「どんぐりと山猫」
また30度になるという話もちらほら。
でも、きょうはすっかり秋の、とってもいい感じのお天気です。
衣替えをいつするか……毎年悩みませんか?
今年は特に、あまりにも急に涼しく(寒く?)なってしまったので、だいじょうぶかいな?と思ってしまいます。
夏の暑い盛り、そして、長雨……と、なかなかウォーキングできなかったんですが、ぼちぼち歩き始めています。
こういうのは習慣だから、歩かなくなると、アカンですねー。
昨日、歩いていて、きれいな宝石みたいなドングリを発見しました。
ひとつひとつ個性があって、いいでしょう?
ドングリで思い出すのは、宮沢賢治の「どんぐりと山猫」。
大好きな話で、、もしかしたら、一番好きな話かもしれません。
以前、廃品回収をお願いした業者さんが「山猫商会」といいまして。
名前が素敵なので決めたんですよね~
もちろん、人間の業者さんが来ましたが、もしかすると、中身は山猫なのかも……なんてね。
あのお話で好きなのは、主人公の一郎に来たおかしな葉書から始まるところです。
かねた一郎さま 九月十九日
あなたは、ごきげんよろしいほで、けっこです。
あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい。
とびどぐもたないでくなさい。
山ねこ 拝
こんなへんてこな葉書、受け取ったらって想像したら、一郎と同じように、とんだりはねたりしたくなります。
翌日、奇妙な風体の馬車別当にあいます。馬車別当というのは、あいていにいえば、馬丁のこと。馬丁は馬を引いて歩く人ですから、その馬車版、御者ってことですかね。
その男は葉書を書いた本人のようで、「あの文章はずいぶんヘタだべ?」と悲しそうに下を向いていったりします。
気の毒になった一郎は「さあ、なかなか文章がうまいようでしたよ」と答え、すっかりうれしくなって、耳のあたりまで赤くした別当は、「あの字もなかなかうまいか?」と聞きます。
一郎がさらに、五年生じゃ書けない字だと言うのに、それでは満足できないようで、「尋常五年生だべ」と返します。
そこで一郎が「いえいえ大学校の五年生ですよ」と言い、やっと満足した別当は顔中にたにたと笑いながら「あの葉書はわしが書いたのだよ」と叫ぶのです。
なんてまぁ、かわいらしい別当でしょう。
もうね。この冒頭から子供の頃のわたしはこの世界の住人になってしまいました。一郎となったのです。
ここに、青空文庫のPDFを紹介しておきます。未読の方、もう一度読んでみたくなったという方はどうぞ。
https://tatsu-zine.com/samples/aozora/dongurito_yamaneko.pdf