リーダーシップのあり方は1つではないって話
こんにちは。
㈱ヒューマンリソースマネジメント研究所
なつカウンセリングルーム 代表
土肥なつみです。
「人生を彩る居場所をつくる」を理念とし、
企業研修・カウンセリング・人材育成コンサルティング等を行っています。
私の自己紹介はこちらのマガジンをご覧ください。
今回も人材育成について書いていきますが、どちらかというとマネジャーの方向けのリーダーシップをテーマにした内容になります。
突然ですが、普段部下育成をしていてこんなことありませんか?
部下を育成するにあたって、マネジャーのリーダーシップは必要不可欠です。
でも、リーダーシップがあるってそもそもどういう状況?
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実はリーダーシップのあり方というのは1つではなく、
相手に合わせて変える必要があるというのをご存じでしょうか?
今日はそんなリーダーシップの「SL理論」というものを解説していきたいと思います!
出典・参考にさせていただいた記事↓↓
SL理論とは
SL理論とは、部下の状態や状況に合わせてリーダーシップのスタイルを変える理論のことをいいます。
SLは「Situational Leadership(状況のリーダーシップ)」の頭文字をとったもので、
「状況対応型リーダーシップ」とも呼ばれます。
この理論では、上司が部下に対して一辺倒な指導をするのではなく、部下それぞれの能力や習熟度に合わせて指導をしたほうが、より部下の成長につながると考えます。
SL理論では、部下は次の4タイプにわけられます。
SL理論では部下の状態を上記のタイプに分類し、リーダーは、
「指示的行動」と「援助的行動」
の2つの軸で部下に接していくことが重要だとされています。
部下の4つの状況とリーダーの2つの行動軸を組み合わせると、
部下の状況に応じた4つのリーダーシップが必要になるといわれています。
次の章で、4つのリーダーシップとはどのようなものかを詳しく解説します。
SL理論における4つのリーダーシップの型
教示型リーダーシップ
①の「何をしていいのかわからず、ミスも恐れるタイプ」に対して有効なリーダーシップです。
新人スタッフや新入社員などがこのタイプにあてはまるかと思います。
具体的・細かに指示を出していく、いわゆるteachってやつですね。
新人さんが入ってくると私たちはつい
「早く仲良くなって信頼関係を築こう」と思いますよね。
休憩室で雑談を積極的に入れたり、仕事終わりに飲みに誘ったり。
それももちろん大切なことではありますが、この段階ではそれよりも
「わかりやすく具体的に教えること」「進捗管理を徹底すること」により、仕事ができるようになることを優先します。
冷たい印象になってしまわないかな?と不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。
新入社員さんはもちろんのこと、新人スタッフさんもみんな“仕事”をしに来ています。
仕事を丁寧に教えてくれることこそが
「あなたのことをしっかり見ているよ」というメッセージだと私は思っています。
もちろん、プレッシャーを与えすぎたりキツく𠮟りつけるのはNGです。
わかりやすい教え方については以下の記事を参考にしてください。
説得型リーダーシップ
②「何をしていいのかわからないが、積極的に行動したいタイプ」の部下へ有効なリーダーシップです。
入社2年目から3年目など、まだ十分ではないものの意欲の高い部下や
作業のオリエンテーションを一通り終えたアルバイトスタッフ、
また「新人として採用されたものの、きちんと教えられずに放置された部下・スタッフ」もこれに入ると私は考えています。
部下・スタッフは業務に対して自分なりに工夫するようになります。
働く中で意見や疑問を出すようになるため、
説得して自社が求める方向へ導いていくリーダーシップが求められるのです。
そのためリーダーは部下に対して指示的行動と援助的行動を取る必要があります。
SL理論における4つのリーダーシップスタイルのなかでは、最も工数や時間を必要とする部分になります。
入りたての新人さんに教示型で関わり、一通り作業を覚えたら放置…というシチュエーションを目にすることがあります。
「言われたことはやるんだけど、それ以上のことはしない」という部下・スタッフはこの状況で生まれることが多いです。
この仕事は何のためにするのか、することで誰の・どんな役に立っているのか
この段階でしっかり時間をかけて、丁寧に伝え、向き合います。
そうすることで部下は
「お客様のために・会社がよくなるために自分が出来ることはなんだろう」
と自然に考え、行動に移してくれるようになるのです。
参加型リーダーシップ
③「何をすべきかわかっているが、ミスや失敗が不安なタイプ」の部下に有効なリーダーシップです。
それなりに能力がついてきた部下や、店舗なら責任者を任せたいスタッフなどがこれにあたります。
リーダーは援助的行動を取り、部下の意思決定をサポートします。
この段階まで来ると指示的行動の必要は少なくなってきますが、ひとりでは意思決定をするのが難しい状態です。
リーダーは部下の意見や疑問を聞き、適切なアドバイスを与えて課題の解決や意思決定の決断を促します。
ここで大切なのは、リーダーは部下・スタッフの疑問や意見を
「まず聴く」ことです。
店舗トラブルのひとつに店長とベテランパートさんとの対立があります。
歴が長いパートさんにお昼の営業を任せているところもありますが、責任者というのは負担も大きい役割。
大変そうなパートさんに店長はよかれと思って
「もっとこうした方がいいよ」「ああした方がいいよ」「何でこうしないの?」
とアドバイスや指導を次々にします。
そしてパートさんは最初は話を聞くものの、段々とイライラしてきます。
「そこまで言うなら自分でやってください!」
「こっちだってちゃんとやってるんです!」
「もう店長の期待には答えられません!」
そう言われると店長も
「この人に言っても素直に聞いてくれないな」
「反抗されるだけだから言わないでおこう」
となり、
パートさんは
「店長は私に何も言ってくれない」
「きっと私に辞めてほしいと思ってるんだ」
となって、どんどんどんどん悪循環に陥っていきます。
これ、ほんとによくあります。
やってみてどうだった?
今、どんなことが困ってる?
部下・スタッフの困りごとを聴き、それに対してのアドバイスをまずは行うことで
「店長は私の話を聴いてくれた」
という気持ちになります。その時に初めて相手の心は開くんです。
大切なことは「まず聴く」ことです。
委任型リーダーシップ
ベテラン社員のように、
「何をすべきかわかっていて、愉しく取り組んでいるタイプ」の部下に有効なリーダーシップです。
業務に関して熟練しているため、自立的に仕事を進めてくれます。
リーダーに対して求めるものは、仕事の過程を見守ってほしいという部分になるでしょう。
上司から細かな指示を出す必要はありません。
ただし、任せっぱなしになるとモチベーションの低下につながります。
定期的に面談の場を設け、しっかりと話をする時間を取るなど
きちんと見守っているというアプローチをとるようにしましょう。
ここも、「きちんと見守っているアプローチ」が重要です。
これも、店舗トラブルあるあるですが、ベテランのパートさんから
「店長から全然感謝されない」とか
「出来て当たり前と思われてる!」などの相談を受けることもあります。
しかし、これを承認欲求と片付けてはいけません。
「店長から全然感謝されない!」というのは、感謝して欲しいということではないんです。
「きちんと見てるよ」というメッセージが欲しいのです。
こまめに情報を共有したり、してくれたことへのフィードバックを積極的に行ってください。
したい!という気持ちのエネルギー
部下を育成するにあたって
「言われたからやる・まぁできる」と「したい!」では
天と地ほどパフォーマンスに差があるなと思うんです。
とある店舗の立て直しにトレーナーとして関わったことがあるのですが
売上の規模も大きく、かつ16人の新人さんがいました。
(その店の約半分が新人っていう状況です)
8カ月後に、年に一度の繁忙日が来るので、それまでに他店舗の応援なしで営業できるようにしてほしい、というミッションをもらいました。
日々の店舗業務(調理・接客)に加え、
育成計画を立てる、
OJTをする、
情報を共有する、
面談計画を立てる、
進捗を確認する、
とても一人でこなせる業務量ではありませんでした。
睡眠時間は極端に少なくなり、毎日身体はとにかくクタクタ、何度通勤の車の中で寝落ちしかけたことか...汗
でも、そんな私の背中をいつも優しく押してくれた上司がいました。
マネージャーだったので一緒に働くことはあまりありませんでしたが、店舗の売上やスタッフ育成状況などはチェックしてくれていて、定期的にメールをくれました。
褒めておだてるような内容ではありません。
「今ここまできた、次はここ目指して頑張れ」
というような、まるでコーチとアスリートみたいな感じで
ヘトヘトになったり煮詰まった時、目指すべき場所を思い出させてくれるように関わってくれました。
私のタイプを理解しての関わりだったんだと思います。
そういう時って、
言われたからやる、でもなく
やらなきゃ、という義務感でもなく
絶対に達成したい!という気持ちが自分の内側から湧き上がってくるんですよね。
そうなると、寝ても覚めても(いい意味で)仕事のことを考えるようになって
日々のちょっとしたことから「あ、これお店に取り入れてみたらいいかも」とか
「こうやったら面白いだろうなぁ」って考えながら一人でニヤニヤしたり笑
まさに“仕事に夢中”って状態でした。
そう思えた時、人ってここまで頑張れるんだって自分でも驚きでした。
皆さんの部下は今、どのタイプですか?
リーダーシップはこうあるべき!という一つがあるわけではなく
部下・スタッフの状況に合わせて柔軟に変えていく必要があります。
是非、実践してみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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