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バックヤード:「物語のパターン」のこと

俺も生意気に物語を書くにあたっての展開に悩んだりすることはある。これは本当に難しい。
いわば「この物語は、どのように流れるべきか」という正しさの感覚のようなものだ。

で、まあ世の中には、「読み手に受け容れられやすい物語の展開は、こうです」という本がいっぱいある。古くは、ウラジミール・プロップの『昔話の形態学』とかなんだろう。オリジナルの本は絶版で未読だが、色んな書籍で内容を言及されているのは読んだ。

後は神話学の神話素とか、ユングの元型とかも、個々の要素が物語のプロットを内包している感じかもしれない。ユングに関しては大学時代にちょい学んだ記憶がある。

コンパクトにまとまっている本として俺が読んだのは、大塚英志さんの『ストーリーメーカー 創作のための物語論』かな。

言ったら、ある程度機械的に、読者にウケる物語の流れを生成する仕組みを使おうという本だ。

だいたい「なんやかんや言っても、物語のパターンってのは n個しかない」的なモノ言いは良く目にする。
たぶんマスを対象にしたドラマとか映画、ゲームとかの色んなコンテンツって、こういうパターンに沿うように作製しているんだろうなあ。その過程で AIとかを使っていても、今日日驚かないな。

そう言えば、みんな大好きChatGPTに、設定と登場人物、主人公の抱える問題を提示し、プロットを生成させてみたことは何度かある。返ってきた結果は、見事に、メジャーな物語の展開パターンを踏襲していた。「王道すぎて恥ずかしい」感じのアレだ。

で、問題なのはここからだ。
「そんな定形パターンの物語とか読みたい(書きたい)のか?」という、俺の天の邪鬼な性格が発動しちゃうところだ。皆さんはどうなんだろうね。

いや、分かるんだけどね、無垢な主人公が旅立ち、欠損を抱え、敵があらわれ、一度か二度ドツボにはまらせ、支援者を登場させ、ラスボスと対決させ、最終的に成長させる、みたいな定形。あとは肉付けで勝負という。アメコミ原作の映画とか、肉付けしかない感じさえ受ける。いっそ清々しいが。

ヴォガネットによる物語分析グラフみたいなのもあるけど、まあここまで行くと、パターンと言うか、物語分析言語を開発した、って感じに近いよな。

しかしまあ、おそらく多くの創作者が、「分かっちゃいるけど、そんなパターンに従うのは嫌だ」って思うんじゃないかな? パターンを使って楽をすれば、創作のいちばんおいしい(苦しい)ところを味わえなくなる。それって意味ないじゃん、って。ナイーブと言えばナイーブかもしれない。まあ、創作の目的にもよるだろう。
俺も、頭の片隅にパターンのことはありつつ書き進めてしまう。

しかし最終的に、パターンの亜種になっていたりするところが人間の哀しいところかもしれない。


パターン、パターンとは言ってないが、これまで読んだ創作本


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