見出し画像

同窓会を作る(になる)時に考えること

今朝、早稲田大学と早稲田大学ビジネススクールで開講されている授業「大隈塾」の同窓会(アラムナイコミュニティ)について、主宰の村田信之さんとディスカッションする機会をいただきました。そこでの気づきをまとめます。

ポイントは、同じ学び舎で学んだとしても「学ぶ時期(段階)」と「学ぶ目的」が違う人がいかにつながるか、です。
僕の解は「コンテキスト」を意識すること、です。

大隈塾とは

大隈塾は、早稲田大学で田原総一朗さんの発案によって始められたリーダーシップ講座です(以下出所はタイトルのリンク)。

ー2002年
「生きる力」をつけるために、学部授業「大隈塾 21世紀日本の構想」がスタート。すべての学部から選抜された200名の学生が、各界で著名なゲスト講師の講義と、田原総一朗塾頭を交えてのディスカッションで、毎週毎週鍛えられています。

ー2003年
「インテリジェンスの技法」を磨くための大隈塾演習(ゼミ)が始まります。

ー2004年
社会人を対象とした「大隈塾ネクスト・リーダー・プログラム」が設置されました。社業を通じて社会貢献をする、業種を超えたリーダーシップを身につける、そして「会社人間の社会化」として、幅広い見識、判断力、人脈を築いていけるように学習してきました。

ー自分と「大隈塾」
僕は、2012年に早稲田大学ビジネススクール内田和成先生と村田さんが開講された「リーダーシップ論(「大隈塾ネクスト・リーダー・プログラム」)」を履修させていただきました。

改めて企業派遣向けのプログラム概要を読み直すと「妥協のない議論を通じて自活力を磨くための場」だったようです。確かにその通りでした。

このクラスの特徴は、メンバー。
他のWBSの授業と異なり、企業派遣の皆さん25人と、僕のようなWBSの学生25人の計50人で構成。企業派遣の皆さんはそれぞれに社命を受けてやってきて、WBSのメンバーは人気授業だったこともあり選考を受けて臨んでいました。

この授業は、一方的な講義ではなく、実践しながら共創する時間でした。
授業ごとに設定されたテーマに基づくゲストとのディスカッション、政策シミュレーションや個別企業に対する提言作成などのグループワーク、そして学生が訪問先から内容までを企画立案し実行するスタディツアーなど、かなり盛り沢山でした。いずれも自分たちで考え、自分たちで動く「自分ごと」の時間でした。企業派遣もWBS生も、その出自に関係なく「自活力」を磨くことに一生懸命な1年でした。

ディスカッションのポイント

村田さんが仰っていたのは、この3つでした。

1.「大隈塾」で学んだ仲だったことを知らないのがもったいない。
2.「大隈塾」のハッシュタグ=「大隈塾とは○○である」がわからない。
3.「大隈塾」に入る(学ぶ)動機が、学部と社会人では違う。

ー「大隈塾」で学んだ仲だったことを知らないのが、もったいない。
主宰する村田さんからすると、学部でも大学院でも「大隈塾」という同じ「講座」で学んだ者は「同窓」。しかし、その同窓生同士が知り合えていない!なので、例えばマックで隣同士に座っていても気づけないことが、もったいない!

ー「大隈塾」に入る動機が、学部と社会人では違う。
しかし「大隈塾」と言えど、学部生と社会人では、学ぶ目的が違ってます。
(上記の通り)学部生は「とにかく学びたい」という思いで参加し、社会人は「目指すものや問題意識」に基づいて参加し…と、いう感じです。

ー「大隈塾とは○○である」がわからない。
なので、大隈塾ってなに?と問われた時の答えが、人によって違う(人によっては答えにくい)。ちなみに村田さんは「大隈塾とは楽しい場所である」とのこと。

ーということで!
「もったいない」という思いから動く村田さん。
しかし、大隈塾は「リーダーシップ」を学ぶ場ながら、学部生と社会人向けでは、学び始めた時の思いが違い、学ぶ方が違い、学ぶことが違う集まり。

という中で、それをつなげることに挑戦しようとしている村田さんの挑戦には、敬服する限りです。なので、何とかお力になれれば、と思っていろんなお話をさせていただきました

改めて考えると、このように、同じ場だけど参加する時期が違ったり、その時々で参加する人の臨み方が違ったり、同じタイミングで一緒に参加していても狙いや熱量が違ったり、ということはよくあります。そうした場の同窓会作りのヒントになればと願って、まとめてみます。

思ったこと

ー前提
個人的には、大隈塾への興味関心は、現役の時の臨み方が人によって違うので、卒業後も違っていいと思います(これは、あらゆるコミュニティにも言えること)。

そして、そもそも現役の時に、ともに何らかの目標に挑戦し、お互いに一緒にいられてよかった、という体験や感覚があることも重要です。一般的に、現役の時に「活動」と「役割」(出番)の分担がないと、その後に同窓会組織に発展させることは難しいと思います。

ーその上で考えたこと
村田さんにお話ししたことを家に帰って反芻しつつ、改めて思ったこと、それは「コンテキスト」を整理すること、です。

そもそもコミュニティは「7Cモデル」で成立する、と考えています。そのスタートはコンテキストです。

ーちなみに「コンテキスト」とは
文脈、文章の前後関係、背景、という意味です。この語源を辿ると「contexo」(一緒に編む)に至ります。

これをコミュニティに当てはめると、上述の通り「ともに何らかの目標に挑戦し、お互いに一緒にいられてよかった、という」時間を編むことにつながります。

スクリーンショット 2021-06-05 21.01.07

ー大隈塾の課題
学部生と社会人では「編む目的」が違い、「編み方」が違います。しかし、編み上げる作品は「リーダーシップ」であることは共通しています。

上述の通り、アラムナイコミュニティの肝は現役時代の過ごし方です。
よって、現役の開講前に「この講座はリーダーシップについて、実践を通じて学ぶ時間である」という「旗」(目指すもの・在り方)を明確にし、すべての時間がそれを編むことにつながるようにカリキュラムを設計しておくと、よりスムーズだと思います。

そして、すでにその時間を経てきたアラムナイには、機会あるごとにこの「旗」を示すことも大切です。

お分かりの通り、リーダーシップの体得や発揮は難しいです。
ちなみに「リーダーの役割は意思決定とその実行である」と、僕は授業で学びました。しかし、決めることや決め方、そしてその実行の仕方は、その時々によって違います。そのため、学部生時代に学べる「リーダーシップ」と、社会人で学べるそれは、きっと違います。

しかし、全てはその「旗」に通じていたんだ、と学んだことと学び方(=コンテキスト)を整理する時間を持つことが大事なのでは、とお話しした次第でした。

いずれも過去の現役時も、今も、全ては「リーダーシップについて、実践を通じて学ぶ」ことにつながっていた(いる)ことを整理することが大事です。

具体的にやること

ーきっかけ
すでに設定されている、講義の一つである田植えでもよし、先日開催されたようなゲストスピーカーを招いての朝活でもよし、何でもいいと思います。その時の「自己紹介」を一工夫することです。

ー自己紹介に入れたい3つのポイント
①学生時代に『大隈塾』を履修したのか
②履修後から今まで、引き続きどのように学びの目標に取り組んできたか
③その間に、どのような喜びや苦しみがあったのか

ちょっと小難しそうですが、学生時代のサークルでも、町内会でも、仕事のプロジェクト仲間でも、実はどんな集まりでも同じです。

集まる「目標」があって、現役時代にともに挑戦して、目標を達成…できることもあるけど、できないこともあって、その時の経験を活かして引き続き同じ目標に挑戦したり、目標は変えて引き続き何かに挑戦したり、その過程で目指す状況が生まれて嬉しくなったり、うまく行かなくて苦しくなったり…といったことを整理するきっかけになります。

そして何より「そんなこと考えてなかった」なんてことに気付きます。

そうしたことをちょっと意識して、田植えでも朝活でも臨むと、①を思い出し、②をまさしく実践しつつ、③の喜びの共有や辛さから脱する際の仲間を見つけることに、つながります。これを幹事は、参加者に固くならないように意識してもらうのです。

ーするとその先に
村田さんが仰っていたディスカッションの3つのポイント、すなわち学部や社会人、その期や学年を超えてつながる共通体験ができ、村田さんが仰る「学ぶ時の動機」の違いを超えることもでき、「知り合い」になることで出会いの機会を失うことは回避できる、と思います。

また、学部出身者にすれば社会人のロールモデルと出会え、社会人にしては若者と話すことで若かりし頃の自分に思いを馳せ、振り返るきっかけになります。そうした中での会話を通じて「大隈塾って○○な場所だよね」の「○○」に共通して入る要素を探していけると考えます。

まとめ

このように、同じ学び舎でも、学ぶ時期や学び方が違った場合のアラムナイコミュニティは、コンテキストを構成する3つ
①学びを通じて目指すもの
②学ぶこと(内容)と学び方(方法)
③そしてそのつながり
の整理を意識することが大事、だと思います。

時期が違っても、俯瞰してみれば、目指していたものは同じ。でも、その捉え方や取り組み方が違っただけ、総じてコンテキストは同じはずだから、それを整理して時間をともにするようにしましょ、ということでした。


いいなと思ったら応援しよう!

辻 貴之
ありがとうございます!頂いたサポートで、コミュニティ活動&幹事で知見を得て、また、共有します!