私と彼女の持久戦

どちらが先に落ちるか。
その仁義なき戦いは毎晩繰り広げられている。

寝かしつけ事情。

我が家の寝かしつけは主にというか99%私が担当している。娘が生まれた時からそうだ。
主な理由は最近まで添い乳で寝かせていたことと、夫が夜勤の仕事をしていることだ。彼は明日の朝出勤し明後日の朝帰ってくる。朝ならまだいいが昼に帰ることもザラである。そんな夫は夜まともに寝れていない。帰宅後は夕方まで眠り夕飯を食べ風呂に入って就寝、朝になるとまた出勤していく。なかなかハードである。体が心配なのでいいよいいよと言い続けてもう1年半になった。時々不満が湧いてくることもあったが、この寝る前の攻防の面白さに気付いてからはあまり気にならない。
ちなみに先日無事に卒乳し、私の乳は母としての役目を終えた。1年半おつかれ、おっぱい。


今日の結果。

今日は私の勝ち。現在午後8時半。
8時過ぎから始めてこの時間で私も起きている。なかなかいい結果。隣で寝息を立てている。昼過ぎから鼻水が出始めているので鼻がぴーぴー鳴っている。お盆を前に酷くならないことを願うばかりだ。
私の寝かしつけはなるべく無反応、寝たふりを決め込むのが主だ。スースーと嘘の寝息を立てているとやがて諦めて娘も自力で寝始める。だがそこに至るまでの道のりは意外と遠い。

人間の全力で噛みつかれると結構痛いのをご存知だろうか。相手は1歳半、手加減という言葉を知らない。この小さな可愛らしい歯がまたよく食い込む。くっきり歯形のアザができるのだが、ここで痛いと声をあげると娘の思う壺である。お、なんだ起きてるじゃないかとニヤニヤしているのを何度か見た。なので私は噛まれる瞬間にぐっと腕に力を込める。筋肉を絞め抵抗するのだ。一応大学までゴリゴリ体育会の部活生だった私の腕はそれなりに硬い。だが痛くない訳ではない。声をあげないようぐっと耐える。何の特訓をしてるんだか分からなくなる。

今日は噛みつきだったがある日は馬乗り、ある日はお歌、ある日は絵本とあの手この手で攻めてくる娘を優しく傷つけないようにいなす。
時々とんでもなくかわいい声で「ママ…」と呟かれる。これが一番有効かもしれない。大打撃だ。答えない代わりにそっと抱きしめる。
娘の頭の匂いを嗅ぐのが大好きだ。アロマにしたいくらい。変態っぽいのでやめよう。

決めていること。

寝かせる前に決めていることがある。
娘に労いと感謝と愛を伝えるのだ。
「今日もおつかれさま。楽しかったね。明日もたくさん遊ぼうね。遊んでくれてありがとう。母さんはあなたが大好きよ。おやすみ」と毎日囁いている。本当にこのまま。
娘にとって今日があんまり良くない50点くらいの日だったとして、眠る時くらいいい気分になってほしいと思い、始めた。実際娘に届いているかは別として。こうして夜を過ごせるのも今だけと自分に言い聞かせるためでもある。いつか必ず別の布団で、別の部屋で、別の家で眠る日は訪れるのだ。
その日が来るまでは目一杯愛を伝えると決めている。自分のためにも。


世の中には寝かしつけに苦労されているママさんたちがたくさんいる中、娘はありがたいことにぐずりもせずすんなり寝てくれる。本当によくできた娘だ。ありがたやありがたや。
おかげで今日も筆が乗った。
明日は何して遊ぼうか。

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