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他人に迷惑をかけないように遊びましょう。
朝ランで通りかかる公園の掲示。見かけるたびにモヤモヤしています。
…感覚的にはわかる気がします。でもわからないので、モヤモヤしているのです。
なぜなら、そもそも「公園」とは?その中における「迷惑」とは?の2点が、はっきりしないからです。
ちなみにこの問いは、公園を「コミュニティ」、「迷惑」はそのコミュニティに相応しくないこと、と置き換えて考えることもできます。
公園とは
この公園は、元は江戸時代は東北の藩の下屋敷で、明治時代になってから皇族の所有地となり、昭和に入って「児童福祉を目的とする遊び場に深い関心を寄せられていた」皇族が「この地を東京市に賜与」され、後に敷地を拡張して地元の港区に移管された経緯があるそうです。
この公園のある東京都港区の「都市計画公園・緑地の整備方針」には、公園について「公園・緑地は様々なライフスタイルに合った憩いとレクリエーションの場を提供する」と書かれています。
ここは、池もあり、緑もあり、小高い丘もあり、遊具もあり、広場もあり、と幅広い用途に対応できる作りになっています。集う人の顔ぶれを見ると、朝に来ると太極拳をするご老人のご一行、昼にくると子連れの家族、時間帯問わず犬の散歩などを見かけます。また、場所柄、いろんな国の方も見かけます。
迷惑とは
そうした公園における「迷惑」って、なんでしょうか?
そもそも「迷惑」を辞書で引くと、このように載ってました。
【迷惑】他人のことで、煩わしくいやな目にあうこと。
(出所:岩波国語辞典)
この掲示は、公園の中にある広場の街灯にあります。この公園の場所、そしてこの掲示の場所から「迷惑」を考えると、ボール投げをしないとか、野球をしないとか、サッカーをしないとか、夜に大声で騒がないとか、といった行動が思い浮かびます。
改めて公園のHPの「ご利用案内」を見ると、11項目の中の一つに、こんな記載がありました。
球戯など他人に迷惑をかける遊びはやめましょう。
これを見ると「球技など」が「他人に迷惑をかける遊び」のようです。でもこの公園には(ボクが気付いていないだけかもしれませんが)、他の公園で見かけるような、それこそ「ボールで遊んではいけません」のような「○○してはいけません」という「禁止」事項が列挙された看板は、ありません。
ゆえにこの場の利用者は、その時にいる「他人」を見て、その他人が「煩わしくいやな目」と感じることを考え、「迷惑をかけない」ように遊ぶ、のでしょう。
たしかに休日の昼間に来ると、鬼ごっこや追いかけっこのような走り回る親子や子供たちを見かけます。要は、ボールやバットといった道具を使った遊びをしている人は見かけません。
しかし「児童福祉を目的とする遊び場に深い関心を寄せられて」賜与された場所なのに、なんだか息苦しい気が…。
思うこと
わかります。この広場で球技をすれば、サッカーであれば蹴ったボールがベビーカーに当たったり、野球であれば振り回したバットが老人にかすめるかもしれません。でも、代わりにそのようなことができる場があるか、というと、それはありません(と言いつつ、この公園は隣に運動場があります。でも、用途は軟式野球とテニスで、お代がかかります)。
でも「迷惑をかけない」というかなり抽象度の高い掲示で「児童福祉を目的とする遊び場」の秩序を維持するのは、利用者としてはかなり難易度が高い気がします。特に海外の方も多くお越しになるこの公園では、よりそのような気がします。
では、上述のように「禁止」事項の列挙がよいか、というと、そういうことでもない、とも思います。「禁止」事項の列挙を見ると「これ以外はやっていい」と考えて、やっちゃう人もいるかもしれません。もちろん、そんな人ばかりではないとも思います。
冒頭に述べましたが、この問いは公園を「コミュニティ」、「迷惑」はそのコミュニティに相応しくないこと、と置き換えて考えることもできると思います。
後者の「相応しくないこと」とは、そのコミュニティの中での立ち居振る舞いにメンバー同士が「違和感」を覚えること、と考えています。雰囲気や規範から「ズレ」ていること、とも言えます。
この前提は、コミュニティに出入りするメンバーがある程度決まっていて、そのメンバーに出番と活動があること、です。すると、その活動を行う中で「それはウチっぽくない」といったことが見えてくると思います。これは日頃の言動と行動で培われた「雰囲気」で、培われます。よってコミュニティ形成初期と、コミュニティに途中から入ってくる人には配慮が必要です。
なお、コミュニティの種類にもよりますが、できればその「規範」は、極力シンプルな方が、参加者は自分で考える余地を持て、主体的に出番に臨めるようになると考えています
しかし、公園のように不特定多数の人が出入りし、「様々なライフスタイルに合った憩いとレクリエーションの場」では、そもそも「メンバー」が決まっておらず、その人によって「違和感」を覚えることも違うでしょう。なので「規範」の内容とその共有の仕方は、難しいです。
あえて共有の仕方を挙げるとすれば、その場にいる人たち同士で「それは嫌です」と面倒がらずに話すことかもしれません。
ということで今日のモヤモヤの結論は、公園のように多目的で不特定多数がやってくる場の規範の内容とその共有の仕方は難しい、その中で一周まわって掲示の「他人に迷惑をかけないように遊びましょう。」は、言い得て妙だった、という感じです。
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![辻 貴之](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/135613883/profile_9a1ca2a08ae379c9582ce93042b32337.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)