「映画大好きポンポさん」の感想

休みだったので映画館まで足を運び、「映画大好きポンポさん」を観てきた。その感想です。あー、パンフ欲しかったなあ。せっかくなので帽子を買った。帽子、ひとつも持ってないしね。


・シナリオ

 端的に言えば、「頑張って映画を作り上げる話」。漫画原作が下敷きとして存在しているが、深く掘り下げるべきところはしっかりと、そうでないところは簡潔につくられている。劇中で作られる映画がとことん切り詰められていったように、本作も冗長な部分や不必要な描写は極力削られている。

 ただやっぱり、コルベットがジーンの作ったCMを見て彼を評価したり、ポンポさんの脚本を盗み見てしまう所は欲しかった。ミスティアが料理できない描写とか、ね。

 会社の会議を全世界に中継ってやばいやろ…ましてや銀行とか…とは思ったけどそこは頭取のチカラでなんとかなったんじゃないすかね。せっかくのオリジナルキャラクターの見せ場だったので、そこで粗が出てしまうのはやだなー。

 全体通して、「ジーン」と「映画制作」の話に焦点を絞ってあり、わかりやすかった。一方で、ポンポさんの立ち位置がポンポさんである必要はあったのか?ともなりかねないなとも思った。来週劇場特典のためにもう一度観たいのでその時に見返そうかな。


・キャラ

 自分、声優あんまり詳しくないもので、ジーン役とナタリー役の2人は存じ上げなかったんですよね。ポンポさん役とミスティア役は名前くらいなら程度。主演の清水さんは声優初挑戦のようで。声だけの演技に慣れていない分、そのキャラクターらしさに繋がっていたのでそこはプラスに働いていた。

 そしてマーティン・ブラドック役の大塚明夫氏の大物感たるや。役柄の立ち位置に演者が近く、キャラクターらしい声になっていたと感じた。

 漫画を読んで抱いていたイメージと違っていたのは2人。マーティン・ブラドックとポンポさんだ。

 マーティンの方は、漫画だともうちょっとピーキーな性格だと思っていた。もうちょっと押しが強くて、でも作品には真摯に向き合っていて、みたいな。女優に連絡先聞くくだりが意外だったな。声は脳内と全く一緒。

 ポンポさんは、漫画版だと、もうちょっとカリスマとか映画オタクっぽさが強かった印象。アニメ版では、仕事のできる、幼稚な天才みたいなイメージを抱いた。「カーナちゃん」で見せたような側面がアニメに反映されてたなと言う感じ。映画オタク的な描写が無かった(権利的な問題?)ためか、ジーンとの立場もちょっと違うかな〜。趣味仲間が上司になったのと、仕事できる上司の趣味が自分と共通していたのでは、接し方は同じにはならないよねっていうそんな感覚。


・演出・映像

 これは、すごく良かった。特に全体通して脚。ミスティアとナタリーの脚。尻。脚。

 キャラが良く動く。ここは大事なところで、このために細かい描写(料理とか)は一枚絵を動かしたり動作を省いて結果だけ見せたりしてる。割と書類とか機材を動かしたりも少なくしてある分動かせるのかな。

 CGとの親和性が高い。演奏シーンや動画編集の脳内イメージなんかが顕著。絵柄とCGの合わせ方が絶妙で、画としてマッチしている。それでいて、漫画的な「パースは狂っているが画として強烈」な見せ方もあるので、上述の動きと合わせてアニメで映像化して良かったなと思えた。

 シーンのフェードも同じ所は同じ見せ方で、だったりキャラや物を視点変換点にしたりと特に序盤に顕著。普通に繋いだら冗長になりがちな所だったのでよかった。

・音楽

 劇中劇でクラシックを取り扱うからその辺はね。それに加えて劇中の見せ場や作業するシーンでも、場面に合った音楽が来る。話がじわじわ盛り上がってきて最高潮でバーンと音楽も激しく、ってのが映画として最高でした。ただ最初のニャカデミー賞プレゼンターのお姉さんは顔と声が合ってないなと思った。顔準拠ならもうちょい力強く、声準拠ならもっと柔和にほしかった。


最後に

「映画大好きポンポさん」では、ジーンを主軸に話が展開された。映画について語る場面が無かった事で、ポンポさんがいることの必要性が薄かったように思われる。また、アランの導入などもあり、全体としては高度に出来上がったがこの作品のタイトルとして「ポンポさん」とつけられるのは正しくないのではないか。詰まるところ、ポンポさんが映画論を駄弁る所が欲しかった。ので「フランちゃん」辺りを映像化してほしいなという所で今回は以上です。

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