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プレミアリーグ 第1節 リーズユナイテッドVSマンチェスターユナイテッド レビュー

欧州にフットボールのある日常が帰ってきた。
21-22シーズンの開幕節、ビエルサのリーズは赤い悪魔の本拠地に乗り込んだ。
早速試合を見て行こう。

スタメン

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<前半>(1)立ち上がりの攻防

立ち上がりの15分は互いにボールが落ち着かず、オープンな展開が続いた。
その中で鍵となったのが、リーズが自陣でボールを奪った瞬間=ユナイテッドがボールを失った瞬間だ。

ユナイテッドは、ボールを失った瞬間に相手を囲い込むゲーゲンプレスから10分、12分とチャンスを作る。
逆にリーズは、15分ユナイテッドのプレスを外し右から左へとボールを展開最後はクリヒがミドルシュートを放った。

ゲーゲンプレスはボールホルダーの周りに守備者が集まる分、逆サイドは手薄になる。立ち上がりは、ユナイテッドがボールを奪い切るか、リーズがそれを外すかがポイントであった。

<前半>(2)リーズのサイド侵入「外→内、内→外」

20分過ぎから徐々にゲームが落ち着いていき、両チームのビルドアップ時の狙いが見えてきた。

リーズが狙ったのはユナイテッドの両WGの背後のスペースである。
この狙いがよく見えたのが21分のシーン。

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右SBエイリングがボールを持ち、そこからクリヒ(内)→エイリング(外)→ロドリゴ(内)→ハフィーニャ(外)とジグザクにボールを繋ぎ、引き出した相手SBの奥のスペースまでボールを運ぶ。
こうした展開は、24分や33分にも見られチームとしてしっかりと準備された形であると感じた。

しかし、前半の45分でこうしたリーズの狙いが実行されたシーンは少なく、得点にも至らなかった。これには2つ理由があると考える。

まず1つ目は、フィリップスの不在だ。
前半を通して、中央に入るアンカーの選手にボールをつけるシーンがあまり見られなかった。そのことで相手のWGが中央を意識することなくリーズのSBにプレスをかけれるようになってしまい、リーズがサイドにボールを運ぶのが難しくなってしまった。
もちろん今節アンカーに入ったコッホだけのせいではないが、昨シーズン多くの試合でレギュラーを務めたフィリップスが万全であれば、状況は変わったかもしれない。

2つ目は、コンディション不足だ。
前述のような形でサイドを突破した際に、中の枚数が揃っていない場面が目立った。いつものリーズであれば、両CMや逆のSBまでがクロスに対して雪崩れ込んでくる。試合後のインタビューでビエルサが「複数の理由でパフォーマンスを発揮できなかった」と述べたように、リーズの求める高い強度や走力にコンディションが不足していた感は否めない。

<前半>(3)持ち運びとローテーション

一方のユナイテッドはリーズのマンツーマンベースの守備に対していかに振る舞ったのか。
まず印象的だったのが、2CBリンデロフとマグアイアの持ち運びだ。
リーズの守備は最終ラインが相手の前線に対して数的優位を作る為、前線で数的不利を許容するのが特徴である。

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具体的にはユナイテッドの2CBに対して1トップのバンフォードが横のパスコースを消しながらプレスをかける。
このプレスを2CBがドリブルで剥がす事で、リーズの選手は自分のマークがすでにいる状態で対応しなければならず、前進に成功した。

次にビルドアップから崩しの局面で有効だったのがポジションチェンジだ。
フリーな選手(基本的には2CB)を作り、相手の目線を集めた上で効果的にポジションを入れ替える事でリーズの特徴的なマンツーマンディフェンスを攻略した。
シーンで言うと5分30秒のフェルナンデスとマクトミネイのワンツー(縦の動き)や29分のフレッジからフェルナンデスにパスが入ってからのジェームズの動き出し(横の移動)には明確な狙いが感じられた。

ここまで両者の攻撃での狙いを見た上で先制点となった30分のシーンを振りってみよう。

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スタートはリーズのゴールキックから。両CBとCMが開いてポジションを取った所からGKメリエは繋ぐパスではなく、バンフォードに向かってのロングボールを選択した。
しかし、セカンドを拾えずマクトミネイにフリーで前を向かれてしまう。
そこから内側へ入ってきたポグバ→背後に抜けるフェルナンデスと繋がり、メリエとの一対一を制したフェルナンデスがゴール。

ユナイテッドは相手のゴールキックからフリーの選手を作り、前線3枚のポジションチェンジで相手ゴールまで迫る、狙い通りの形だった。
一方で、リーズはピッチ全体にポジションを取った状態でボールを自ら失ってしまいピンチを招いて失点。
両チームのこのゲームにおける攻撃の狙いがどれだけ実行できたかを象徴する得点となった。

<後半>狙われたアンカー脇

立ち上がり、早速ゲームが動く。
48分にリーズが同点に追いつくと、51分53分とユナイテッドが連続得点で再び逆転。この3ゴールの背景にはHTでのユナイテッドの変更があった。
それはポジトラ時のポグバのポジションである。
前半のポグバは左サイドや中央など自由に動き回っていた印象だったが、後半に入って意図を持って内側にポジションを取るようになった。
ここで狙っていたのはリーズのアンカー脇のスペースである。リーズは前半終盤以降、ユナイテッドの2ボランチの背後に2CMが高い位置を取る事でボール保持を高めていた。ポグバのポジション移動はこのリーズのボール保持を逆手に取ったものだったのだ。

これを踏まえて得点を見てみると、リーズのゴールはポグバの戻りきれなかったスペースでフリーになったエイリングのミドルシュートから生まれた。
逆にユナイテッドの2、3点目は、ボールを奪った選手からポグバ→グリーンウッド、ポグバ→フェルナンデスのゴールであり、この試合におけるポグバの影響力の高さが窺い知れる。

ユナイテッドはこの後も59分リンデロフからのロングボールに抜け出したフェルナンデスがニア上を打ち抜き4点目、67分ポグバのグランダークロスにフレッジが合わせて5点目を挙げた。

終わってみれば5-1、ユナイテッドがフェルナンデスのハットトリック、ポグバの4アシストでリーズを圧倒する試合となった。

おわりに

ユナイテッドはリーズの守備に対して明確な対応策を持ち見事に攻略した。また、後半に一度は追いつかれたものの前半で見つけた相手のウィークを突き、逆転した部分からもスールシャールにはポジティブな印象を抱いた。
ただ、前線からの守備ではボランチの脇やWGの背後で数的優位を作られるシーンもあり、今後より丁寧にボールを運んでくる相手と当たった際にどのような展開になるか注目したい。

リーズは試合を通して、運動量とインテンシティが不足していた印象だ。
前線までボールを運ぶも中の枚数が足りずシュートまで行けない、奪われた後の切り替えが遅く立て続けに失点と、厳しい展開が続いた。
特に気になったのが67分の5失点目のシーン。
1stディフェンダーの寄せが遅く、楔のパスを通される。
サイドに展開されるも戻り切れず、マイナス方向へクロスを上げられる。
このクロスに対してプレスバックが間に合わず、合わせられて失点。
マンツーマンの守備では各選手が局面で相手選手に負けない事が求められるが、この試合では多くの場面で後手を踏んでしまっていた。
原因がコンディション不良なのか、モチベーション不足、選手起用なのかは分からないが次節エバートン戦に向けて変化が必要である。





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