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米FDAのNMNサプリ販売禁止に対する訴訟をみて、成分に何か問題があるわけではないと分かった話

NMN(ニコンチンアミドヌクレオチド)という老化防止、あるいは若返りで話題の高級サプリがある。実際、値段はピンキリだが、1ヶ月1万円~3万円くらいが多いか。出回った当初はもっと高かった印象。確かホリエモンが技術の進展で米中で大量生産できるようになったと言っていた。

そのNMNサプリだが、アメリカで販売禁止になったという話はうっすら聞いたことがあった。だがそのときはよく意味が分からなかった。若返りという代物だけに、実際の成分に比して過剰広告が蔓延したため、そのような措置が取られたのかなとなんとなく思ったぐらいだ。

最近、アメリカのサプリメント業者なんかが加盟しているであろうNPA(米自然製品協会)というところが医薬品の承認を担当する米FDAを訴えた。NMNサプリの販売禁止措置(米アマゾンなどでも売られていない)を取ったのもこの米FDAである。訴訟理由は細かくはいろいろあるようだが、最終的にはNMNをサプリとして販売できるようにすることが目的である。

で、訴訟についていろいろ調べていると、米FDAがNMNを禁止した経緯がみえてきた。まず2022年10月に、内モンゴルキングダムウェイ製薬有限公司(アモイキングダムウェイという上海証券取引所上場企業の子会社)という中国の企業が、NMNサプリを出すため、米FDAに新規栄養成分通知(NDIN)というのを申請したところ、「NMNは、FDC(連邦食品・医薬品・化粧品)法 § 201(ff)(3)(B)(ii)により、栄養補助食品の定義からは除外される」という回答があったという。

その法律の§ 201(ff)(3)(B)(ii)とは、「新薬、抗生物質、または生物製剤として調査を許可され、重要な臨床試験が開始され、その調査の存在が公表されている成分」というもので、要するに先に治験がなどが許可・開始されている先行開発者の権利を保護するものだという。米FDAはその先行治験の詳細や開発者などは公表していない。裁判では、そんなブラックボックスはダメで何らかの重要な試験が公表された日ではないと後発の開発者は分からないと訴えている。

実は、その当局回答の数か月前に、尚科生物医药(上海)有限公司というこれまた中国の会社から出されたNMNも含まれた新規栄養成分通知(NDIN)には、米FDAは何ら言及することなく受領したらしい。裁判では、そのときは何も言わなかったじゃないかということも、争点となっている。

要するに、NMNの成分に有害性などの何か問題があったり、成分に比して過剰な宣伝が蔓延しているから販売禁止されたのではなく、NMNに関して先行に治験を許可された誰かがいるため、サプリとしての販売は認められないという当局の判断だったようだ。よく分からないが、中国メーカーに対して出した経緯からすると、これも米中対立の一環なのだろうか、なんてことも考えてしまう。


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