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「すそ、めくれてるよ」を思い出したあつい12月
ㅤ電車が走りだし駅をでたとき視界の端に梅田の街がぴかぴか光っているのが見えた。ふと顔を向けたらまったく同じタイミングで前に座っていたスーツのお兄さんも外を見た。
なんだかはずかしくてすぐスマホに視線を落とした。
きっと交流関係がきらびやかな人ならそんなときお兄さんの顔を見てふふって笑いかけるのだろうし、わたしはいつもそういう人に笑いかけられて友だちになるタイプだ。
社交的にふるまうことはできても根っからの社交人間ではない。むしろ多くの場合、初対面では人見知りを発動してむっとしてしまう…ってこれなにかの病気ですか?(笑)
そう思うと人に恵まれてるんだなぁ。「人に恵まれてる」なんてよく聞くけど、わたしもそうだった。世の中にはどれだけ多くの“いい人”がいるんだ。
バイトでわたしのミスを笑って許してくれたパートのおばさまも、走ってバスに向かうわたしを待ってくれた運ちゃんも、「(スカートの)すそ、めくれてるよ」って言ってくれた男の子も(高校生のとき。声が聞こえたほうを見たけど制服の後ろ姿しか見えなかった。きゅん、としたから覚えてる)。
思い出せば思い出すほど小さな出来事がよみがえって自分でも笑っちゃう。
でもそういう人たちが周りにたくさんいたからわたしは母が亡くなったときもおかしくなってしまわなかったのだと思う。
小さな思いやりほど相手は覚えてるものだな。
おわり