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ロシアのポーカーBot開発集団と不完全情報ゲームの未来

BF Corp(ボットファームコーポレーション)という集団がいるらしい。ブルームバーグが長文の調査記事で報じていた。ロシアはシベリアの都市オムスクで、理科系の学生たちによって、オンラインポーカーの黎明期に設立された。

当初はオンラインポーカーで勝つためのシステムを構築するために集まり、だんだんと他の似たような組織と合併したり、資本家の資本が入ったりして規模が大きくなった。プロポーカープレーヤーも加わるようになった。

プロプレイヤーなども含まれる複数のアカウントにソフトウェアを提供し、VPNやSIMを用いながら世界各国で正体を隠し、ポーカーサイトのアカウントを運用することで、収益を稼いでいた。

その後は、一般ユーザー向けに、指示通りしていればポーカーに勝てるアプリとして販売し、もはやアカウント運用の手間も省き、さらに大量のデータを集めてAIを改良することができた。そして、最終的には常に対戦相手がいることを提供できるニーズのある小規模なポーカークラブ向けに流動性ボットを売り込んで稼いでいた。2020年には「Deeplay」という会社を設立し、表向きはポーカーのポの字もないAIデータソリューション企業の看板を掲げていたという。

ポーカーBotはすでに人類がプレイできる回数以上のハンドを試行し、プロでも勝てなくなっているようだ。囲碁やチェスなどの完全情報ゲームだけでなく、ポーカーや麻雀などの不完全情報ゲームでも人間がまったく勝てなくなる(なっている)だろう。そうなると趣味でやるならともかく、キャッシュゲームとしては少なくともオンライン上は成立しにくい。結局、若干盛り上がっている将棋界や麻雀リーグのように、見世物としてのオフラインのみが残るのか。AIとの対戦で訓練したプレーヤーが、オフラインの場で、AIに近い手を出し、見ている人が感動する。うーん。


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