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【北大阪モノレール】第9回「モノレール構想」だけど「モノレール」とは限らない!?構想実現に向けての考え方
2023年暮れに北大阪モノレール準備室より発表された「北大阪モノレール構想」。突如発表された新路線構想に世間の注目が集まりました。
人口減少、運転手不足など、都市部といえども公共交通の経営困難がいわれる中で出されたこの構想は、これからの地域交通、さらには地域のあり方を改めて考えるきっかけになるものではないかと思っています。
どのようにすればこの構想を実現することができるのか。考えてみたいと思います。
【メインタイトルの変更について】
これまでメインタイトルを『「北大阪環状モノレール構想」への提言』としてきましたが、昨年、構想の名称が「北大阪モノレール構想」と変更されました。これを受け、本連載でも連載の名称を『「北大阪モノレール構想」への提言』といたします。
第9回目は「北大阪モノレール構想」の実現に向け、どのような考え方ができるだろうか?当チャンネルからアイディアを提案させていただきたいと思います。
既存のモノレールシステムを建設するのはなかなか難しいのではないか?
これまで見てきたように、大阪府北部、北摂地域には大きな可能性があります。しかし、この連載の第4回、第5回で見たように、投資額、さらに経営収支予想の数字から考えると、現在運行されている大阪モノレールのような跨座式の大型モレールシステムによる「北大阪モノレール」の建設と経営は極めて困難だと考えられます。
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「日本跨座(こざ)式 大型」と呼ばれるモノレールシステムが採用されている
現在、東大阪市の瓜生堂駅(仮称)に向けて延伸工事が進められているが
建設費は1㎞当たり約160億円と見積もられている
【訂正】本記事をUPした際、上記建設費を「㎞当たり1,050億円」と記載しておりましたが、
これは誤りで正しくは「㎞当たり約160億円」です。訂正します。
とはいえ、北摂の交通問題を放置するわけにはいかない!
しかし、北大阪モノレール構想を単なる夢物語だと片付けてしまえば、北摂地域の交通問題は一層悪化する可能性があります。
北摂における交通問題の放置、あるいは局地的な対応が繰り返されると、考えられる状況として、阪急、JR西日本、北大阪急行、大阪モノレールの沿線ごとに北摂各地は分割され、山間部の人口減少はさらに進み、北摂全体の一体感がなくなっていくと考えられます。
北摂が「目の前の課題ばかりに追われ、一体感のない『楽しくないコンパクトシティー』の集合に陥っていくことになりかねません。そして、北摂の衰退は大阪府さらに関西全体にもマイナスの影響を与えます。
このような衰退のスパイラルへの道を断ち切るチャンスは、コロナ禍、さらに最近の様々な社会での出来事の中で多くの人が「これまで通りの社会の在り方では、もう前に進めないのではないか」と何となく感じ始めた今しかないのではないでしょうか。
「北大阪モノレール構想」は必要なプランだといえます。
「モノレール」の建設にこだわる必要はないのではないか?
「モノレール」と聞くと、多くの人はすでに走っている大阪モノレールはじめ各地のモノレールを想像すると思われますが、繰り返しになりますが、大阪モノレールと同じモノレールシステムによる「北大阪モノレール」の経営は相当な困難が予想されます。
これからの日本の社会に、莫大な設備投資とランニングコストを必要する不採算路線維持のために資源を割く余裕はなさそうです。
では、どのようして「北大阪環状モノレール構想」を実現していくのか?
ポイントは、ハード、ソフト両面で「既存の枠組みを超える」という指針を示し、それに基づき行動をしていくことです。
22世紀を見据えた新しい地域交通を創造する‼
「北大阪モノレール構想」の実現にはこれまでの交通経営を取り巻く常識に挑戦し「22世紀を見据えた新しい地域交通を創造する‼」というビジョンを掲げる必要があります。
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多様な交通システムの導入を検討する
「モノレール構想」と掲げながらも、日本跨座式に代表される、いわゆるモノレールを建設し運営していくということにこだわらず、あらゆるタイプの交通システムの導入を考えることで「北大阪モノレール構想」に奥行きと広がりが生まれます。
例えば自動運転や「eVTOL」(飛ぶクルマ)も検討の俎上に載せるといった考え方です。
あらゆる“transportation”ニーズを取り込む
提供するサービスは、単に乗客を運ぶということにとどまらず、大型貨物から小口のお届けサービスまで、モノの輸送も含めた「あらゆる移動ニーズ」をターゲットにします。
多様な人材が集まるフラットで縛りのない組織体で経営する
運営(経営)方法は、これまでの「企業を経営する」といったイメージではなく、多様な組織や個人が自らが持つ資源(労働力、モノ、カネ、情報や知見・経験など)を持ち寄り、それぞれの得意分野を活かし、北摂の交通の課題解決というミッションに「それぞれが望む形で自由に参加する」といったイメージです。
「既存の枠組みを超える」という視点で周囲を見渡すと、このビジョン実現は決して無理ではないと思えるとともに、それをアシストしてくれる様々な情報に出会うことができます。
次回からは、ビジョンの実現をアシストしてくれる情報を紹介していきたいと思います。
参考情報
北大阪モノレール準備室ホームページ