ベルばらと私

王道、というものをあまり好まないタイプだと自分では思っているのだが、少女漫画界では王道中の王道である『ベルサイユのばら』が大好きである。それどころかベルヲタと化してしまった。

出逢いは週刊マーガレット。リアルタイムで読んでいた。ベルばらの連載が始まった時に小6で、終わったのは中1、それこそ思春期真っ只中。
魅了される要素は様々あるが、単純に物語の面白さにのめり込んだと言っていい。ちょうど世界史を習う年齢になってたので、1789年という年号だけはすぐにインプットされ、早くその時代の授業来ないかなと待ち構えていたものである。

私がとりわけ好きだったキャラはアンドレだ。
当初こそ脇役中の脇役だったが、徐々に存在感を増して行く。髪を切った辺りから明らかに格好良くなってくる。
その状況が、親友としか思ってなかったのに次第に彼に惹かれて行くオスカルの心情と見事にシンクロするので、こちらも感情移入してしまうのだ。 

報われないとしか思えないのに命懸けで愛する人を護り続ける姿、理想の男性像No.1である。

じっさい、作者の池田先生が仰ってたが、当時働く女性たちの間で「私もアンドレのような存在が欲しい」と言われていたそうだ。ある意味、女にとって都合の良すぎる男性像かもしれないが、逆に少年漫画には男の子に都合の良すぎる女子キャラなどゴマンといたはずなので別にいいじゃないかと思う。

さて、ブームというものは一時期熱狂してもやがて冷めてしまうことも多い。
しかし私には第◯次ベルばらブーム、という形で複数回訪れた。少なくとも4回は来た。
それこそコミックスは嫁入り道具として引っ越しの度に持ち歩いた。子供が生まれたら読ませたいなどと思ってた(諸事情で叶わなかったが)

そして最終的にかなりいい大人になってから見事にヲタクと化す。
 ケータイのベルばらワールドというサイトに取り憑かれた。ここにはコミュニティがあり、顔も知らない人と作品の魅力について語り合い、そのうちオフ会に参加し、更には二次創作まで書いてしまうくらい熱が入った。

ここで知り合った数人とは本当に親友と呼べる間柄になっている。住む場所が違うのでしょっちゅう会えないけど、お互いの近況を報告し合っている。更にはベルばら50周年記念の展覧会にも一緒に足を運んだ。


ところで、そんな私はいわゆる原作至上主義者で、他媒体をどうにも受け付けられない。舞台アニメ実写などあったが、これらは大金をかけて作られた二次創作でしかないと思っている。
ともかく原作は素晴らしく、それこそいい歳になっても全く遜色なく親しめる書、というより私にはもうバイブルである(そりゃまあ、原作にもツッコミどころがない訳じゃないがそれはアバタにエクボというか)

出逢った年齢というかタイミングもあるにせよ、この作品で人生観、恋愛観、正義感といったものが植え付けられたと言える。

先に書いたようにアンドレは理想の男性なのだが、自分自身、佳き友人と呼べる人から恋愛に発展するパターンを踏襲してしまっている。そのくらい染み付いてる。
アンドレは決して王子様ではないし見た目も「よく見るとハンサム」程度なのだ。また、聖人君子的な存在でもなくリビドーに苦しむ一面を見せる。理想でありながら身近に思える、そういうところが良い。

そしてオスカルが世の中の不平等に対して起こした行動、思想に感化された。彼女もまた理想の女性と言える。


いよいよ「三が日」が今年も訪れる。蛇足で説明すると、オスカルとアンドレが結ばれた日、アンドレの命日、オスカルの命日、の三日間である。ベルヲタは、これらの日を祝うという言い方は変だが、何かしらアクションを起こしたくなるのである。

今年もまた熱い夏の到来。


#ベルサイユのばら
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