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鈍色の雲の目うをになりにけり(夢中句)
皆さまごきげんよう。今日は二十四節気の「大暑」ですわね。
文字通り、いよいよ夏の盛りになってまいりましたけれども今のところ今年は随分と涼しいのではないかしら。まだ梅雨らしいお天気が続いておりますし、このまま冷夏になるのかしらね――。
ところで、今日はわたくし朝から初めての体験をしてしまいました。
今朝ついに「夢の中で詠んだ句」というものが一句出来てしまったのです。
無季句ですけれども、起きている際の意識の働きが一切存在しない純粋無垢に夢中の一句。私の知らない私が詠んだ幻想の夢句(ムク)になりますわ。
『鈍色の雲の目うをになりにけり』 雪子
昨晩お布団で俳句を考えておりましたらそのまま寝てしまいまして、この句はその際に夢の中のわたくしが詠んだ句そのものになりますわ。
夢の内容なのですけれども、最初の方は朧げでそのうち庭園でお茶会をしておりまして、緑の芝生の上で空には鈍色の雲が見えるのですけれども、その黒い雲がみるみる魚の形になりながら手で触れるような位置まで下りてきまして、とりわけその魚の目の黒さに夢の中のわたくしは妙な感動を覚えまして、一句詠もうと思ったのです。
そして、夢の中の私が『鈍色の雲の目うをになりにけり』を詠んだところで目が覚めまして、急いで書き留めたものがこの句になりますわ。
句としては無季句でどこから夢の材料と申しますか着想を拾ってきたのかも判然としない、ある意味得体のしれない一句なのですけれども、一度完全に夢の中で一句詠んでみたいという願望がありましたので、ある意味「夢」が叶いましたわ。
わたくし最近の傾向としては、寝る前に見ていたり考えていたりした内容が概ねはっきりと夢の中に現れることが多いので、詞華集か何かに影響されたのかもしれないと思っているのですけれども、夢の内容としましては非現実的で幻想的な光景のものでしたわ。
雨雲がおとぎ話に出てくるような魚になりまして、その黒い瞳の美しさに夢の中のわたくしは一句詠まなくてはと、衝動に駆られるように筆を走らせていたような感覚が目覚めた際に残っておりました。
他にはあまり夢の内容を覚えていないのですけれども、何かお茶会をしていて「カボチャ味の洋菓子」を選んで頂いていたのだけはよく覚えておりますわ。ですからおそらく緑茶ではなくって飲んでいたのは紅茶かしらね。
ということで今日は本当は「大暑」らしい夏のお話をしようと思っていたのですけれども、朝の夢の衝撃がわたくしの中で強く残っておりましたので、予定を変えて夢の話をしてみました。
以前に「夢の内容で一句」というお題を句会で出したことはあったのですけれども、これで本当に夢の中で一句詠むことが叶いましたわ。
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