無印良品のある生活
私は無印良品が好きだ。買うのは台所用品と食べ物が中心だが。後は美術展巡りでメモを取るためのノート。背表紙が堅いので、立ったままメモを取りやすいのが気に入っている。
最近は無印でフライパンを新調した。これまで使ってたフライパンはコーティングが剥げて食材がくっつきやすくなっていたので。便利な世の中になったもので、ネットで少し調べれば色んなフライパンの情報が得られる。ル・クルーゼや取手が取れるティファールのように前々から知っていたブランドのものもあれば、初めて聞く名前の北欧のキッチンウェアブランドのもの、職人が鉄を打ち出して作ったもの、最近ニュースでよく聞くPFOAフリーを謳うもの、特殊なコーティングで肉や魚が美味しく焼けるもの、本当に沢山出てくる。
ではその無数の選択肢の中からどのフライパンを選ぶか、となるとまた一苦労である。あーでもないこーでもないと頭を悩ませるのは煩わしい。それで結局「無印でいいか」と。
無印良品はシンプルだとよく言われるそうだ。家具や日用品のデザインは実際シンプルだと私も思う。シンプルだからこそのカッコよさ、というのが無印良品を好む理由の1つでもある。
しかし無印良品のシンプルさとは単に商品のデザインの話ではなく、使用者のライフスタイルをもシンプルにできることだと思う。例えばフライパンボロくなったな、無印でいいか。あるいは靴下に穴が開きそうだ、無印でいいか。このように「とりあえず無印」とルーチン化してしまえば、自分にとって割とどうでもいいことで悩まずに済むのである。
どんな種類があるかネットで調べて、特長を比較検討し、どれを買うか決め、取り扱いのあるネットショップを探し、どこで買うか決めて……。時間もかかるし何より面倒くさい! まぁ無印でいいか、と決め打ちしてしまえば、そんな煩わしさを回避して、好きな事に時間を使えて快適なのだ。
無印の商品は何でも最高、と言っている訳ではない。むしろベストを目指さずベターで妥協するために無印を使っているのである。フライパンにしても、料理が最高の趣味で自分の手によく馴染んで使いやすい逸品が欲しい人は時間と労力をかけて至高の一本を探せばいい。だが私にとってフライパンは一調理器具に過ぎず、焦げ付かずそこそこ使いやすくそこそこ長持ちすればそれでいいのだ。ならばそこそこの値段でそこそこ品質がいい無印で十分なのである。
フライパンに限らず、自分にとって些細なものは無印にしておけば丸いという安心感がある。だから無印良品が好きなのだ。しかもそうやって無印ばかり使えば使うほど、家の中に統一感が生まれてくる。それで余計に無印が好きになるのだ。すっきりとまとまった部屋に住み、余計な選択肢に煩わされることなく、好きな事に時間も労力を注いで生きる。お陰様で日々快適である。
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