20181030水源地

水源地の水槽のおそうじ

わたしの住む集落の水道は山の水だ。

山から流れ落ちる滝の水を水槽にためて、
その上澄みを次の水槽にためて
砂利でろ過して砂でろ過して
そうやっていくつもの水槽でろ過したものが
長い水道管を通って
そのまま自宅の蛇口からでてくる。
ホンモノの山の水だ。

月に一度
その水槽の掃除をしているというので
きょうはその掃除の様子をみせてもらった。

この集落水道も
来年の春には
町管理の立派な水道設備に代わってしまうので
いまのうちに
仕組みを見ておきたいと思ったのだ。

話はとぶが。
わたしは
お味噌は出来合いのものを
買うのがあたり前だと思っていた。

初めてお味噌を自分で作ってみた時に、
案外簡単にできてしまってびっくりした。
ひとつひとつの手順は簡単で
ちょっとだけ手間と時間をかけるだけで
お味噌はできるものなのだ。
しかも作るのは楽しい。

お味噌は買うもの…というのは
わたしの思い込みだった。
それ以来
お味噌は自分で作るようになった。

お水だって。
蛇口をひねれば浄水場からやってきた
きれいに消毒されたお水がでてくるのが
あたり前だと思っていた。

どうやって浄水にするのかなんて
わたしみたいな一般庶民にはわからないから
わかる専門家が
やってくれているものだと思っていた。

しかし
今住んでいる集落では
自分たちで山の水をろ過し
生活に使っている。

ろ過水槽も
お向かいのおばあちゃんが
おじいちゃんと一緒に
コンクリを型に流して作ったという。
手作りの装置だ。

雨の日には水道は濁るし
倒木やイノシシで水道管が折れれば
断水するし
豪雨で砂利がたまっても断水するし、
水槽にたまる土砂や苔の掃除は必要だし。

少人数で高齢化がすすみゆく
今の集落では管理はとても大変だが。
仕組みは簡単。

昔のように若者がたくさんいて
みんなで協力しあうことができれば
山の水を生活用水にすることは
できるものなのだ。

きょうは一番上の水槽と
一番最後の水槽のお掃除だった。

大好きな山裾の森の中。
この集落の人たちの
生活を支えてきた水源地。

午後の淡い光の中で
昔の集落の若者たちと一緒に
作業をしているような。
昔と今を行き来するような
不思議な感覚になった。


*ふやよみ あおきさとみ*

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