傾聴スキルが必要なのは意外にも上司じゃないかもって話
㈱ヒューマンリソースマネジメント研究所
なつカウンセリングルーム 代表
土肥なつみです。
「人生を彩る居場所をつくる」を企業理念とし、
企業研修・カウンセリング・人材育成コンサルティング等を行っています。
私の自己紹介はこちらのマガジンをご覧ください。
今日はなんとなく自分が日々、研修をやっていて感じる「傾聴」のお話です。
そっくりそのまま、ひっくり返して考えてみる
カウンセラーという職業柄、色々なところで傾聴の研修をさせていただくのですが、そのほとんどがリーダーだったり管理職だったりするんです。
・部下の話に耳を傾けましょう!
・部下の話に関心を持ちましょう!
・部下が何をしたいのか、丁寧に聴いていきましょう!
なんて話をしたりするのですが、最近とあるインフルエンサーの方が音声配信の中で
「傾聴が本当に必要なのは、部下の方だ!!」
と声高に叫んでて、確かに!!と思ったんです。
その方がおっしゃっていたのはざっくりまとめるとこんな感じ。
上司が傾聴することについて、私は色々な解釈があっていいと思ってます。
が、私はこの方のおっしゃっていることに概ね賛成。
恥ずかしながら、自分自身が傾聴研修をやっていて、無意識のうちに
「傾聴させること」をゴールにしてしまっていたのでは?と猛省したわけです。
(もちろんそんなつもりはない)
傾聴は適切な判断のための情報収集の手段。
めちゃめちゃしっくりきました。
で、部下に傾聴スキルが必要な理由も聴いてみると「確かになぁ」と思うわけです。
若手の方だけでなく、最近は「年上の部下」も増えてきましたので、色々な相談に日々乗っています。
これ、傾聴研修の内容を部下バージョンにしてみると
・上司の話に耳を傾けましょう!
・上司の話に関心を持ちましょう!
・上司が何をしたいのか、丁寧に聴いていきましょう!
こうなって、↑の問題ってなんとなく解決しそうじゃないですか?
(もちろん一筋縄にはいかないのは承知だけど)
何を考えているか分からないなら何を考えているか傾聴すれば良い。
そもそも上司の仕事ってどんなのか、関心を持って聴いてみればいい。
そうすれば自然と、自分がやるべきことや役割が見えてくるかもしれない。
もちろん、上司には発信力とか巻き込み力とか大事なのは分かるけど、上司だって人だし、中にはそれが上手に出来ない人もいる。
それを「上司失格!」と一蹴するのは、何となく優しくない世界だなと思うんです。
発信や巻き込みが苦手な上司に当たったら、それはある意味自分の傾聴力やフォロワーシップ力を高めるチャンスで
成長の機会と捉えてくれたら、職場がもっとポジティブになるなぁと思ってます。
おまけ:自分が無能であることもまた“学ぶ”
これは何かの心理学系の勉強会で習ったことで、詳細にまでは覚えてないんだけど
関り方によって人は「無能であることを学ぶ」ことも出来てしまうそうです。
例えば飲食店で新人アルバイトさんと一緒に働いている時。
新人さんが厨房でお皿を割ってしまった。
その時にベテランのあなたがササっとホウキとチリトリを持ってきて
「後はやっておくから!」と言ったとします。
食材のストックが切れてしまって、補充しないといけない時。
どうしようと立ちすくんでいる新人さんにベテランのあなたは
「こっちはやっておくから、あっち(いつもやってること)をやって!」
と言ったとします。
一見すると優しい先輩のように感じるかもしれませんが、これが数か月経つとどうでしょう。
もう新人でもないのに、「先輩がいないと何もできないスタッフ」が出来上がります。
この状態のことを乱暴な言い方ですが「無能であることを学ぶ」状態なんだそうです。
何年か前にドキュメンタリーで見た、全盲の子どもを育てる親御さんのお話。
お子さんが食事中に食器をひっくり返して割ったのですが、どれだけ泣いても親御さんは絶対に片付けようとはしませんでした。
「ここを持てば怪我しないから、自分でやりなさい」
そのシーンがとても印象的でした。
ちょっと話はそれましたが、
いつもいつも“優秀”な上司の下に付くことだけが成長かと言えば、私はそうは思いません。
むしろ自分が成長できるのはそうでない時だと思っています。
(ちょっと失礼ですが)
何を考えているか分からないとか、メンバーたちとうまく打ち解けてないとか
そういう時に自分はどうやって振舞うのか、その奮闘のひとつひとつに学びがあり、自分の財産になっていくんだと私は思っています。
最近はどうしてもマネジメントの全責任を上司だけが負う!みたいな構図になってしまってすごく息苦しいなぁと感じます。(そりゃ昇進したいと思う人も減るわ)
ちょっと見方を変えて、上司の話を傾聴してみてほしいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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