが1番残念な点です。誰が協力者で敵対者なのかを明らかにはせず、気付かれることの無いよう立ち回ること。それが「ジョーカー・ゲーム」と言う作品において重要な点だと私は考えています。「死ぬな、殺すな」と同時に、「スパイだと疑われた時点でスパイ失格」とも原作で結城中佐は言っています。たしか。情報を味方に流す存在と、敵対組織を破壊する存在を同一視しているのでは無いでしょうか。007みたいな大騒ぎが許されるのは、作中で敵の元締めとケリがつくからであって、WW2を背景としているこの作品では、それをすることの意味が異なってくると思われます。


 総評としては、ジャニーズ映画、純粋なスパイアクションとしてはそこそこ良い出来でしたが、原作有りの映画としては最低、ラノベ実写化の方がマシだと思いました。同じメンバーで、オリジナルで作ってくれればそれなりの作品が出来るだろうなとは思ったので、そういうのが有れば見てみても良いかもしれません。

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