DX の心技体【2】未来ビジョンに向けたJourneyとすること(ありたい形、なりたい姿を追求する)
DXの本質はトランスフォーメーションということ
【1】で自分なりのDXを語ろうと言いましたが、DXの本質はトランスフォーメーションにあり、継続的、永続的な取組みになります。
かつて、空海が唐に渡り密教の奥義を伝授され、その後超人的な活躍をするといったように一足飛びで世の中を変えていくといったことも過去にはありましたが、通常は時間をかけて少しづつ社会や組織を変える営みを築いていくものになります。
その姿形はまさしく「長い旅」であり「旅すること」です。ゴールを目指して、山を越え谷を渡り、道なき道を突き進むことになるかもしれません。水の流れに乗って、風を受け順調に進んでいける時もあるでしょう。そんな時でも気が付けば、大きな激流や滝が待ち受けているかもしれません。幾多の苦難にあっても安易に流されるのではなく、自身の意思で進むべき進路をとっていくことが大切になります。※このあたりの話しは、「No.8の流されないこと」にも繋がっていきます。
旅するならば、やはり計画的、戦略的に取り組む必要があります
旅の目的は何か?企業・組織がどこに向かおうとしているのか?その存在意義やミッションは何か?を改めて問いかけることが求められています。自社の存在意義を明確化し、社会に与える価値を示す「パーパス」を軸にして社会に貢献する取り組みは「パーパス経営」と言われています。組織のミッションとして、どういう価値を社会やお客様に提供できるかを考えましょう。※これは「No.3の顧客志向で提供価値を表明すること」に繋がります。
そうしたビジョンを掲げ、描いたストーリとシナリオを手に、小さくとも確実な成果を上げながら歩みを繰り返し、どこかのタイミングでうまく加速化してたいところです。※これは「No.7の戦略的に考えてみよう」にも繋がります。
思い通りにうまくいかないのが旅でありその醍醐味でもあります
これまで数多のプロジェクトが存在し、あるものは成功し、あるものは失敗し、あるものは途中でお蔵入りするものも少なくはありません。何をもって成功と言えるか、予定した予算、スケジュールで実行できただけでは成功とは言えず、目論んだ効果・成果が発揮できたたどうかが本来重く問われます。その観点においてはプロジェクトの成功率はかなり厳しい数字になるのが現実ではないでしょうか。
DXの取り組みも同様です。理想と現実、期待と不安、予定と結果、楽観か悲観かなど、想定どおりには行かないギャップをどのように埋めてゆけば良いのか。制度的、技術的、資金や人材・スキルに関する問題など、行く手を阻むものは沢山存在し、否応なしに全面に立ちはだかってくるでしょう。
その一方で、道が険しければ険しいほど、波が高ければ高いほど、そこに挑む身体にはアドレナリンが流れ、日常の平穏に飽きた心に冒険心が目覚めるのです。その時に必要なのは、感動への探求心であり、背中を押してくれる人であり、励まし助け合う旅の仲間ではないでしょうか。※これは「No.9の変革・変化に対応するものを巻き込むこと」や「No.10の組織力向上」などにも繋がります。
旅の格言とトリセツ
ちなみに「旅」といえば、人生にも似てそれにまつわる格言も沢山あります。進むべき道とその歩き方、旅に惹かれる魅力、旅から得られるもの、旅の途上での新たな発見や待ち構える困難、運命的な出会いや別れ、旅を通して初めてわかる意味や価値など。それらは深い人生訓でもあり、私たちを惑わすワクワクする危険な香りのするものでもありそうです。
千里の道も一歩から(老子)
人の世に道は一つということはない。道は百も千も万もある(坂本龍馬)
道はいくつもある。時と場合に応じて、自在に道を変えればよいのである。(松下幸之助)
僕の前に道はない。僕の後ろに道はできる(高村光太郎)
今から20年後、君は「やったこと」よりも「やらなかったかったこと」にずっと後悔することだろう。さあ、もやいを解き放て! 安全な港から船を出せ! 探検せよ、夢を抱け、発見せよ!(マーク・トウェイン)
人が旅をする目的は到着ではない。旅をすることそのものが旅なのだ(ゲーテ)
目的地というのは決して場所ではなく、物事を新たな視点で見る方法である(ヘンリーミラー)
吹いている風がまったく同じでも、ある船は東へ行き、ある船は西へ行く。進路を決めるのは風ではない、帆の向きである。人生の航海でその行く末を決めるのは、なぎでもなければ、嵐でもない、心の持ち方である(エラ・ウィーラー・ウィルコックス)
私たち一人ひとりが航海しているこの人生の広漠とした大洋の中で、理性は羅針盤、情熱は疾風(アレキサンダー・ポープ)
明確な目的があれば、起伏の多い道でも前進できる。目的がないと、平坦な道でも前進できない(トーマス・カーライル)
旅は結婚のようなもの。コントロールしようと思うことが間違いなのだ(ジョン・スタインベック)
どんな旅にも、旅人自身も気づいていない秘密の終着地がある(マルティン・ブーバー)
まわり道でも旅の終わりに、君にもう一度会えたならいいね(松山千春)
すべては過程だ。結果ではない(カール・ルイス)
旅の過程にこそ価値がある(スティーブ・ジョブズ)
旅そのものであれば、自分探しなど運命に翻弄されながら感動を得られることが醍醐味になります。ビジネスにおけるDX Journeyであれば、より目標・ゴールを意識したロードマップを描きながら旅をコントロールしていきたいですね。
【おまけ】ゴールにたどり着いたとき、そこで何を見つけるのだろうか?
何を目指して旅を始めのか、旅の終わりに何を得ることができるでしょうか。旅を続けてやっと巡り合えた、誰も知らない宝の在り処。ゴールにたどり着いたとき、そこで見つけたものとは一体何だったのか?
苦難の末にやっと手に入れたものとは、実は旅の過程で既に獲得していたものであり、それを得ることで変容した自分自身の姿だと気付くのかもしれません。デビッド・キャラダイン主演映画「サイレント・フルート」のラストシーンの意味が蘇ってくるようです。
DXの心技体【3】~はまた以降の投稿で!
【再掲】DX推進の心技体(10選)
まずは自分なりのDXを語ること(自身の言葉で定義してみよう)
未来ビジョンに向けたJourneyとすること(ありたい形、なりたい姿を追求する)
顧客志向で提供価値を表明すること(「ならではの価値」を提供しよう)
手っ取り早くデジタル武装すること(低コスト・短期間で効果を実感できるものがあります)
Small Start で始めて、失敗と成果を積み上げて進めること(勇気を出して1歩踏みだそう)
最新技術・ソリューションをうまく活用し、新しいビジネスを作ること(デジタル技術の活用で経営課題の解決へ)
戦略的に考えてみること(シナリオ、プランを練って先を見据えて動こう)
気力・体力を維持し、流されないこと(絶えずゴールを見据える)
変革・変化に対応するものを巻き込むこと(抵抗勢力に対するチェンジマネジメントも必要)
組織力を上げること(横断組織、俊敏性、爆速、Agile)