「それって、仕事に関係ある?」
㈱ヒューマンリソースマネジメント研究所
なつカウンセリングルーム 代表
土肥なつみです。
「人生を彩る居場所をつくる」を企業理念とし、
企業研修・カウンセリング・人材育成コンサルティング等を行っています。
私の自己紹介はこちらのマガジンをご覧ください。
はたまた久しぶりの更新です!
最近はありがたいことにキャリアコンサルタントとしてのお仕事が忙しくなってきまして、毎日のようにセッションが入っています。
せっかくなので今日は“キャリア”をテーマに記事を書いていきたいと思います。
自分のキャリアについて考えたことがない方も、部下のキャリアに関わる管理職の方にぜひ読んでいただきたい内容となっております。
キャリアの広義な定義
そもそも“キャリア”ってどんな意味があると思いますか?
キャリアと聞くと、なんだかバリバリお仕事をこなしている、どんどん昇進していく…みたいな、
そんなイメージを持つ方も多いと思います。
でも実はキャリアって、仕事のことだけじゃないんです。
これを理論として提唱しているのが、1950年代のアメリカの教育学者
ドナルド・E・スーパー博士の「ライフキャリアレインボー」です。
スーパー博士は、キャリアという言葉を単なる仕事として捉えるのでなく、人生全般と捉える考え方(ライフ・キャリア)をキャリア理論に導入しました。
人間は「子ども・学生・余暇を楽しむ人・市民・職業人・配偶者・家庭人」の7つの役割を、立場によって使い分けていると説明しています。
つまり、仕事だけでなく「妻」や「父親」といった役割も“キャリア”に含まれるということです。
自分のキャリアを考える時、部下のキャリアについて考える時は仕事面だけでなく、こういった役割についても考える必要があります。
正社員は転勤が当たり前!はもう古い!?
全国に支社や事業所のある企業の中には
「正社員なんだから転勤は当たり前だろう」と考える方もいるかもしれません。
しかし、世の中の流れはどうなっているでしょうか。
株式会社パーソル総合研究所が最近こんな調査結果を発表しました。
就活生・社会人の実に半数が転勤のある会社への応募・入社を回避しているというのです。
女性の社会進出、共働き世帯が増える中、育児や介護をしながら働く従業員が増えたことが大きな理由としてあげられると思います。
また、2024年4月から労働条件の明示ルールが変更され、転勤により将来勤務する可能性のある場所を事前に明示することが必須となりました。
従来のように「男性は一社で24時間、定年まで働く」「女性は専業主婦やパートで、夫の仕事の予定に基本的には合わせる」というようなライフスタイルは一般的ではなくなってきていますので、価値観が変化するのは当然のことです。
では、企業側はどうでしょうか。
アート引越センターが2023年に実施した「転勤実態アンケート」の結果によると、
転勤者を選ぶ際に「本人の希望や意思を反映する」と回答した企業が
1999年の調査の約2倍に増加しており、企業が従業員のライフステージや希望をより重視するようになってきていることが分かります。
少し前に受けた相談でこんなことがありました。
正社員として働く男性Aさんは、つい数か月前に子どもが生まれたばかり。
働きながら育児にも積極的に関わっていこうと思っていた矢先、異動で単身赴任を言い渡されたのです。
同じ部署には、独身で特に転居制限のない同僚もいるのに。
心配した同僚が上司に話をすると
「それって仕事と関係あるの?」
と一蹴されたそう。
私の答えは“はい”です。仕事に関係あります。
※もちろん、その人が行くべき事情があるのなら話は別です
「正社員なんだから、会社に言われたら問答無用で転勤に応じるべきだ」という考えはもう古いです。
これからは、社員一人ひとりが自分のキャリア(=仕事だけでなく親などの役割についても)を主体的に考え、働き方を考えていくこと
そして企業は出来るだけそれに寄り添った人事異動をかけていくことが求められています。
全ての働き方に優しさを
企業の中には全国に支社や事業所があって、転勤が致し方ないというところももちろんあります。
最近では、“多様な正社員”として地域限定社員なども存在し、転居を伴って異動しても良いかどうか、働き方として選ぶことが出来る企業も増えてきました。
だからと言って、転居を伴う契約の正社員を問答無用で地球の裏側まで飛ばしていいという訳ではないと私は思ってるんです。
それって、優しくないですよね。
転居したくなければその契約にすれば良い、という単純な話ではないと思うんです。
例えば、基本的には転居を伴っていいんだけど、“今は”ちょっと待ってほしいってこと、ありませんか?
奥様が育児で疲れ果ててるとか、お子さんが不登校だとか、「親」「配偶者」という役割の中で果たすべきことがある時。
そういう細やかな配慮は人事だけでは把握しきれないので、一番身近な存在である上司ができるだけ担ってほしいと思います。
仮に異動せざるを得なくても、先ほどの例で言うと
Aさんでないといけない理由は何か?をAさん本人に丁寧に説明するだけでも納得感が全然違います。
成長のチャンスでもある異動。
「これは嫌がらせか?」なんて部下に思われないよう、
企業・社員双方にとって納得のいくものであってほしいものです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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