読者

  これは誰かが体験した話で白が黒になる人生の一瞬に起きた出来事なのです。

 日没、昔懐かしい公園の森の中で男が一人ぽつんといた………
  彼はある理不尽な理由で会社を止めされられ木の下でただ状況整理もできぬまま座っていた。

 広場には無邪気に球技で遊ぶ子どもたちの姿が目に映る
「あの頃の方がまだよかったなぁ」
思わず本音が微笑とともに声がでる、そのまま何も考えられず呆然としたまま、それでも老いとともに時間は無邪気にそして無情に針を進めている。
 そう無力感にうちひしがれ、ほんのりただの肉片になろうそんな気持ちがこちらを手招く。 ふとした瞬間、小さな影が入り口から歩いてくる普通なら気にしなくていいはずなのに気になって仕方ない。
 家出だろうか。 
 そんな疑問が頭によぎるそれくらいのどこまでも暗い雰囲気が伝わる、ぱっと見てまだ小学5、6年位の少年だ。
 見た目こそ普通の小学生だがどこか薄気味が悪く、それこそ他の子どもみたいな目の輝きがなく虚ろな見た目をした少年が俺と同じ木の下に来た。
 軽度の恐怖を感じながら俺は「あいつらと一緒に遊ばないのか?」と気がついたら言っていた。
 少年は何も言わずそっとうなずく
 とっさに「どうして?」といった、人生はあっという間で少年位の時期が一番楽しいはずなのだと自分を正当化し、少年の顔を伺う。
 それでも少年は何も言わない
 そんな少年の姿を見て、ふと昔自分と重ねて見てしまう。それは俺がまだ、それこそ少年位のときである。

 当時、僕には友達や親友がいなかった父親の仕事の関係上転校せざる終えなかったからである。
 昔から人が苦手で転校前でも親友が一人だけいた位、まぁ、客観的にそう見えるが主観的には親友だとは思えなかった。
 転校から数日、まもなく俺はいじめを受けた
いじめといっても靴に画ビョウとか入ってるとかそういうものではなく、主に無視があったがそれは当時の自分なら辛かったが自業自得である。
 表面ではそうだったが、実際は自分が教室にいない間に教科書のページが破られ、ゴミ箱に捨てられたり筆記用具に消しゴムだけがとられたり次に使うものが次々とものが消されたりした。
 
先生に相談しても「お前の整理整頓ができてないから」と言われ、その後からは本当に片付けが出来なくなった。
 親にも何も言えずその後もいじめが続いたそのせいで高校にはいけず暇を持て余し、町を定期的に歩き回った
 当然、ただ歩き回っているだけなので職にはつけず父親も癌でまともに仕事ができなかった。職につけない自責のせいでなにも喉を通らなかった。
その後は何とか職にはつけたがそれはまた別の話。
 そう思いをはせていると、突然「……って何?」という声が聞こえた、それはそれは、か細い声ではあったがうまく聞き取れなかった。
「ごめん、もう一度言ってくれる?」
しばらく少年は黙む、ほんの数秒だが俺には長く感じ罪悪感が溢れかえる。
 ようやく少年の口が開き「人間って何?ヒトってなんでいるの?」といった。

 この言葉だけで見ると子供の純粋な疑問なのではあるが喋り方にはとても感情的な言い方だった、その言葉と感情の主観的な矛盾により自分の感覚がどこか狂いだしたのが分かる。

 この感覚を客観的にに表すにはとても難しいのだがこの瞬間の俺をさらに首を締める発言ととらえてしまう。
 「解らない、もしかしたら死ぬためにいるかもしれない」もう頭が空っぽだった、体が三角座りに自然となりうつむく、その後に少年は何かを悟ったかのように耳元に囁く。
 「………」何を言われているのかまるでわからなかった、しかし、自分の心の中では聞こえて伝わっていたらしくそれを俺には教えたくないかのごとく頭が理解できていない。

 もう何もかもがごちゃごちゃになっていた。

 ふと顔をあげるとそれを嘲笑うかのごとく少年は吹っ切れたように去っていた………

 あれから数時間たったのだろうか、もう何も聞こえない何も見えない辺りは真っ暗、星もないそれでも月はなに食わぬ顔で地球を眺めているまるで本や物語を読んでいるかのように。

 もはや自分でも処理が出来ない、ただ空を見上げ呆然とする、この人が感情を爆発させるのがこっちまで伝わる

 「空はあなただ!ただ俺たちを俯瞰でみて嘲笑い、時に同情する身勝手な読者だ!」

 何もない、あるのは空気と生態系ただそれだけただそれだけの空間に怒号が響く、いや、ただの弱者の戯れ言とか負け犬の遠吠えの類い哀れである同情の余地もない、この男は訳のわからない言葉をはいたあと寂しげに笑いだした

 「はっは…馬鹿げた話だ、現実なのに空に向かってあなたなんて…俺は一体誰にいっているのかな………」
 聞いていて気持ちの悪いこの男は確かに僕であるなのに何故か他人のように思える。
 
 時々俺はこの世界が小説なのだろうかと思ってしまう癖がある、それにすがり付き自分を励ましてきた。
 しかし、ここは紛れもない現実、何もかもが理不尽で誰もが自分の優位に立てるように最善をつくし立ち回っている。
 ときに今の俺みたいに無力で勝ち目を失い何もない全てにおいて不要なやつもいる。完全に自業自得だ、勝者は弱者なんてものはもはやどうでもいい、寧ろただのマネーマシーン位にしか思っていないのだろう。
  こんな身勝手な主人公でいいのだろうか、そんな疑問が頭に鳴り響きつつも俺には何もない。「死んだとこで同情か嗤われる位だろ…どうせ」

 そんな投げやりな気持ちを呟く今こいつを殺したい、もはや今このばでやってしまってもいい当然殺人者は逮捕されない、なぜならこの男が俺でこいつが死んだとこでこいつは生きているのだから。

 ふとスマホが目にちらつく、今何時何分だろうそんなどうでもいいことをきっかけにスマホをとる。
 「45分か」その後、明日の天気がなぜか気なりついでに確認する、晴れだった。

 その後、彼はどうなったのかは私にはわからない、もしかしたら肉片としたか別の名で名を上げたのかそれは空もしくは月か太陽であるあなたが心の中で紡いで読んで見てのお楽しみ。
 
      ………それでは………






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