始めるよ準備はいいかい: 浦和レッズの世界への挑戦
2023年FIFAクラブワールドカップ(FCWC)の準決勝は、アジア王者である浦和レッズとヨーロッパ王者マンチェスター・シティの歴史的な対戦が予定されている。公式戦では初めての対戦となるが、1993年にフレンドリーマッチで対戦しており、その際はマンチェスター・シティが2-0で勝利している。
1993年当時、イングランドではプレミアリーグが誕生したばかりだった。マンチェスター・シティはウィンブルドンとの公式戦を終えた後、日本ツアーを行い、残りのプレミアリーグのためにとんぼ返りした。シティの最初の数シーズンは苦戦が続き、1995/96シーズンにはプレミアリーグからの初降格を経験する。
その頃、日本では初のプロサッカーリーグ、Jリーグの開幕を控えていた。前身リーグで強豪だった浦和(三菱)も、Jリーグ初期は苦境に立ち、1999年には2部への降格を余儀なくされた。
過去30年間で、マンチェスター・シティは数々のタイトルを獲得し、世界一に限りなく近づいてきた。その中にはUEFAチャンピオンズリーグも含まれ、今回のFCWC 2023への道を開いた。一方、浦和レッズはリーグやカップのタイトルを獲得し、その中にはアジアのチャンピオンズリーグ(ACL)を3度制覇するなど歴史に名前を刻んてきた。
2023年4月26日、初対戦からちょうど30年後、マンチェスター・シティは優勝争いのライバルであったアーセナルを4-1で下し、6度目のリーグタイトルに近づいた。その2週間後、浦和レッズはアル・ヒラルを破り、アジア王者のタイトルを手に入れた。
時の流れは速いものだ。
日本のチームがマンチェスター・シティを破るなど多くの人には不可能に思えるかもしれないが、浦和レッズのサポーターたちは賛成しないだろう。約400人のサポーターがマチェイ・スコルジャ監督のと同じことを信じてジェッダに集結した。彼らの多くは、初戦のクラブ・レオンに敗れた場合のプランすら考えていなかった。
彼らが今大会で世界一になりたいと思うのは、決して突拍子もないことではない。今こそがタイトルを手に入れる時だと信じている。
その理由はこうだ。
1. 二年間の長旅:FCWC2023への道のり
FCWC 2023への道のりは、シティ戦のちょうど2年前、2021年12月19日に行われた、大分トリニータとの天皇杯決勝から始まったと言っていいだろう。これにより、浦和は2022年のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)に進出した。 2022年8月にACL決勝進出を決めるも、西地区クラブとのスケジュールの不一致から、決勝まで半年近く待つこととなった。 この期間中、特にオフシーズンには大きな変化があり、浦和は監督、コーチングスタッフ、そしていくつかの主力の交代という挑戦に直面した。これらの変動はあったものの、チームは過去3年間にわたる全員の共同努力と献身がなければFCWCへの道のりは不可能だったと認識している。
2. ラストダンス:スコルジャとカンテとの別れ
惜しまれながら浦和を去るだろう。
今シーズンの加入者は、もう去らなければいけない。監督のマチェイ・スコルジャは退任し、ストライカーのホセ・カンテはFCWC後に引退を発表している。 スコルジャは就任直後にACLを制覇し、リーグで最少失点(34試合で27失点)というチームを構築することで監督としての手腕を発揮した。彼がチームにもたらした規律は、GKの西川周作やセンターバックのアレクサンダー・ショルツ、マリウス・ホイブラーテンなど、2023年のベストXIに選ばれたディフェンダーたちの卓越したパフォーマンスによってさらに示された。これにより、クラブの最少失点記録タイにも貢献した。
リーグでの得点は42と苦悩したが、ホセ・カンテは8得点を記録した。名古屋グランパス戦を含む3試合連続ゴールで評価を高めると、「理不尽カンテ」として他チームサポーターから恐れられた。
スコルジャとカンテは、一身上の理由でチームを去るが、まだ受け入れられていないサポーターも多い。クラブ・レオン戦のヒーローであるアレックス・シャルクなどの選手もFCWC後に退団する予定だ。同じチームが何年も存在することはないご、可能な間は全員で力を合わせて最高のパフォーマンスを目指す。
3.ラストチャンス:現行フォーマットでFCWC制覇を目指す
FCWCは浦和にとって、2025年に32チームに拡大される新フォーマットに変更される前の、現行フォーマットでの最後の勝利の機会を提供する。2007年の準決勝ACミラン戦(0-1)と2017年の準々決勝アル・ジャジーラ戦(0-1)ではともに敗れ、決勝進出を逃した。FCWCでの決勝進出は日本での長年のライバルである鹿島アントラーズにしか成し遂げられていない。浦和はトロフィーを持ち帰ることでそのマイルストーンを超えることを目指している。
現行フォーマットでAFC(アジア)のチームがUEFA(ヨーロッパ)のチームを破った例はなく、シティ戦の勝利は大きな快挙を意味するだろう。
試合後にジェッダは赤く染まるだろうか。その答えは、BluesとReesの間で行われるFCWC準決勝にある。
事実と豆知識
2008/09 UEFAチャンピオンズリーグのプレーオフで、マチェイ・スコルジャが指揮するヴィスワ・クラクフは、第2戦でペップ・グアルディオラ率いるFCバルセロナに勝利を収めた。しかし、合計スコアは1-4で次のステップには進めなかった。この2試合がグアルディオラの監督としての最初の公式戦だったことを考えると、スコルジャは90分間の試合でグアルディオラを勝利をあげた最初の監督だと言うことができるだろうか?
マンチェスター・シティのフットボールディレクター、アイトール・チキ・ベギリスタインは、浦和レッズで現役を引退した。彼はバルセロナで、そして現在マンチェスター・シティでペップ・グアルディオラと共に働いている。
マンチェスター・シティのアシスタントコーチであるフアン・マヌエル・リージョと、浦和レッズのGKコーチであるジョアン・ミレッは、2012年のカンファレンスでともに登壇した。インタビューによると、GKコーチングに関する彼らの異なる視点から興味深い議論が生まれたという。
マンチェスター・シティのストライカー、フリアン・アルバレスは、2018年のFCWFでリーベルプレートの選手として鹿島アントラーズと対戦したことがある。