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社寺検分のすゝめ -本願寺 唐門②-
さてさて、いよいよ検分画像が火を噴きます。
今回とりあげるテーマは
THE・獅子!
もう本願寺さんといえば獅子彫刻。
獅子彫刻だらけ!
私も本願寺検分の目当ての1つはモチのロンで獅子さん収穫です。
獅子といえば霊獣界隈ではライオンやイヌの流れを汲み
① 守護(門の番人・権力(法)の守護)
② 百獣の王(太陽を象徴する聖獣)
この2つがざっくりしたシンボルイメージです。
ネコ科でイヌっ気もあるとか、正に負け知らずの百獣の王!
獅子は社寺彫刻における霊獣としてメジャーどころなんですが、
冷静に考えるとなぜにこんなにも獅子ばかりかと
首をややかしげるくらいの獅子づくし・本願寺。
これに関しては正直なところ、
なんでかわかりません。
ちょっと多いな、ならわかるんですよ。
あぁ、獅子さん良いよね、好きだったんだねー、と。
このフル装備の装飾彫刻でほぼ獅子。
通常であれば色んな霊獣をわさわさ集めても良いところをあえて。
同じ三大唐門の大徳寺さんはパッと見、霊獣のテーマパークです。
題材は、龍・犀・おそらく猪系のマカラ・麒麟・獏・獅子といったもの。
そこに孔雀・虎・鶴・中国故事がきて、雲や波や宝珠や葡萄や…
だいたいが社寺装飾は、こうした多様な題材で演出されがちです。
どうして、どうしてこんなにも獅子ばかりなのか。
もうこれは
「うちは獅子でいきますねん」
という強い意思表示としか思えない徹底っぷりです。
本願寺さんならば何か説明があるのではと軽く調べてみましたが
見当たらずでした。
この念には念を入れた獅子づくし、非常に謎です。
昨夜、入浴中にふと思い至ったのは
「獅子づくしの唐門なんて他にないから建てちゃおう!」的な
「そうだ、○○は獅子を彫らせたら当代一だ!」的な
そういう意欲作でもあるのではという…やや説得力に欠けますかねぇ…
さぁそんな唐門の獅子さんたちを見て参りましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1683364583835-XZ51yOqu1n.jpg?width=1200)
正面は見せ所で良い彫りが多いのですが、
一度本願寺さんの外に出ないといけないので人が少ない穴場スポットです!
![](https://assets.st-note.com/img/1683364973135-qEAw8q2XtH.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1683365044791-csaFHwbbRd.jpg?width=1200)
この獅子さんは、「私的カッコイイ獅子彫刻ベスト5」に悠々と入って参りました。見事!
![](https://assets.st-note.com/img/1683365077898-5hKUmNOPKp.jpg?width=1200)
扉の羽目板に1体ずつ配置されているこの獅子on獅子。
![](https://assets.st-note.com/img/1683365128205-Zd71Kzx4II.jpg?width=1200)
せっかくなので数えてみたところ
唐門全体で31体です。
アトリエのAさんが何してるの?と聞いてきて「獅子を数えてる」と返したところ
Aさん「16でしょう?」
私「いや、扉で16超えますので」
Aさん、ふっと笑い「獅子(4×4)16」
閑話休題。
少し寒い風が吹きました。
とまぁ、獅子が全面に押し出され、引き立てる花はもちろん牡丹。
百獣の王と百花の王。
牡丹の花影は獅子の唯一の安息場所。
ここ本願寺は俗世で心を安らぐ唯一の場所!
とばかりに唐獅子牡丹の満員御礼。
もう私の心は興奮しっぱなしです。
流石の本願寺さん、社寺彫刻の獅子ではトップクラスのものばかりかと思います。
どうぞどうぞご堪能ください。
![](https://assets.st-note.com/img/1683368211022-MsHa2P2QuB.jpg?width=1200)
唐門の上部の彫刻ともあって、金箔の使用範囲が広い。
![](https://assets.st-note.com/img/1683368223419-iysDvqkUGU.jpg?width=1200)
こちらもやや可愛い感を出しつつ良いお顔。
![](https://assets.st-note.com/img/1683368253860-9UZPrBW2VH.jpg?width=1200)
透かし彫りで、門の背面からは背中やお尻が見られます。
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![](https://assets.st-note.com/img/1683368320519-AtVwXkXlps.jpg?width=1200)
毛と体の配色組み合わせ、色々と見られるのも素敵な本願寺。
![](https://assets.st-note.com/img/1683368443422-a01a3LI4ur.jpg?width=1200)
大仰でない躍動感が心憎い一体。
![](https://assets.st-note.com/img/1683368355044-qLxypKLDDv.jpg?width=1200)
板面の漆が彩色を際立たせております。
漆の黒ってなんだか宇宙感がありますね。
![](https://assets.st-note.com/img/1683368474424-K2zJnsaaYY.jpg?width=1200)
こうした部材ごとの彩色仕様を見比べるのもオツなもの。
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豪勢な仕様ながらも親しみやすい印象です。
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「親子の獅子」「親子の霊獣」はよくありますが、なかなかの野心作です。
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1体1体見比べると、脚の甲の毛や指先など、それぞれ彫りが違うのを楽しめます。
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この親獅子のたてがみの広がり方が面白い。
![](https://assets.st-note.com/img/1683368605418-eu1d5Dde2i.jpg?width=1200)
表情の精悍さから見るに、きっと生真面目な若い人が彫ったんではなかろうか。
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飛んで、やや体をひねる。手堅いポージングです。
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![](https://assets.st-note.com/img/1683543696756-7LGa82PBHx.jpg?width=1200)
木鼻の阿形は背面の方が好みかも。
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ちょっとニッコリされています。
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こちらは少しアンニュイな獅子さん。
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とまぁ、31体のうち大部分を載せてみました。
通常の社寺建築ですと、蟇股に1体、木鼻に2~4体で
見られて5体くらいでしょう。
そこを唐門1つで31体ですからね、類例集め人間にはありがたいことです。
獅子・狛犬に関しては
アツイ研究家さん、写真家さんの世界があるみたいですので
ご興味のある方はぜひ「獅子とはなんぞや」「狛犬とはなんぞや」と
画像検索などでお楽しみください。
私もまたご無沙汰の図像学でシシコマをとりあげたいなぁと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
次回もまだまだ本願寺唐門!
それでは。
おまけ
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かゆいところには届かなさそうです。
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