芙蓉

22歳オス 陰鬱なことしか書きません

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  • 125ccで日本一周西日本編

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125ccで日本一周 西日本編#2 徳島県徳島市〜高知県梼原町(四国カルスト)

私には、逃げ癖がある。 いろいろなことから逃げるくせに、大事なことからは逃げないので大変にタチの悪い人間であろう。 今回も逃げてきた。半年後に迫った就職、人間関係のこじれ、卒業論文。それらを投げ出し、バイクに夢とロマンの詰まったものだけを乗せて家を出た。 旅自体に意味はないのだ。ただの問題の先延ばしである。家に帰ったら、またそれと向き合わねばならないのに。 私は、いつまで逃げ続けていれば気が済むのだろう。 9月12日 9:30@徳島県徳島市 船酔いが残ったまま目を覚まし

    • 前回から大変長いこと期間が空いてしまいました。言い訳をさせていただきますと、肺炎で寝込んでたのが3割、卒論に追われてたのが2割、怠惰が5割です。最近は友人と富山県高岡市のゴースト商店街を巡っていました。

      • 125ccで日本一周 番外編#1 親父の黒いCB-1

        2002年9月23日。この世にまた無益な二酸化炭素排出機が生まれた。 私だ。 広島・呉の港から山を何個か抜けた先の小さな集落。母親の里帰り出産により、私は広島にて生まれた。 5歳。私が秩父から埼玉・朝霞に引っ越してきた時も、寝坊した時も、ずっと家の傍にあったバイクが有る。 CB-1。親父がずっと大切にしていたバイクだ。親父が高校生の時に兄貴から譲り受け、それから紆余曲折ありながらも筑波の実家にてずっと現役を張っていたらしい。 399cc DOHC直列4気筒エンジンの迫力はさ

        • 125ccで日本一周 西日本編 #1 埼玉県朝霞市〜徳島県徳島市

          9月9日、日も落ち始めた朝霞の夕暮れに私はいた。 キャンプ道具と服一式、何かあっても簡単な故障ならすぐに直せるくらいの工具、パンクした時のチューブ、大量の煙草、夜にフラッシュバックする苦しい記憶から逃れて早く意識を失えるためのウイスキー。 そろそろ走行距離が6万キロになろうとしているCT125に半ば無理やり詰め込み、親に挨拶を済ませた。 「一日一回は今いる所の写真送るんよ。家族みんな心配しとるけえ」。埼玉に引っ越して20年経っても抜けない広島弁で、母は私にそう言い聞かせる。

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        125ccで日本一周 西日本編#2 徳島県徳島市〜高知県梼原町(四国カルスト)

        • 前回から大変長いこと期間が空いてしまいました。言い訳をさせていただきますと、肺炎で寝込んでたのが3割、卒論に追われてたのが2割、怠惰が5割です。最近は友人と富山県高岡市のゴースト商店街を巡っていました。

        • 125ccで日本一周 番外編#1 親父の黒いCB-1

        • 125ccで日本一周 西日本編 #1 埼玉県朝霞市〜徳島県徳島市

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        • 125ccで日本一周西日本編
          3本
        • 125ccで日本一周 東日本篇
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          かみんぐすーん、ですよ

          かみんぐすーん、ですよ

          125ccで日本一周 西日本編#0 前途多難 埼玉県朝霞市

          9月2日、朝も明けぬ午前三時。まだいびきをかいている朝霞の街に私はいた。 キャンプ用具にパソコン、着替えや食事などいろいろな物を詰めて、半年前から貯めていたバイト代20万を握りしめ、私は足つきの悪いCT125に飛び乗った。 エンジンを掛ける。起き抜けのエンジンに喝をいれるように、私は勢いよく国道254号線・川越街道へと飛び出した。 目指すは日本最南端・佐多岬。 と、なるはずであった。 お久しぶり、芙蓉である。突然だが、バイクがぶっ壊れた。 エンジンが壊れた訳では無いが、ま

          125ccで日本一周 西日本編#0 前途多難 埼玉県朝霞市

          自己紹介

          你好、芙蓉です。 多くの人に日本一周記事を読んでもらえて大変に嬉しいのですが、「こいつ誰」になっていること請け負いであろうため、遅ればせながら&僭越ながら自己紹介をさせていただきます。 芙蓉です。もちろんペンネームです。私の名字は珍しすぎて公開したら住所までしょっぴかれるので伏せておきましょう。 名前の由来は吉川英治『三国志』の芙蓉姫から。 アイコンは春秋戦国時代の思想家・韓非。なぜこれにしたかは忘れました。 現在は21歳、フランス文学科に所属する大学4年生。大学ではヌー

          自己紹介

          125ccで日本一周 東日本編#4 青森県青森市~埼玉県朝霞市(帰宅) 

          11月4日 @青森県青森市 考えうる限り最悪の寝起きであった。 エアコンを効かせすぎた腹痛で目を覚まし、朝から下痢を垂れ流す。買っておいたはずの煙草は見当たらず、1日の中で一番うまい寝起きの煙草タイムを逃す。快活の無料モーニングはタイミング悪くクチャラーと席を隣り合わせる。 「まァ、安く泊めてもらってるんだから文句は言えまい……」仕方のないことなのだが、どうも釈然としないまま快活を後にした。ホテルの比較的高め(とはいっても6000~9000円くらいではあるが、金欠大学生にと

          125ccで日本一周 東日本編#4 青森県青森市~埼玉県朝霞市(帰宅) 

          125ccで日本一周記#3 岩手県宮古市~本州最北端

          前回。 11月2日 @岩手県宮古市 爆睡した。久しぶりのマトモなベッドだ。とにかく爆睡した。 やはりベッドは素晴らしい。快活クラブが宿泊用に作られていないのは百も承知なのだが、それにしてもビジホは素晴らしい。金があったらいくらでもビジホに泊まりたい。 しかし私は大学生であり、概して大学生は金欠だ。金がない。金がないので、ビジホに泊まれるのは2回までという縛りを設けている。なので泊まれない。 ルートインの朝食ビュッフェを元を取るために食らい尽くし、そのままベッドで気絶し、

          125ccで日本一周記#3 岩手県宮古市~本州最北端

          125ccで日本一周記 東日本編#2 震災遺構を巡る 宮城県石巻市~岩手県宮古市

          前回のはこっち。 2023年11月1日 @宮城県石巻市妙に寝心地が良かった。心の奥底で引っかかっていた「就職活動」というタスクを昨日消化したので、スッキリしたのだろう。3日くらい腹に溜まっていたクソを心置きなく全てひねり出した後のような、そんな爽快感のまま快活CLUBを出た。 何の変哲もない地方都市のロードサイド。港町の朝は早い。6時なのにも関わらず、魚と思われる生鮮食品を積んだトラックが国道を飛ばしていた。 あの震災から13年。私が小学2年生の時だった。 ここ石巻も大き

          125ccで日本一周記 東日本編#2 震災遺構を巡る 宮城県石巻市~岩手県宮古市

          125ccで日本一周記 東日本編#1 埼玉県(自宅)~宮城県石巻市

          2023年5月。日本一周をしようと思ったのは、概して後ろ向きな理由がきっかけだった。 何もかも上手くいかず、かといって我が身可愛さで自分の命すら絶つことができなかった己への悔恨。21歳という大した事ない私は妙に悟った気分と相成り、「今生に救いはない」「いなくなってしまおう」などと一丁前に考えていたのである。 しかし、地元である埼玉で「いなくなってしまう」ことなど不可能だ。もしやったとしたら少なくとも1週間以内に秋ヶ瀬公園あたりで埼玉県警に発見され、「若くして消えた、救えた

          125ccで日本一周記 東日本編#1 埼玉県(自宅)~宮城県石巻市