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【開催終了】当て字・造語を考える会【造樂会】

皆さまごきげんよう。
本日は過ごしやすい秋の一日で、連休ということもあり日中からまったりとしてしまいました。

さて先日、新しい「当て字」や「造語」を考えてみようということで実験的に催させていただきました「造樂会」なのですけれども、無事終了いたしましたので早速、結果と選評をご報告させて頂きたく存じますわ。

まず、今回の皆さまの投稿と結果の一覧はこちらとなります。

結果といたしましては、

1位:手凝る(デコる)  7点 芙蓉セツ子
2位:玉雀(雀の玉)  6点  watoshiさま
3位:楽詠       5点  watoshiさま
入選:土還る(つちかえる) 4点 gyoxiさま
入選:呼月(こげつ)  3点 正訓さま

ということで、わたくしの考案しました「手凝る(デコる)」のほうが好評を頂いたようでございます。投票頂きました皆さまありがとう存じました。

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さて、ここからはわたくしの選と、自作の造語について解説して参りたく存じます。今回は一人につき投票で優(2点)と秀(1点)を2つの合計3作品を選ぶという形式とさせて頂きました。

芙蓉セツ子選
優:玉雀

俳句ですと「ふくら雀」という季語が晩冬のものとしてありますけれども、それに負けないほど、冬の雀を表現するのに相応しい造語かと存じますわ。
この作品の素晴らしいところは、「ありそうで無かった」というところかと存じます。
わたくし調べてみたのですけれども先使用例としましては万年青(観葉植物の一種)の品種に1つ例があったのみで、冬のまるまるとした雀そのものの表現としては見当たりませんでしたわ。
けれども、とてもそうとは思えない、まるで昔からあったかのような自然な日本語のように感じられるかと存じます。言葉も可愛らしく、その点で優に取らせて頂きました。

秀:伝音函(でんおんかん)

こちらはわたくし「玉雀」とどちらを優にするか迷った造語ですわ。ラジオの漢字表現という着想だそうなのですけれども、この「函」という漢字に表現に対するこだわりが詰まっているように存じますわ。
表現としても雰囲気が良く、小説で使ってみたくなる造語ですわね。
わたくしはなんだか「函」の字がだんだんラジオの形に見えてまいりました。

秀:楽詠

気楽に俳句を詠んで遊ぶことを表す造語を考案したとのことで、投票時にも人気のある作品の一つになりました。

「落描き」の俳句版という類義の説明がまことに分かりやすかったのではないかしら。使いみちを想像しやすい作品かと存じますわ。

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それと、ほかにも入選の2作品はどちらも俳句で一度使ってみたくなるような造語でしたわね。

土還る(つちかえる)  gyoxiさま
呼月(こげつ) 正訓さま

あの雨の気配がする独特の匂いでしたり、月に呼ばれるという発想の転換、どちらも言葉として自然にありそうな辞書に載ってそうな造語の提案かと存じますわ。

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さて、ここまで造樂会でご投稿いただきました作品を振り返ってまいりましたけれども、ここからはわたくしの投稿とこれまでの造語を解説して参りたく存じますわ。

名明かしなのですけれども、今回わたくしの考案した当て字・造語の作品はこちらでしたわ。

手凝る(デコる)  7点
去放る(サボる)  1点
縁檻(エンゲージ) 2点
得助不(エスケープ)1点
漆句(シック)
路景・路景所(ろけい・ロケ・ロケーション) 1点

雨紫花(あじさい)(以前考案した今回の投稿参考例)
乱詠(らんえい) (以前考案した今回の投稿参考例)

ということで、上から見てまいりましょう。

手凝る(デコる)

こちらは元々は女學生用語で「オシャレをする」という意味で用いられているのですけれども、例えば手帳などを装飾してデコレーションするという意味で「手凝る」という当て字を拵えてみたものですわ。

去放る(サボる)

実はわたくしが今回この催しを開催するきっかけになった当て字でして、ある日ふと「サボる」にこの漢字を当ててみたら面白いのではないかと思いまして考案いたしました。授業やお仕事を放り出して去ってしまいたい時などにお使い下さいませ。

縁檻(エンゲージ)

エンゲージというのは婚約という意味ですけれども、何らかの「ご縁」がありまして、そして一緒になるということで「縁の檻」に入るという着想から「縁檻(エンゲージ)」といたしました。
ただ、本来英語で檻はケージ"cage"でしてゲージ"gauge"は規格や寸法といった意味ですから、誤用のカタカナ語に出立したものではありますわね。

得助不(エスケープ)

これは少し無理があるのですけれども、助けを得ることが不可能なほど逃げたいという意味でエスケープに漢字を当ててみましたわ。

漆句(シック)

こちらは"chic"上品さの当て字からの造語で、上品な句などの意味で考案してみたものですわね。秋の夜は漆句なものを詠んでみたいですわね。

路景・路景所(ろけい・ロケ・ロケーション) 

素晴らしいロケーションという表現を漢字にしたらどうなるだろうかという着想でして、景色でしたりあるいは俳句の世界では「景」と申したりいたしますけれども、その意味と読みの連想から考えてみましたわ。
わたくし実はこの当て字は気に入っていたのですけれども、今回の投票ではあまり人気がありませんでした。

雨紫花(あじさい)

こちらは今回ではなく6月頃に考案した当て字でして、今回の募集をする際に投稿例として用いたものですわ。
アジサイという花は正しくは「紫陽花」ですけれども、この漢字自体が本来は平安時代に中国から伝わる際に間違って用いられたものだそうで、そういった背景もありながら、アジサイは「陽」よりも「雨」のほうが似合うのではないかと考えまして、この当て字を考案してみましたわ。

乱詠(らんえい)

こちらも以前に考えたものを投稿例として今回出したものでして、乱読や乱取り稽古のようなもので、俳句をひたすら乱詠してお稽古したりする際にふと用いたのがきっかけですわね。わたくしとしては便利ですので今でもたまに用いておりますわ。

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ということで皆さま「当て字・造語」の世界、如何でしたでしょうか。

わたくしこういったものを作るのが結構好きなのですけれども、意外と難しいという声が多かったように存じますわ。

また何か思いつきましたら、俳句以外にもこのような別の催しなども行って参りたく存じますので、その際は是非ご参加頂けましたら嬉しゅうございますわ。

皆さま沢山のご投稿、そしてご視聴ありがとう存じました。

芙蓉セツ子

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芙蓉セツ子
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