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義理の娘たちとのバトル顛末

先日、聞いた話です。

40代で結婚した知り合い。
その人は初婚でしたが、お相手は×いち。
連れ子さんがふたり。高1と中1の女の子。

一緒に暮らすわけですから、かなり緊張もしていたそうです。

結婚前に会った感じではとってもフレンドリーだったし
こんなかわいい二人なら大丈夫、友達感覚でやっていけるだろうと思っていたそうです。
でも、蓋を開けてみたら、とんでもなかった。

小さいことの積み重ねなんですが、いちいち意地悪されるんだそうです。

たとえば……

仕事で疲れて帰ってみると、夕方セットしておいた炊飯器が空っぽ。
あれ?と思って、見てみると、娘たちはもう食べたようで、
二個のおにぎりがラップされていて、他は冷凍ご飯に。
おにぎりには「パパ、お疲れ様!」という付箋が。

つまり、彼女の分は冷凍ご飯になってるわけですね。

あるいは……

お風呂に入ろうと思ってバスルームへ行くと
まだ彼女は入ってないのにお湯が抜かれている。

最初はうっかりなのか、今までの3人の暮らしになれていたからかと
思っていましたが、ある日、ワザとなんだという決定的なことがありました。

ご飯を食べ終わった時、仕事の電話がかかってきて、それを別の部屋で受け、戻ってみると……
見事に彼女のぶんだけ、食卓テーブルに残されたまま。
娘達と旦那さんの分だけはきれいに片付けられていたそうです。

これはどう考えてもワザとでしょう。
それでも、ことを荒立てて言うほどのことでもない。

ご主人は忙しくて、なかなか家に戻れないし。
そんなことで煩わせたくない。

しかし、娘たちの小さな意地悪はボディブローのように効いてきます。

そんなことが毎日毎日続いていて、
ついに熱を出して寝込んでしまったそうです。極度のストレスが免疫力も弱らせていたようです。なんとか病院に行き、薬をもらい、誰も看病などしてくれないので、コンビニおにぎりを食べたりポカリを飲んだり。

そうだ、薬を飲まなければと思うのですが、いくら探しても見つからない。
そして、信じられない光景を目にしたんですね。

……キッチンのゴミ箱に、病院でもらってきた薬が生ゴミと一緒に突っ込まれていたんだそうです。

でも、彼女はそこからすごい巻き返し作戦を決行します。


チクチクと陰険に、小さな意地悪をしつこくやってくる高一と中一の義理娘。
病気で苦しむA子さんの薬を生ゴミと一緒にゴミ箱に突っこんでいた……。
それを知ったA子は、悲しいとか辛いという感情以上に、悔しいという思いが強くわき上がってきたそうです。

こんな小娘たちに負けてたまるか! なめられてたまるか! という気持ちで、頭も体も燃えるような怒りで満ちたそうです。
(まぁ、実際、病気で高熱出してたんですけどね)

でも、ご主人に告げ口したり、協力してもらったりはしたくない。
その当時、ご主人はすごく多忙で家には寝に帰るという状況でした。

それに、人に頼って解決するんでは、小娘たちに負けたことになる。

A子さんは病気が治ると、ほぼ毎日完璧な朝ご飯と夕飯を作り、家もピッカピカに磨き、完璧な主婦を目指したそうです。

小娘たちがツッコみようがないほど、完璧な主婦であるように。

意地悪をされても、全く無視。何も効いてないぞというフリをし続けたそうです。
お風呂のお湯を落とされても、鼻歌まじりにまたいっぱいにする。
自分の分だけ食器が片付けられてなくても、さっさと片付ける。

怒ることもせず、とにかく何も効いてないというフリを続けました。
すると、小娘たちの意地悪もどんどんエスカレートしていきました。
A子さんのパンプスシューズに髪を固めるジェルが入れられたり、ストッキングが全部デンセンを入れられたり、お風呂場に干してあった下着に墨汁のシミを付けられたり……。

その全てをA子さんは写真を撮って、記録しておきました。
要するに、離婚訴訟の際、有利になるよう、さまざまな証拠をおさえ、日記を付けておくのと同じです。

ストッキングや下着類は証拠として現物を取っておきました。
こうして一ヶ月が経ったある日のことです。

花粉症の薬をキッチンに置いたままなのを思い出したA子さん。
戻ってみると、ちょうど高一のほうの娘がA子さんの薬を手にしていました。
またゴミ箱に捨てるつもりなんでしょう。

これこそ、A子さんの待ち望んでいた瞬間です。

彼女はそのため、どんなときもスマホを持ち歩いていました。

息をひそめ、娘に気づかれないよう、スマホでビデオ撮影しました。
そう、薬をゴミ箱に捨てる一部始終を証拠として掴んだのです!!

でも、その場は静かに立ち去りました。
しばらくして、ゴミ箱に捨てられている薬の様子も写真に撮り……。

その日の夜、まだご主人が帰っていない時。

二人の娘をダイニングに呼びました。
何を言われるんだろうと、いぶかしく思っている二人の前に、
これまでの全ての証拠を出して見せました。

日記も読みました。

まっ青になる二人。
でも、高一の姉のほうが言いました。
「こ、こんなのだけじゃわからないじゃない!わたしたちがやったって証拠ないし。証拠を作ることだってできるもん。自分でストッキング、穴開けたり、いろいろしたんじゃない?」

そう、その時、あのビデオが効力を発揮したのです。
A子さんはその動画を見せ、いよいよもうダメだと震えている二人に言いました。

「何がイヤなのか、どうしてこんな意地悪をするのか、教えてくれない? ただ気に入らないとか、ママじゃないからとか、そういう理由はなしよ」

二人はわぁっと泣き始めました。

A子さんは彼女たちに言いました。
「泣きマネしても無駄よ。泣いたら許してもらえるんだなんて、こんな陰険なことを何十日って続けてきたのに、今さら甘いわ。わかる?」

二人は顔を上げ、ふてくされた顔でA子さんを見上げました。
「じゃあ、どうするの?パパに言うつもり?」
「そうね。それも考えたけど、それやっちゃったら、最後の切り札がなくなっちゃうでしょ。まだやらないわ。それに、パパだってどうせあなたたちの味方をするでしょ。わたしがこれを使うのは、もっと効果的な場所よ」
「なによ!どうするっていうの?」
「それはこれからゆっくり考えるわ。さぁ、どうする?これからもこういう嫌がらせしていくの?」
そこまで言われて、二人は黙りこんでしまいました。

A子さんは微笑んで言いました。

「もう充分、楽しんだんじゃない?仲直りとは言わない。わたしをママと思えなんて言わないし。うん、そうね。休戦しない?」

二人は顔を見合わせ、うなずきました。
これ以上反発しても、ダメだと白旗を振ったんでしょう。

「じゃあ、これで交渉成立。成立の握手よ!」

二人と握手をし、立ち上がりました。
「今日はパパ、遅くなるっていうから、三人でお寿司でも食べに行こ!休戦祝いよ」

その日から娘たちの意地悪はピタッと止まりました。
仲良くなってから聞いた話では……

パパと娘二人の生活が気楽だったのに、お邪魔虫のA子さんが入ってきた。
意地悪してればそのうち出ていくだろうという考えだった。
でも、あんな反撃をされるとは思わなかったし、面白い人だなぁと思うようになった。

家事もしなくってすむし、ご飯もおいしいし、いてもらったほうが何かと便利かもしれない。そう思ったと。

もちろん、A子さんは娘二人、ある程度家事もやれるようになってないと、私みたいになかなか結婚できなくって困るわよと言って、家事も分担制にしたそうです。

高一の娘からの強烈な一言。

「それ、すっごい説得力あるんだけどー!」


             END


(実話のように書きましたが、これは創作ですw)



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