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“推し”という世界

㈱ヒューマンリソースマネジメント研究所
なつカウンセリングルーム 代表
土肥なつみです。
「人生を彩る居場所をつくる」を企業理念とし、
企業研修・カウンセリング・人材育成コンサルティング等を行っています。
私の自己紹介はこちらのマガジンをご覧ください。

最近、とある学生アルバイトさんに「何でバイト始めようと思ったの?」と聞くと「推しのためです!!」と返ってきました。

すっかりお馴染みになった“推し”という言葉。
彼女はアルバイトで貯めたお金で、定期的に好きなアーティスト(推し)のライブに出向き、応援のためグッズもたくさん購入するそうです。
いわゆる“推し活”です(ニュアンス違ってたらごめんなさい)。

他方、こんなこともありました。
バイトを卒業した大学生の男の子が県外に就職。
引っ越しの日、早朝にも関わらず駅までお見送りに行った高校生の女の子。

「〇〇君のこと好きだったの?♡」と聞くと
「違います、推しなんです。」と返ってきました。

私が学生時代にはあまり使われてこなかった言葉なので少し意味を調べてみました。
なんとタウンワークマガジンにすごく丁寧に解説されていたものがあったのでシェアします!

“推し”とは何か

「推し」とは、「人に勧めたいと思うほどに好感」を持っている状態です。相手に対して「憧れ」「応援」「友人や他の人と好きという気持ちを共有したい」という気持ちです。一方、推しと「距離を縮めたい」「親密な関係になりたい」という見返りを求める感情は一般的には含みません。

タウンワークマガジンより引用

<チェック項目:推し>
□ 姿を見ているだけで幸せ
□ 今日も顔や声、すべてが尊い
□ 仕事ぶりを尊敬している
□ その人のことを応援したい
□ 友だちや家族と好きな気持ちを共有したい
□ 近づきたいより見守りたい
□ 特別扱いは求めない
□ その人のこと考えると、幸せな気分になる
□ 見返りはいらない、ただただ応援したい

<チェック項目:好き>
□ その人の言動で一喜一憂する
□ 異性などと仲良くしていると嫉妬してしまう
□ 自分の事をよく知ってほしい
□ もっと会えるように、シフトや授業を被らせてしまう
□ 日常的にその人のことを考えてしまう
□ その人のことを「独り占め」したい
□ その人の「特別」になりたい
□ その人のこと考えると、たまに不安になる
□ レスポンスを含めた、見返りが欲しい

タウンワークマガジンより引用

「推し」と「好き」は、どちらも好意があることを示しますが、
自身の好意に対し見返りを求めないのが「推し」、求めるのが「好き」というのが一般的な解釈のようです。

代わりが存在する“推し”

学生たちに(一般の人における)“推し”って何?と聞いてみたらこんな答えが返ってきたんです。

・付き合いたいとまでは思っていない
・告白もしない
・でももし推しの方から告白してくることがあったら、付き合うと思う

このことから、私は“推し”の意味には上記に加えて「お気に入りの」というのもあるんじゃないかなと思っています。

お気に入りのカフェや文房具を並べるように、“推し”も存在する。
ただし、あくまでも「お気に入り」なので一つ(一人)ではい。

例えばお気に入りのカフェが一軒潰れたら、人は別のカフェに通うようになるし、
文房具がなくなったら、また新しいのを買うかもしれない。

「このカフェが無くなったから、コーヒーを飲む場所がない」
「このペンが無くなったから、もう文字は書けない」
なんてことはありませんよね。

こんな
「これじゃないといけない理由」が無いようなもの、な気がしてるんです。

どこにも居場所がない、人気芸能人

時々、人気絶頂中の芸能人や有名人が自ら命を絶ってしまうケースがあります。
どなたとも知り合いではないので断言はできませんが、
「人気絶頂中」でありながら「さみしい」という言葉を口にされていた方もいたそうです。
多くの人の“お気に入り”でありながらも、「あなたじゃないといけない」と言ってくれる人が周りにいなかった、という意味もあったのではないかと推測しています。

「私じゃなくてもいい」という状況は、思っている以上に寂しい。

余談:肯定的条件つきストローク

ちょっと本題と逸れるかもしれませんが、キャラクターのハッキリしている有名人やクラスや職場の人気者のような人にも似たような葛藤があるように感じています。

・いつも明るい自分でないといけない(暗い自分には価値がない)
・仕事をてきぱきこなす自分でないといけない(仕事ができない自分には価値がない)
・痩せないといけない(太っている自分には価値がない)

例えば普段のコミュニケーションの中で何気なく
「ちょっと~!〇〇さんが暗かったらみんなも元気なくなっちゃうよ!」
とか
「うちの部署のエースがどうしちゃったの?」
「スタイルが良いあなたが好きだよ」
と言ったとします。
これは心理学の言葉で条件つき肯定的ストロークと言われたりします。

部下育成の場面では必要だったり、良い働きをすることをあるのですが
あまりにもこの方法で肯定し続けたりニュアンスを間違えると

・明るいあなたに限ってOK
・仕事ができるあなたに限ってOK
・痩せているあなたに限ってOK

という無言のメッセージを与えかねません。

人って、短所も含めて「ありのままの自分」「オンリーワンの自分」を好きになって欲しい、受け入れて欲しい生き物なんですよね、きっと。

そんなことをぼんやり考えた1日なのでした◎


最後までお読みいただきありがとうございました。
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